コラム

「第11回サクラアワード2024」結果発表、日本ワインがダイヤモンドトロフィー他5冠の栄誉に

   

アジア最大級かつ最も価値のあるワインコンペティション「第11回サクラアワード(“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards)2024」の受賞結果が、2024年2月14日に発表された。

審査会は、同年1月25日に大阪会場(大阪市中央区・ホテル日航大阪)、同年2月1日に東京会場(東京都目黒区・ホテル雅叙園東京)で実施。延べ430人の女性審査員が、ブラインドテイスティングで審査を行った。

また同年4月24日には、ホテル雅叙園東京を会場に、授賞式と試飲会が開催された。

「サクラアワード」3つの目的とは?

2014年に初めて開催され、今年で11回目となる「サクラアワード」は、女性が審査員を務めるワインコンペティションだ。

サクラアワードでは、次の3つの目的を掲げ、ワインの普及を目指して毎年実施している。

・日本の食事にあったワインを探すお手伝いをする
・ワイン市場の活性化に貢献する
・ワイン業界で働く女性の活躍の場を広げる

同アワードで受賞したワインは、日本だけでなく海外でも評価が高く、世界的にも非常に注目度の高い賞となっている。

審査責任者は、ワインアンドワインカルチャー代表取締役の田辺由美氏。その他、ソムリエやワイン醸造家、ワインジャーナリストなど、日本のワイン業界で活躍する女性が審査している。

審査方法は、ワイン名や生産国などを伏せたブラインドテイスティングにより、点数(100点満点)で評価する。この点数により、ダブルゴールド(93~100点)、ゴールド(88~92点)、シルバー(85~87点)の受賞ワインが選出される。

2024年の受賞結果は?

2024年は、27カ国4023アイテムのエントリーから、 324アイテムがダブルゴールド、1441アイテムがゴールド、682アイテムがシルバーに選ばれ、計2447アイテムが受賞した。

ダブルゴールドを受賞したワインの中からより優れたものを選ぶダイヤモンドトロフィーには、61アイテムが選出されている。

この他に特別賞として、8つの特別賞と9つの和食・アジア料理に合うワイン賞がある。今回は、ゴールド以上を受賞したワインから103アイテムが特別賞に、全受賞ワインの中から383アイテムが和食・アジア料理に合うワイン賞に選ばれた。各賞で最高得点のワインには、グランプリの称号が与えられている。

ダイヤモンドトロフィー&特別賞同時受賞ワイン

ダイヤモンドトロフィーは、エントリー数のわずか1%しか獲得できない狭き門で、最も栄誉ある賞だ。今回は61アイテムが選ばれているが、そのうち特別賞などを同時受賞しているワインをピックアップして紹介する。

サッポロビール グランポレール エスプリ・ド・ヴァン・ジャポネ泉-SEN-2021(日本)

日本ワインでは唯一、ダイヤモンドトロフィーに選ばれた1本。加えて、特別賞の“グランプリ”ジャパニーズワイン賞、韓国料理に合うワイン賞、タイ料理に合うワイン賞も受賞し、ダブルゴールドも含めて計5冠を獲得した。「グランポレール」は、“美しい日本の風土を活かしたワイン”をコンセプトに、北海道、長野、山梨、岡山の4つの産地のぶどうを使ってワインをつくっている。多様で豊かな日本の風土を感じさせてくれるブランドだ。

受賞ワインの「グランポレール エスプリ・ド・ヴァン・ジャポネ泉-SEN-2021」は、山梨県産の甲州を主体にした白ワイン。爽やかな香りとほのかな渋味や酸味が感じられ、日本ワインならではの味わいが楽しめる。

ペーターメルテス ゴールドエディション リースリング シュペートレーゼ 2022(ドイツ)

ドイツ最大のワイナリーの1つ、ペーターメルテスが所有する畑のぶどうのみを使用した白ワイン。コストパフォーマンス賞(1501~2500円)を同時受賞している。

蜂蜜の香りに、グレープフルーツやピーチ、パイナップルなどの凝縮したフルーツの香りが感じられるリッチな味わいを楽しめる。

ミシオネス デ レンゴ レセルバ カルメネール 2022(チリ)

「ミシオネス デ レンゴ」は、チリの小売業の95%以上が扱っているという人気ブランド。「ミシオネス デ レンゴ レセルバ カルメネール2022」は、女性ワインメーカー賞、焼鳥に合うワイン賞を同時受賞した。

野生の花やブラックペッパー、チョコレート、シナモンのような甘いスパイスの香りを持つ赤ワインで、フルーティーな軽い飲み口と円熟したタンニンを特徴とする。

バラオンダ カンポ・アリーバ(スペイン)

バラオンダは、スペイン南東部のイエクラ地方にある歴史あるワイナリー。スペイン原産のモナストレルの魅力を広めるべく、“最高の選果、最高の醸造と設備による「クオリティワイン」”をつくることを使命としている。

受賞ワインは、モナストレルを70%使用し、はつらつとした果実味を持つ赤ワイン。太陽を浴びた完熟ぶどうのみを使用し、凝縮したジューシーさとぶどう本来の味を感じることができる。コストパフォーマンス賞(1001~1500円)も同時受賞した。

“グランプリ”女性ワインメーカー賞

女性ワインメーカー賞は、女性醸造家が手がけたワインに贈られる特別賞。その中で最も優れたものに、グランプリが授与される。

今回は、アメリカのパイン・リッジ・ヴィンヤーズが選出され、ダイヤモンドトロフィーとの同時受賞となった。

パイン・リッジ・ヴィンヤーズ シュナン・ブラン/ヴィオニエ(アメリカ)

パイン・リッチ・ヴィンヤーズは、1978年にナパ・バレーに設立されたワイナリー。スタッグス・リープ・ディストリクトなど複数の銘醸地に自社畑を持ち、収穫や房の選別などあらゆる工程を手作業で行うなど、丁寧なワインづくりを心がけている。

女性ワインメーカー賞を受賞したコリーン・フィッツジェラルド氏は、「パイン・リッジ・ヴィンヤーズ シュナン・ブラン/ヴィオニエ」の醸造責任者として、シュナン・ブランをベースにしたワインづくりに取り組んでいる。

シュナン・ブランを80%、ヴィオニエを20%使用した爽やかな白ワインで、メロンや白桃、アイスティー、リンゴの花の香りを特徴とする。グレープフルーツやパイナップル、洋ナシを思わせる果実味と、軽快な口当たりを楽しめる。

“グランプリ”ジャパニーズワイン賞

日本で醸造・瓶詰めした「日本ワイン」に贈られる“グランプリ”ジャパニーズワイン賞に選出されたのは、ダイヤモンドトロフィー受賞の「サッポロビール グランポレール エスプリ・ド・ヴァン・ジャポネ泉-SEN-2021」を含めた5本だ。

いずれも、ダブルゴールドを同時受賞している。

都農ワイン 2022白水 アンフィルタード シャルドネ#6-B

都農ワインは、“いいぶどうがいいワインをつくる”という信念のもと、地元産のぶどうにこだわったワインづくりに取り組んでいる。

受賞ワインは、ワイナリーのある宮城県都農町の自社畑の中でも最良の畑である6耕区と16耕区で育てたシャルドネを使用する。味に複雑さを持たせるため、乳酸発酵後に6カ月間フレンチオークで熟成させた。トロピカルフルーツのような甘さとハーブのような爽やかさのある、バランスのよい白ワインだ。

五島ワイナリー キャンベル・アーリー 2023 SEMI-DRY

五島ワイナリーは、長崎県五島列島の福江島に位置する日本最西端のワイナリー。島独自の自然や気候、テロワールを意識したワインづくりを行っている。

受賞したのは、心地よい泡が口の中でバランスよく広がる、ロゼのスパークリングワインだ。島の自然が育てたぶどうを100%使用し、島に自生するやぶ椿から抽出した「やぶ椿酵母」を使用して醸造するなど、島の特色を存分に生かしている。

宝水ワイナリー キャンベル・アーリー 2018

宝水ワイナリーは、北海道岩見沢市の中でも特に冷涼な地域となる宝水町に位置する。厳しい寒さを耐え抜いたぶどうはきれいな酸を持ち、透明感のある引き締まったワインが出来る。

受賞ワインは、イチゴやアセロラ、和三盆のような香りを持ち、ほのかな甘さとキレのある酸味が調和するフルーティーでやや甘口のロゼワイン。特別賞のロゼワイン賞との同時受賞となった。

了美ヴィンヤード&ワイナリー ゼフィール マスカットベーリーA 2022

宮城県黒川郡に位置する丁美ヴィンヤード&ワイナリーは、2017年に夫婦2人で立ち上げたワイナリー。三方を山に囲まれ、その気候風土を生かしたワインづくりに取り組んでおり、山の恵みから生まれたワインは芳醇な味わいを特徴としている。

受賞ワインは、ガーネットのしっかりとした赤い色調に、ベリー系のアロマとカカオの豊かな香りを持つ。まとまりのある味わいの赤ワインで、トマトを使った料理などによく合う。

Be to Be試飲会では未輸入の受賞ワインの試飲も

授賞式では、併催イベントとして、受賞ワインのBe to Be試飲会「“SAKURA” JWWA Grand Tasting 2024」も開催された。国内外から数多くの出展があったほか、日本へは未輸入の受賞ワイン400アイテムを試飲できるコーナーなども用意された。

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About the author /  大江 有起
大江 有起

コピーライター、雑誌の編集者などを色々経てフリーライターに。文章を書くことと、赤玉スイートワインや貴腐ワインのような甘いワインが好きです。 ワインバザールさんにてワインに興味を持ち、一般社団法人日本ソムリエ協会ワイン検定シルバー取得しました