長野県北東部にあり、人口7000人にも満たない小さな村ながら、6つのワイナリーがある信州高山村(正式名称:長野県上高井郡高山村)。前回は、ワイン産地としてのその魅力を紹介した。
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そんな信州高山村のワイン産地としての魅力、そして観光地としての魅力をアピールするため、メディア向けに開催されたのが、長野県長野地域振興局主催の「“農観連携”ワインツーリズム」だ。
ワインも食事も温泉も大自然も、信州高山村の魅力が詰まったワインツーリズム。その本格始動を前に開催された、メディアツアーの内容を紹介する。
ツアーの内容
メディアツアーの初日となった2022年10月5日は、東京駅を午前8時36分に出発する北陸新幹線「かがやき505」に乗り、午前9時58分に長野駅に到着。駅前から借り上げバスに乗って、ツアーの出発となった。参加者は、料理関係や長野の地元メディアなど、さまざまな視点を持つメディア関係者8人だ。
スケジュール
●1日目
13:00:信州たかやまワイナリー
昼食後に訪れたのが、2016年設立の信州高山村で最大のワイナリー、信州たかやまワイナリーだ。13人のぶどう畑のオーナーが集まった、“農家の夢をかなえるワイナリー”となる。ぶどう畑を見学し、ソーヴィニヨン・ブランの収穫体験などをさせていただいた。
ワイナリーの詳細は、別の記事で掲載予定だ。
15:00:カンティーナ・リエゾー(Cantina Riezo)
夫婦で営むアットホームなワイナリーでは、ぶどう畑とワイナリーの見学をさせていただいた。
異なる哲学を持ち、それぞれ違ったワインづくりに挑戦している2つのワイナリーが近接しており、続けて見学できたことは非常に興味深い体験だった。
こちらも詳細は、別の記事で紹介したい。
16:30:信州山肉プロジェクト 有楽爽(ゆうらくそう)
自ら狩猟をしている、宮川仁司氏によるシカの解体作業を見学。宮川氏は、駆除したシカやクマ、イノシシなどを精肉し、販売している。駆除された命は山の貴重な資源でもある。無駄にしないだけではなく、おいしい食材に代えてしまう腕前は、「パークハイアット 東京」などの一流シェフからも厚く信頼されているという。小さなナイフですいすいと皮をはいで解体していく様子は、まさに職人技。普段は一般公開をしていないので、貴重な経験となった。
18:00:朝日屋亭
温泉旅館が立ち並ぶ、山田温泉にある食事処。信州高山村の旬の食材やジビエ料理を提供している。和食の料理人として経験を積んだ田中裕美氏がつくる料理は、素材の味を生かした優しさを感じる。
ワインとよく合う食事を店内で楽しむ際には、LINEから予約が必要だ。テイクアウト、仕出し、ケータリング、出張料理の相談にも応じてくれる。冬期休業期間あり。
宿泊施設:平野屋旅館
信州高山村は、奥山田温泉、七味温泉、五色温泉、松川渓谷温泉、山田温泉、蕨温泉、子安温泉、YOU游ランドという8つの異なる源泉を持つ、“湯つづきの里”だ。宿泊した平野屋旅館は山田温泉エリアにあり、食事やアメニティをオプションで選べる自由度の高い旅館だった。テレワークやワーケーションの拠点としても便利そうだ。
●2日目
朝食:テッちゃん牧場(キッズスノーパーク)
朝食の会場となったのは、テッちゃん牧場だ。通常は食事の提供はしていないが、特別にテーブルを出していただき、村民の方々の話を聞きながら、村の小さなピザ屋さん和のピザをいただいた。
村内観光:八滝(やたき)→山田牧場(見晴茶屋)→雷滝
食用ぶどう畑見学:中沢果樹園
昼食: Wine & Café Véraison(ワイン&カフェ ヴェレゾン)
平屋建ての古民家を利用し、高山村の食材やジビエ料理をより手軽に味わえるカフェ。店内では、村内のワイナリーのワインを頼むことも可能だ。
1泊2日で胃袋も心も満たされ、温泉でお肌もつるつるになる大満足の旅となった。
農業体験も観光も楽しめる「猫の手旅」とは
今回のメディアツアーは、来年度から本格的にスタートするワインツーリズム「ワインな猫の手旅」を前に開催されたもの。
地元の食や自然、温泉などを堪能しながら、高山村、須坂市、長野市信州新町にあるワイナリーやぶどう農家のお手伝いをする、農業と観光という長野の魅力を一緒に楽しめる。自分で収穫したぶどうが、数年後にワインとして発売されるというのも、ワイン好きとしてはうれしい限りだ。
メディアツアーでは、信州たかやまワイナリーで、ソーヴィニヨン・ブランの収穫を体験した。
初めての収穫は、時間を忘れて没頭でき、ぶどうを手に取って果実を選別する作業を通じてワインへの愛着が増していくのを実感できる体験だった。その詳細は、次回紹介する。
「ワインな猫の手旅」は、あくまでもお手伝いを楽しむためのもので、バイト代などの報酬が出るわけではない。だが、少し変わった旅をしたい人、ワインが好きな人、農業に少しでも興味がある人、子どもと自然に触れ合う体験がしたい人などにおすすめだ。