コラム

職人気質のドメーヌがつくる、華やかなアロマが広がるワイン ――「アルザス&コート・デュ・ローヌワイン」試飲会レポート③

アルザスワイン委員会(CIVA)とローヌワイン委員会(INTER-RHÔNE)は2024年10月23日、東京都港区の八芳園にて、アルザスとコート・デュ・ローヌワインのセミナー&試飲商談会を開催した。

ワインビジネス従事者に向けたこの会では、ワインの知識やワインと出会う機会を提供するため、「コート・デュ・ローヌの白とアルザスの赤ワイン」「調味料から探るアルザス&コート・デュ・ローヌワインのペアリングポテンシャル」という2つのセミナーを用意し、アルザスとコート・デュ・ローヌワインの新たな楽しみ方を伝えた。

また、同時に行われた試飲商談会では、インポーター40社がそれぞれ自慢のワインを紹介し、その魅力をアピールした。

本記事では、試飲会に出品されたワインから、コート・デュ・ローヌ地方の「キュヴェ・ブレゼ(Cuvée Brèze)」を紹介する。

「キュヴェ・ブレゼ」とは

「キュヴェ・ブレゼ」は、北ローヌのコンドリュー(Condrieu)地区に位置するリモニー(Limony)村で、ドメーヌ・ルイ・シェーズ(Domaine Louis Chèze)がつくる白ワイン。

このワインのぶどうは、コンドリュー地区でも高品質なぶどうが育つとされる、リモニーの斜面にある畑で収穫されている。ワイン名の「ブレゼ」はこの区画の名前で、樹齢30年のヴィオニエ種の樹から採れたぶどうを100%使用している。

「キュヴェ・ブレゼ」は北ローヌの伝統を守り、細長いフルート型のボトルに詰められているのが特徴だ。

ワイナリー、ドメーヌ・ルイ・シェーズとは

1978年にルイ・シェーズ氏が引き継いだドメーヌ・ルイ・シェーズは、リヨンの南60km、ローヌ川右岸の丘にある北ローヌの独立系ドメーヌ。

当初は1haの畑からスタートしたが、現在ではコンドリューやサン・ジョセフ、その他プレミアムワイン用の畑などを合わせ、合計35haを所有する。

当主のシェーズ氏は職人気質の人物で、ぶどう畑の区画ごとに異なる醸造法を用い、ワインに合わせた熟成を模索し続けている。また、品種の用い方や樽の使い方、バランス感覚に秀でており、各テロワールの真髄を引き出すべく心血を注いでいる。

そのワインは約8割がフランス国内で流通しており、レストランなどに多く出荷される。つまり、アジア圏への輸出は多くないため、日本では希少なものだ。

「キュヴェ・ブレゼ」の特徴と味わい

インポーターであるアグリ営業部の小林裕弥(ゆみ)氏に話を聞いた。

――「キュヴェ・ブレゼ」について教えてください。

ぶどうが採れるのは、リモニーの斜面にある真南を向いた2haの区画です。ルイ・シェーズ氏によると、斜面上部の区画「パグ・ルミニス」よりも、中腹にある「ブレゼ」の方がさらに品質が良いとのことです。

ぶどうの実を樽で発酵させ、その後ワインの澱(おり)を除かないシュール・リーという製法を用いて攪拌(バトナージュ)します。さらに、新樽と2~3年使った樽で熟成させます。この製法によって、複雑さと独特の香りが引き出されます。

――「キュヴェ・ブレゼ」はどんな味わいでしょうか。

「小さな白い花」に例えられる芳香が特徴です。口に含むとまずフレッシュさが感じられ、その上でアプリコットや蜂蜜などバランスの取れたアロマが広がり、蜂蜜とミネラルが混じり合った余韻が長く続きます。8~11℃に冷やしてお飲みください。

「キュヴェ・ブレゼ 2021」

生産者:ドメーヌ・ルイ・シェーズ
産地:フランス、コート・デュ・ローヌ地方
色・タイプ:白・辛口
品種:ヴィオニエ100%
参考価格:1万560円(税込)


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About the author /  菅沼 佐和子
菅沼 佐和子

おもに旅行の書籍やウェブサイトの制作に携わる編集者兼ライター。世界各地を旅するうちに、ワインに出会い興味をもつ。好きなワインはポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデ。