コラム

シャトー・ボーモン|サステナブルを実践する、クリュ・ブルジョワのシャトー ~知っておきたいボルドーのつくり手

フランスを代表するワインの銘醸地、ボルドー。そのボルドー地区で、フランス革命の時代から続くオー・メドックのつくり手が、シャトー・ボーモン(Chateau Beaumont)だ。

長い歴史の中で、低迷と復活を経験しながら、現在はクリュ・ブルジョワでもトップクラスの評価を得ている。栽培には自然環境に配慮した農法を採用しており、「テラ・ヴィティス(Terra Vitis)」の認証も取得。伝統と革新を融合させながら、ワインづくりに取り組んでいる。

シャトー・ボーモンとは

シャトー・ボーモンは、オー・メドック地区のキュサック村にある老舗シャトー。「ボーモン」とは、フランス語で「美しい山」を意味する。

シャトー・ボーモンの歴史

1789年に起きたフランス革命の頃には、既にこの場所に城があり、シャトー・ボーモンと呼ばれていたという。残念ながらこの城は喪失してしまったが、1854年に当時のオーナーだったボナン氏によって建てられた城が現存する。

長い歴史を持つシャトーだが、オーナーが変遷をくり返し、一時は低迷。1979年になって、当代オーナーのベルナール・ソウラ氏が大規模な資本を投入したことで、その名声を復活させることに成功した。

現在は、ヨーロッパ最大のワインメーカーであるカステル(Castel)と日本のサントリーが経営している。また、ボルドーのメドック地区におけるシャトー格付けの1つ、クリュ・ブルジョワの評価を受けている。

環境保全への取り組み

シャトー・ボーモンでは環境保全に力を入れており、サステナブル農法を実践している。自然環境を大切にした栽培を目指すこの取り組みにより、メドック地区では5社しか取得していない、テラ・ヴィティスの認証を得ている。

シャトー・ボーモンのワインの特徴

シャトー・ボーモンの生産地であるキュサック村は、オー・メドックと呼ばれるエリアにある。村名AOC(Appellation d’Origine Controlee、原産地呼称)のサン・ジュリアンとマルゴーの間に位置し、両村の中間的な味わいを持つといわれる。

オー・メドックとは

オー・メドックとは、ジロンド川の上流に位置するAOCだ。ボルドー郊外のメドック近辺までの市町村を含んでいる。砂利を多く含んだ地の利を生かして、カベルネ・ソーヴィニヨンを主に栽培している。

ボルドーの他の地域と比べて小規模生産者が多い地域でもあり、格付けシャトーは5つのみ。一般的に価格高騰が著しいボルドーワインだが、生産者が小規模でマイナーであるため、比較的手頃な価格でおいしいワインが飲める。

初心者も楽しめるバランスの良いワイン

オー・メドックのワインの特徴がそうであるように、シャトー・ボーモンのワインも、柔らかく軽やかな味わいを特徴とする。カベルネ・ソーヴィニヨンの力強さとメルローのしなやかさを併せ持ち、華やかでありながら、しっかりとしたボルドーの伝統を受け継いでいる。

口当たりがまろやかで、果実味に加えてタンニンの渋みや土の香り、樽香を感じさせる複雑なニュアンスが魅力的だ。比較的若くから飲めるというバランスのよいワインでもあり、長い熟成を経て生み出される骨太で重厚な印象のボルドーワインの中では、初心者にも手を出しやすいワインともいえるだろう。

おすすめワイン4選

ここでは、シャトー・ボーモンのワインから、おすすめを紹介していく。

シャトー・ボーモン 2017

世界的なワイン評論家が「探し求めるべき存在」と絶賛した1本。有機栽培された高品質なぶどうが生み出す、優しい丸みのある果実味や土の匂い、樽香などを感じる複雑なニュアンスが特徴的。ステーキなどのしっかりした肉料理にも合う。

ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー48%、プティ・ヴェルド2%
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:2900円(税別)

シャトー・ボーモン 2016

2016年は、ワイン愛好家が高評価するヴィンテージ。トップクラスの高級グラン・ヴァンに勝るとも劣らない、エレガントな味わい。

ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー47%、プティ・ヴェルド3%
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:3000円(税別)

シャトー・ダルヴィニー

「シャトー・ボーモン」のセカンドラベル。柔らかい味わいの中かに、果実味も感じられる1本。まろやかなタンニンで、飲みやすい軽やかさも魅力。

ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン62%、メルロー30%、カベルネ・フラン(Cabernet Franc)5%、プティ・ヴェルド3%
味わい:赤・ミディアムボディ
参考小売価格:2370円(税別)

レ・トゥールド・ボーモン

こちらも「シャトー・ボーモン」のセカンドワイン。セカンドラインながら、「シャトー・ボーモン」の特徴でもある、華やかな果実味、複雑なニュアンスを感じられる1本。比較的お手頃価格で購入できるのも魅力だ。

ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン55%、メルロー45%
味わい:赤・ミディアムボディ
参考小売価格:2400円(税別)

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About the author /  KYOKO
KYOKO

出版社勤務を経てフリーランス編集ライターに。旅、グルメ、美容を中心に執筆や編集を行っている。大酒飲みで、旅先でご当地酒を飲むのが好き。最近はビオワインにハマリ中。