コラム

瀧田昌孝ソムリエが解説! 最大の栽培国ドイツが生む「リースリング」と気候変動が白ぶどう品種に与えた影響とは ~「進化するドイツワインとモダンインディアンキュイジーヌのハーモニー」レポート⑤

Wines of Germany日本オフィスは2024年6月27日、SPICE LAB TOKYO(東京都中央区)にて「進化するドイツワインとモダンインディアンキュイジーヌのハーモニー」を開催した。

当日は、パレスホテル東京 グランドキッチンのアシスタントマネジャー&ソムリエの瀧田昌孝氏が講師として登壇。ドイツワインとインド料理とのペアリングを楽しみながら、ドイツワインの最新情報について解説があった。

今回の記事では、当日解説されたドイツワインの“今”を知るキーワード「リースリング」と、気候変動が白ぶどう品種に与えた影響について紹介する。

ドイツのリースリングとは

世界最大のリースリング栽培国である、ドイツ。ドイツの栽培面積を見ると、白ぶどう品種の23%をリースリングが占めている。リースリングからつくられているのは、主にライトからミディアムボディの酸が際立つ辛口のワインだ。

ワインの勉強をしていると、リースリングのアロマの特徴として「ペトロール香(石油香)」という言葉が出てくる。瀧田氏は2019年に現地で研修を受けた際に、「ペトロール香は熟成したリースリングだけに使う表現」と教わったという。若いリースリングには、「オイリーミネラル」と表現するのが適切だそうだ。

ドイツのリースリング生産地

ドイツのリースリングについて瀧田氏は、「生産地域によっていろんなキャラクターが出ているというのが面白く、ユニークなところ」と説明した。

さまざまな地域でリースリングを生産しているドイツの中でも、特に有名なのがモーゼルだ。冷涼な地域であり、エレガントでキメの細かい酸とチョーキーで芯のしっかりしたミネラル感が世界の愛好家の心をつかんでいる。続いて有名なのが、やや温暖なラインガウ。果実味のあるよりリッチなボディのワインになるという。

イベントでは、ラインガウのリースリングがウナギと共に提供された。

▼イベントで提供されたリースリング

リースリング キャビネット 2021

Riesling Kabinett 2021
生産地:ラインガウ
生産者:ライツ
品種:リースリング
アルコール度数:11.0%
参考価格:3630円(税込)

気候変動で変わりゆく、ドイツの白ワイン品種

2000~2022年のデータを見てみると、リースリングの栽培面積は10%ほど増加している。一方で、45%以上も栽培面積が減少しているのが、ミュラー・トゥルガウだ。糖度の上がりやすい品種であり、甘口の白ワインがつくられることが多い。

その代わりに、ブルゴーニュ品種が栽培面積を大きく伸ばしている。シャルドネが347%、グラウブルグンダー(ピノ・ブラン)が192%、ヴァイスブルグンダー(ピノ・グリ)が138%と著しく増加。「気候変動によって多様性が生まれている」と瀧田氏は説明した。

次回の記事では、瀧田ソムリエより解説された、ドイツワインの“今”を知るのに欠かせない4つ目のキーワード「シュペートブルグンダー」について詳細を紹介する。

<登壇者:瀧田昌孝ソムリエ>
2019年にGerman Wine Instituteが主催する「Sommelier Summer Class」に参加。ドイツの醸造学で最も権威のあるガイゼンハイム大学にて、世界14カ国から50人のソムリエと共に1週間の研修を受けた。現在は、German Wine Academy(ジャーマン・ワイン・アカデミー)の公認講師としても活動している。


【関連記事】「進化するドイツワインとモダンインディアンキュイジーヌのハーモニー」レポート
①瀧田昌孝ソムリエが解説! 進化するドイツワインの“今”
②ドイツワイン×若手シェフがつくり出すインド料理のペアリング
③瀧田昌孝ソムリエが解説! ドイツ人が愛する「ゼクト」とは
④瀧田昌孝ソムリエが解説! 未来のためのぶどう品種、ドイツ生まれの「PIWI」とは

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ