コラム

「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC) 2024」結果発表! 5年ぶりに日本ワインがトロフィーを受賞

今回で40回目を迎えた「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(International Wine Challenge:IWC)」の審査結果が、2024年5月16日に発表された。IWCは世界で最も権威のあるワインコンペティション(審査会)の1つで、イギリス・ロンドンで毎年開催されている。

先入観をなくして公平を期すため、産地や名称を伏せたブラインドテイスティング方式で審査され、賞が決定するまでに、最低でも8人の審査員によってテイスティングを実施する。得点が95~100点のワインに金賞、90~94点のワインに銀賞が与えられ、金賞を獲得したワインのうち、最高級の評価を得たものがトロフィー受賞ワインに選ばれる。

同月21日のトロフィー受賞ワインの発表では、5年ぶりに日本ワインがトロフィーを受賞。そうした日本ワインの健闘にも注目しながら、IWC 2024の選考結果を紹介する。

最多受賞ワインメーカーを擁するフランスが連勝

今回のコンペティションでは、322銘柄が金賞、1779銘柄が銀賞を受賞した。その中で、圧倒的な受賞数を誇ったのがフランスだ。

フランスワインは、72銘柄が金賞、394銘柄が銀賞、455銘柄が銅賞を獲得し、昨年より84個多い獲得となった。インターナショナル・ピノ・ノワール・トロフィーは、フランスのエドゥアール・ドローネが手がける「シャルム・シャンベルタン・グラン・クリュ 2021(Charmes-Chambertin Grand Cru, 2021)」で、9年連続での受賞となる。同ワイナリーは、フレンチ・レッド・トロフィー、ブルゴーニュ・レッド・トロフィー、シャンボール・ミュジニー・トロフィー、シャルム・シャンベルタン・トロフィー、コルトン・トロフィー、ニュイ・サン・ジョルジュ・トロフィーなど、合計7トロフィーを獲得し、今大会の最多受賞ワインメーカーとなった。

フランスに次いで金賞が多かったのは、オーストラリア(金54、銀250)だ。続いて、スペイン(金34、銀207)、ポルトガル(金33、銀175)、オーストリア(金24、銀48)、ニュージーランド(金23、銀109)、イタリア(金15、銀129)、南アフリカ(金15、銀102)という結果となり、上位5カ国のうち4カ国をヨーロッパ諸国が独占した。また、オーストラリア、ニュージーランドなどの新世界の国々の存在感も増してきている。

新世界ワインの台頭:オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチンが国際的評価を獲得

オーストラリアは、金54、銀250、銅154と獲得メダル数で新世界トップ、総合2位の座を堅持し、トロフィー数でもフランスに次ぐ2位となった。また、ショウ・アンド・スミスの「バルハンナ・ヴィンヤード・シラーズ 2021(Balhannah Vineyard Shiraz, 2021)」をはじめ、南オーストラリア産ワインが10個のトロフィーを獲得するなど、注目を集めている。

ニュージーランドは、チャーチ・ロードの「グランド・リザーヴ・シャルドネ 2021(Grand Reserve Chardonnay, 2021)」と、ケネディ・ポイント・ヴィンヤードの「シラー 2021(2021 Syrah)」がインターナショナル・ヴァラエタル・トロフィーを獲得。全7部門のうち、シラーズとシャルドネの2部門でトロフィーを獲得し、国際的なワイン生産国としての地位を不動のものにした。

一方、世界中からマルベック部門のエントリー数が増加する中だ、アルゼンチンはボデガ・ダンテ・ロビーノが手がける「グラン・ダンテ・マルベック 2021(Gran Dante Malbec, 2021)」がインターナショナル・マルベック・トロフィーを獲得した。同トロフィーの常連受賞国としての地位を守り続けている。

今回のコンペティションでは、新世界ワインが旧世界ワインに肩を並べるまでに成長し、ワイン業界の勢力図が塗り替えられつつあることを明確に示す結果となった。

5年ぶりにトロフィーを獲得した日本ワイン!

2023年に銀賞20銘柄、金賞1銘柄を受賞した日本ワイン。2024年は、銀賞14銘柄、金賞3銘柄を受賞した。日本が3銘柄で金賞を受賞するのは、史上最多となる。

また、日本ワインでは唯一、高畠ワイナリーの「2022ラ クロチュア エレクトリック エン 上和田 シャルドネ(La Clôture Electrique en Kamiwada Chardonnay 2022)」がジャパニーズ・ホワイト・トロフィーを受賞。日本ワインがトロフィーを獲得したのは、2019年のシャトー・メルシャン「シャトー・メルシャン 北信左岸シャルドネ リヴァリス 2017(Château Mercian Hokushin Left Bank Chardonnay Rivalis, 2017)」以来の快挙となった。

【受賞した日本ワイン一覧】

(金賞)
・高畠ワイナリー「2022ラ クロチュア エレクトリック エン 上和田 シャルドネ」(山形県)(トロフィー受賞)
・高畠ワイナリー「2022レ トロワ シゾー ド オオウラ エン カミワダ シャルドネ」(山形県)
・盛田甲州ワイナリー「シャンモリ GI山梨 甲州 2023」(山梨県)

(銀賞)
・マンズワイン「ソラリス 千曲川 信濃リースリング 2022」(長野県)
・マンズワイン「山梨 甲州 2022」(山梨県)
・広島三次ワイナリー「TOMOÉシャルドネ待月2022」(広島県)
・広島三次ワイナリー「VILLAQUA イエロー NV」(広島県)
・Grande Polaire「余市ツヴァイゲルトレーベ 2022」(北海道)
・NIKI Hills Winery「YUHZOME 2022」(北海道)
・高畠ワイナリー「2022 高畠バリック シャルドネ」(山形県)
・高畠ワイナリー「2021 高畠 フニクリ・フニクラ・デ・木村シャルドネ」(山形県)
・勝沼醸造「アルガブランカ ヴィニャル・イセハラ 2022」(山梨県)
・勝沼醸造「アルガブランカ ピッパ 2019」(山梨県)
・MGVs(マグヴィス)ワイナリー「B153 勝沼町引前 2018」(山梨県)
・盛田甲州ワイナリー「シャンモリ GI山梨 マスカット・ベーリーA 2023」(山梨県)
・シャトーメルシャン「シャトーメルシャン 椀子 オムニス 2018」(長野県)
・シャトーメルシャン「シャトーメルシャン 椀子 シラー 2021」(長野県)

金賞・銀賞の受賞ワイナリーを地域別に見ると、山梨県が6銘柄、山形県が4銘柄、長野県が3銘柄、広島県と北海道が2銘柄ずつ獲得している。

高畠ワイナリー「2022ラ クロチュア エレクトリック エン 上和田 シャルドネ」

日本ワインとしては5年ぶりにトロフィーを獲得した「2022ラ クロチュア エレクトリック エン 上和田 シャルドネ」は、山形県の高畠ワイナリーが手がけた白ワイン。山形県産の熟度の高いシャルドネを厳選して使用しており、爽やかな酸味とコクのある味わい、長い余韻を楽しめる。

高畠ワイナリーは、「2022ラ クロチュア エレクトリック エン 上和田 シャルドネ」「2022レ トロワ シゾー ド オオウラ エン カミワダ シャルドネ」の2本が金賞を受賞。日本ワイン部門は史上最多となる3銘柄が金賞を獲得しているが、トロフィー受賞の理由として「そのうちの2つが高畠ワイナリーのシャルドネだった」ことが挙げられていた。

<関連リンク>
インターナショナル・ワイン・チャレンジ公式サイト

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About the author /  maomi

教育機関で中日翻訳に携わったのち、フリーライターに転身。教育、旅行、グルメを中心に執筆を行う。