ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)は2024年4月18日、B to Bのブルゴーニュワイン試飲会「Bourgogne: The Winemakers’ Cut」を開催した。
ハイアットリージェンシー東京(東京都新宿区)で開催した同試飲会では、12社のワイン生産者と23社のインポーターの計35社が製品の魅力をアピールした。
今回はその中から、由緒ある貴族の家系がワインをつくり続ける、バッカス・ド・シュリー(Bacchus de Sully)を紹介する。
バッカス・ド・シュリーとは
バッカス・ド・シュリーは、ボーヌ地方の南に位置するシャサーニュ・モンラッシェのモルジョ修道院にぶどう畑や醸造場を所有する、家族経営のドメーヌだ。この村は、“ブルゴーニュのコート・デ・ブラン”と称されるほどの白ワインの銘醸地として知られている。
フランス第3代大統領を務めたパトリス・ド・マクマオン公爵の血を引くマクマオン家は、18世紀からこの地でワインづくりに情熱を注いできた。1960年代には、第9代マクマオン公爵が第4代マジェンタ公爵と共に、良質でエレガントなワインをつくるドメーヌとして世界にその名を広めている。
2002年にマジェンタ公爵が亡くなってからは、妻のアメリー公爵夫人がシュリー城に住み、マクマオン家の娘であるペラジー公女、息子のモーリス公爵と共にドメーヌを引き継いでいる。
ペラジー公女は2023年にブルボン・パルム家のアモリ王子と結婚し、アモリ王子が現当主となった。醸造責任者はモーリス公爵で、代々受け継がれる歴史と伝統を一家で守り続けている。シュリー城では現在、ガイド付きのツアーが行われ、モルジョ修道院でつくられたワインを味わうことができる。
バッカス・ド・シュリーのワインづくり
試飲会では、来日したモーリス・ド・マクマオン公爵に話を伺った。
――ドメーヌの特徴について教えてください。
一言で言えば、「ハッピー・カントリーライフ」。土地の環境を生かし、自然であることをモットーにワインづくりを行っています。
例えば、土壌そのものが生きるように、除草剤を使わないようにしています。また、土を耕す際には最小限にとどめ、余計な深さまで掘り起こすことはしません。ミミズなどの土の中で生きている虫や、土壌とぶどうの樹に良い効果をもたらすキノコを排除してしまわないようにするためです。
今後も自然環境を生かしたワインづくりを行うべく、動物の力を活用した自然農法なども考えています。また、わらの敷き詰め方を工夫したり、雑草を残すことで土壌の凍結を防いだり、温度管理のベストな方法を探ったりと、さまざまな方法を試みる予定です。
どうすれば最高のワインが出来るのかについて日々研究を重ねていて、ワインに足すものは最小限にし、なるべく人の手を加えないようにしています。
――おすすめのワインについて教えてください。
どれもおすすめですが、特に私が気に入っているのは「ピュリニー・モンラッシェ、レ・ウィエール、マジェンタ公爵」です。ドライで後味が爽やかで素晴らしいですよ。
おすすめワイン3本
「ピュリニー・モンラッシェ、レ・ウィエール、マジェンタ公爵」
タイプ:白
ぶどう品種:シャルドネ100%
「ブルゴーニュ、レ・シャンパン、マジェンタ公爵夫人」
タイプ:赤
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
「ブルゴーニュ、レ・ウイエール、マジェンタ公爵」
タイプ:白
ぶどう品種:シャルドネ100%
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