サッポロビールは2024年10月9日、グランポレールワインバートーキョー(中央区銀座)にて、「グランポレール新商品試飲体験会」を開催した。体験会では、同年9月25日に数量限定で発売した4本のワインを試飲できた。
今回は4本のうち、安曇野池田ヴィンヤードの「グランポレール 安曇野池田シャルドネ ブラン・ド・ブラン<トラディショナル・メソッド>2020」と「同 安曇野池田ソーヴィニヨン・ブラン<薫るヴェール>2023」の2本を、チーフワインメーカーの多田淳氏とシニアワインメーカーの工藤雅義氏によるトークセッションの内容を交えて紹介する。
安曇野池田ヴィンヤードとは
2009年に長野県北安曇郡池田町に開園した自社畑で、高品質なフランス系品種を中心に手掛けている。もともと桑畑だったこともあり、面積は12.4haとかなり大きい。
この畑には3つの特徴があり、1つは風通しが良く標高が高い影響で、日中と夜の寒暖差が大きいこと。もう1つは、傾斜がかなりあって小石が多いため、非常に水はけが良いこと。最後は、土壌が痩せていることだ。土壌が痩せていると深く根を張り、地中の養分をしっかり吸収する。
こうした3つの特徴により、赤ワイン用ぶどうは小粒になり、濃縮感あるワインが生まれる。白ワイン用ぶどうも小粒で、香りのポテンシャルが高いワインが生まれるという。
安曇野池田シャルドネ ブラン・ド・ブラン<トラディショナル・メソッド>2020
グランポレールが、安曇野池田ヴィンヤードのシャルドネを使って手掛けた、初の瓶内二次発酵スパークリング。安曇野池田ヴィンヤードは、成熟を待っても酸が保たれるのが特徴とのこと。瓶内二次発酵スパークリングには欠かせない、豊かな酸を生かしたスパークリングだ。
スティルワインにするシャルドネよりも、早い時期に酸の残った状態で収穫し、ノン・ドザージュ(糖分を補わない)で、非常にシンプルなつくりにこだわったのだという。
2023年に発売した「余市ピノ・ノワール」と収穫年は同じだが、デゴルジュマン(瓶で熟成した後に澱<おり>を抜いてコルクを詰める工程)の前にテイスティングをした多田氏が、シャルドネはまだ味わいが若いと判断し、「1年間待った方が、絶対に品質が上がります」と工藤氏に話をしてさらに1年間熟成させた。瓶の中で酵母とワインが触れ合う期間が長くなったことで、ブリオッシュやバター系の香りがより出てきたという。工藤氏は、「余市ピノ・ノワールよりシャルドネの方が、酵母と長く接触することで香りが本領発揮するという判断で1年長く熟成させました」と当時を振り返っている。
【味わい】
よく溶け込んだ繊細な泡、マーマレードのようなかんきつ系の香りに瓶内二次発酵および熟成由来のブリオッシュやフレンチトーストを想わせるアロマ、しっかりとした酸とリッチな味わいが特徴。
(当日の資料より)
ドザージュをしていないのにほんのりと感じる甘やかさとバランスの良い酸味があり、安曇野池田ヴィンヤードのぶどうの実力が実感できる、スパークリングワインだ。幅広い食事に合わせやすい万能な1本。
安曇野池田ソーヴィニヨン・ブラン<薫るヴェール>2023
2021年ヴィンテージから、「薫るヴェール」という名前が付いたソーヴィニヨン・ブラン。2020年にボルドーから帰国した多田氏が、当地で学んだ技術から安曇野池田ヴィンヤードに合う栽培方法を採用し、2021年から発酵の温度など醸造も見直した結果、納得のいく香りが出たのだという。
2023年は、雨が少なくて日照量が多く、ぶどうの出来が非常に良かったこともあり、「Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2024」で金賞を受賞するなど高評価を受ける結果となった。また、2022年までは一部に樽を使っていたが、香りを引き立てるために全く樽を使わなくなった最初のヴィンテージでもある。
工藤氏は、「私はこの香りがなかなか出せなかったのですが、ボルドー大学やボルドーのワイナリー研修で得た知見を、日本の状況に合わせて生かし、この香りが出てきたっていうのは、多田さんの功績」とコメントしている。
【味わい】
厚みのあるソーヴィニヨン・ブランで、秋の味覚とも合わせたくなる1本だった。
(当日の資料より)
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