コラム

パーティーを彩ったカリフォルニアの赤ワイン10本 ~「カリフォルニアワイン・ハウスパーティー」レポート⑥

カリフォルニアワイン協会は、カリフォルニアワインの日である9月9日に、Things Aoyama Organic Garden(港区南青山)にて「カリフォルニアワイン・ハウスパーティー(California Wine House Party)」を開催した。

当日、会場で提供されたワインは31種類。今回は、赤ワインブースで提供された10本のワインを紹介する。

軽やか/フルーティーな赤5本

タサハラ ピノ・ノワール 2021

「タサハラ」は、シャイド・ファミリー・ヴィンヤーズのぶどうを使用し、ヴィノ・デル・ソルグループが手がけるブランドだ。モントレーのタサハラ温泉から名前が付けられている。除梗したぶどうを、オープントップのステンレスタンクにて2~3週間かけてパンチングダウンをしつつ、発酵と浸漬を行い、10カ月間熟成(フレンチオーク新樽35%)している。

【テイスティングコメント】
チェリー・ブラックベリー・プラムのアロマに、バニラやモカといったオークのニュアンス。ミディアムボディ、鮮やかな⾚果実の味わい、柔らかでありながらストラクチャーのあるタンニン。滑らかでシルキーな口当たりと合わさり、料理との相性も抜群。
輸入元:ボニリジャパン

品種:ピノ・ノワール100%
産地:モントレー
アルコール分:13.5%
参考小売価格:3036円(税込)

ラピス・ルナ ジンファンデル 2021

ラベルが印象的な「ラピス・ルナ」シリーズは、果実味を重視した柔らかな抽出のワインだ。ジンファンデルにサンジョヴェーゼを20%ブレンドしており、甘めになりがちなジンファンデルに優しい酸が加わっている。フルボディのカリフォルニアワインに混ざって、著名なステーキハウスでも採用されている1本だ。

クリーンな果実味を引き出すため、優しく圧搾された澄んだ果汁を使用して、品種ごとに醸造している。ステンレスタンクで長時間かけて温度コントロールをしながら、発酵させる。どちらもポンプ・オーバーを1日2回行い、果皮や種からの抽出を促す。発酵後はオーク樽に移してフレンチオーク樽とアメリカンオーク樽を使用して10カ月間熟成(新樽10%)している。

【テイスティングノート】
暗く、深い濃密な赤色。ブルーベリーの豊潤な果実味、 ダークプラム、ブラックベリーを煮詰めた香り、ベリーのタルトを思わせる濃密でリッチな味わい。とても滑らかな質感で、長い余韻にスパイスを感じる。
輸入元:ソムリエ

品種:ジンファンデル80%、サンジョヴェーゼ20%
産地:ノース・コースト
アルコール分:14.5%
参考小売価格:4576円(税込)

オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール サンタ バーバラ カウンティ2022

サンタ・バーバラでブルゴーニュ品種を手がけるオー・ボン・クリマ。アメリカで最も有名なワイナリーの1つとして知られている。創業者のジム・クレンデネン氏が亡くなった後は、子であるイザベル氏とノックス氏が創業から40年間変わらずに続けられたワインづくりを受け継いでいる。手摘みで収穫し、少量で発酵させ、少量のフレンチオーク樽で熟成させている。

【テイスティングノート】
ブラックチェリーの香りに甘草のニュアンス。味わいは、フレッシュさと凝縮した果実感がバランスが良く調和している。エレガントながらも、しっかりとしたタンニンがよく溶け込んでいる。
輸入元:JALUX

品種:ピノ・ノワール100%
産地:サンタ・バーバラ・カウンティ
アルコール分:13.5%
参考小売価格:4950円(税込)

セラーズ33 ピノ・ノワール・ハミングバード・ヒル 2017

サンフランシスコ市内にあるアーバンワイナリー。サステナブル農法やオーガニック農法にこだわったぶどう農家と契約し、繊細さと凝縮感のあるワインを手がけている。100%マロラクティック発酵(MLF)を行い、フレンチオーク樽(新樽14%)で10カ月熟成させている。「ワイン・エンスージアスト(Wine Enthusiast)」にて94点を獲得したワインだ。

【テイスティングノート】
透き通ったルビー色がきれいで、花の香りが繊細。セージと紅茶の素朴な要素が、チェリー、ザクロ、ブラッドオレンジの爽やかでエレガントなフレーバーを醸す。焼いたスパイスの持続的な仕上げがフィニッシュを締めくくる。
輸入元:エフセラーズ

品種:ピノ・ノワール100%
産地:ソノマ・コースト
アルコール分:14.1%
参考小売価格:8800円(税込)

サンドラー ロシアン・リヴァー・ヴァレー ピノ・ノワール キュヴェ・マーシー 2020

生産量が少なく、入手困難なワインが多いことでも知られるサンドラーが、長く信頼関係のある銘醸畑キーファー・ランチのぶどうを使って手がけたワイン。銘醸畑キーファー・ランチに、サンドラーのためにピノ・ノワールのクローン23を植えた、故・マーシー・キーファー氏に捧げたもの。

【テイスティングノート】
生き生きとした淡いルビー色。御影石を砕いたようなニュアンスのミネラル感とアジア系のスパイスが印象的。ブラックベリーや完熟のクランベリーのフレーバーの中に白胡椒やウッディーなアロマ。存在感のあるタンニンと酸のバランスが素晴らしい。
輸入元:アイコニック ワイン・ジャパン

品種:ピノ・ノワール100%
産地: ロシアン・リバー・バレー
アルコール分:14.5%
参考小売価格:1万230円(税込)

力強く濃厚/飲み応えのある赤5本

ライン39 メルロ 2019

オニール・ヴェントナーズ&ディスティラーズが手掛けるブランド。「ライン39」とは、カリフォルニア州の中心を通る北緯39度を意味している。パソ・ロブレスとローダイ、モントレーのぶどうを主に使用している。

【テイスティングノート】
ソフトでデリケートなテクスチャーで、フレッシュチェリーやモカの優しい味わい。
輸入元:飯田

品種:メルロー主体
産地:カリフォルニア
アルコール分:14.2%
参考小売価格:3300円(税込)

コナンドラム・レッド2021

ナパ・バレーの人気ワイン「ケイマス」で知られるワグナー家が手掛けるブランド。AVAに縛られない品種のブレンドで、1989年のリリース以来、愛され続けているワインだ。濃厚で複雑ながらもフードフレンドリーな味わい。生産者のチャーリー・ワグナー氏はお薦めのフードペアリングに「アジア料理、インド料理、メキシコ料理、燻製肉やグリルハンバーガー、フライドポテト」を挙げている。

【テイスティングノート】
縁がマゼンタにグラデーションがかった紫色の色調。グラスからは果実のアロマがふんだんに立ち上る。チャーミングなイチゴや調理したクランベリー、わずかに漂うカシスの香りが魅力。他にも、チョコレートやトーストのようなニュアンスも現れる。口に含むと滑らかなタンニンと共に、濃密な果実味が広がる。余韻には、ベリーのタルトやバニラなど甘やかなスパイス、黒系果実の風味が持続する。リッチな印象に仕上がった1本。
輸入元:エノテカ

品種:プティ・シラー、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨン(ブレンド比率非公開)
産地:カリフォルニア
アルコール分:14.6%
参考小売価格:4180円(税込)

ボーリュー・ヴィンヤード ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2021

ナパ・バレーのラザフォードで1900年に設立され、「マエストロ」と呼ばれる伝説的ワインメーカー、アンドレ・チェリチェフ氏をカリフォルニアに迎えたことでも知られるワイナリー。温度管理したスレンレスタンクにて14日間発酵し、フレンチオーク樽とハンガリアンオーク樽、アメリカンオーク樽(新樽25%)にて15カ月間熟成している。

【テイスティングノート】
ブラックベリー、熟したプラムの層から始まり、モカやチョコレートのノートが続く。タンニンは凝縮しており、エレガントなバランスとストラクチャーが口いっぱいに広がる。トーストしたオーク樽からくるシナモンやナツメグなどのスパイスのノートとベリー系の果実のアロマが全体を引き立て、風味が長く口当たりの良いフィニッシュへと導く。
輸入元:日本リカー

品種:カベルネ・ソーヴィニヨン主体
産地: ナパ・バレー
アルコール分:14.7%
参考小売価格:9350円(税込)

ベル・グロス デイリーマン ピノ・ノワール 2021

こちらもナパ・バレーの人気ワイン「ケイマス」で知られるワグナー家が手がけるブランド。世界に誇るカベルネ・ソーヴィニヨンのつくり手ー家のジョー・ワグナー氏が設立した、沿岸地域のピノ・ノワールに特化したワイナリーだ。「酪農家(デイリーマン)」と名前の付けられた畑のぶどうを使用した1本。風味を最大限に引き出した果汁をフレンチオーク樽(新樽60%)で最大9カ月熟成させている。

【テイスティングノート】
豊かなブラックベリーや熟したプラムの香りと共にドライハーブやスモークのニュアンスも感じられます。
輸入元:都光

品種:ピノ・ノワール100%
産地:ロシアン・リバー・バレー
アルコール分:14.8%
参考小売価格:9680円(税込)

リットン・スプリングス ジンファンデル 2019

ジンファンデルやカベルネ・ソーヴィニヨンで知られるリッジ・ヴィンヤーズの代表銘柄の1つ。ジンファンデルの凝縮感を堪能したい人にお薦めの1本だ。天然酵母でのアルコール発酵を経て、天然乳酸菌でマロラクティック発酵を行い、天日乾燥させたアメリカンオーク樽(新樽15%)で14カ月熟成させている。

【ラベルテキスト】
前年の短かった収穫期間の後、ぶどうの樹はその反動で多量の果実を実らせた。ほどほどの夏の気温の中、果実はゆっくりと熟していく。摘み取りを9月半ばまで待つことで、全品種がちょうどよい状態を迎えた。MLFの後、24の区画を1つにした。その中にはプティ・シラーのみの区画が2つ含まれていたが、それがジンファンデルの豊富な果実味に骨格を与えてくれた。若いころから楽しめるが、今後15年にわたり、複雑性を増していくだろう。
ジョン・オルニー(2020年12月)
生産者:リッジ・ヴィンヤーズ

品種:ジンファンデル73%、プティ・シラー16%、カリニャン9%、マタロ(ムールヴェドル)2%
産地:ドライクリーク
アルコール分:14.6%
参考小売価格:1万780円(税込)

【関連記事】「カリフォルニアワイン・ハウスパーティー」レポート
①CWI、カリフォルニアワイン・ハウスパーティー」を開催
②方程式×ブリッジ食材で広がるカリフォルニアワイン・フードペアリング・ワークショップ
③パーティーを彩ったカリフォルニアのスパークリングワイン&ロゼ6本
④パーティを彩ったテーマ産地パソ・ロブレスのワイン5本
⑤パーティーを彩ったカリフォルニアの白ワイン10本

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ