フランス・ガスコーニュ地方の白ワインのパイオニアである、ドメーヌ・タリケ(Domaine Tarique)。2025年1月下旬には、オーナーの1人であるアルミン・グラッサ氏と営業担当のシモン・ボワシエラ=ヌーヴィル氏が来日した。
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アルミン・グラッサ氏(右)とシモン・ボワシエラ=ヌーヴィル氏(左)
今回は、その際に開かれたランチ会でうかがった話を中心に、ドメーヌ・タリケを代表するワイン「タリケ クラシック」について紹介する。
「アルマニャック」の生産者が手がけた白ワイン
「タリケ クラシック」は、白ぶどうを蒸留してつくるブランデー「アルマニャック」の産地であるガスコーニュ地方で、ドメーヌ・タリケの4代目となるイヴ・グラッサ氏が1982年に初めて手がけた白ワインだ。1987年には、「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(International Wine Challenge:IWC)」でイヴ氏が白ワインメカー・オブ・ザ・イヤーに選出されている。
アルミン氏は、「本当にフレッシュでフルーティーなワインとしてつくっています。エステートのスタイルを体現するような、ドメーヌ・タリケを代表するワインです」と語っている。
「タリケ クラシック」がサッポロビールから発売されたのは、2018年4月。現在は、日本国内17の漁連・漁協から“魚介に合うワイン”として公認を受けて鮮魚コーナーに置かれるほどになった。魚のプロから信頼されるワインとなり、販売規模や売上も順調に拡大している。
2022ヴィンテージからリニューアル
2021ヴィンテージまでは、ガスコーニュ地方の主要品種ユニ・ブランを第1品種とし、コロンバール、グロ・マンサン、ソーヴィニヨン・ブランの4種類をブレンドしていたが、2022年ヴィンテージにリニューアルを実施。第1品種がグロ・マンサンとなり、ユニ・ブラン、コロンバール、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、シュナン・ブランという6種類のブレンドとなった。フレッシュでフルーティーなワインというスタイルは変わらず、アロマとボディがプラスされ、長い余韻でより料理を引き立てる味わいになったという。
このリニューアルについてアルミン氏は、「実は先代がぶどう栽培を始めたときには、ガスコーニュ地方ではユニ・ブランよりもコロンバールがつくられていました。この地域で一番栽培されているコロンバールよりも、ユニ・ブランを採用したところが、ドメーヌ・タリケのユニークさです。ユニ・ブランは、フレッシュかつエレガントで、線が細い印象がありますが、グロ・マンサンは、厚みと味わい深さ、白桃やマンゴーなどのエキゾチックなニュアンスが加わります」と解説している。
新「タリケ クラシック」の味わい
タリケ クラシック2023
タイプ・味わい:白・辛口
ぶどう品種:グロ・マンサン32%、ユニ・ブラン25%、コロンバール20%、ソーヴィニヨン・ブラン15%、シャルドネ5%、シュナン・ブラン3%
アルコール度数:11.0%
参考小売価格:1106円(税別)
ヴィーガン対応
生産者が語る味わい
アルミン氏は「タリケ クラシック」の味わいについて、「マンゴーのような、本当にアロマティックでエキゾチックな香り。以前のものと比較しても、より複雑さが増してストラクチャーもしっかりし、若干丸みを帯びた感じといった要素が加わりました。それでもフレッシュ&フルーティーのニュアンスをそのまま継承しつつ、追加要素が非常に多いワインかなと思います」とした上で、「飲みやすい味わいなので、ビールが苦いと感じている人にとって良い選択肢になるのではないか」と話している。
また、アルコール度数の低さについても強調されていた。2023ヴィンテージは11%だが、2024ヴィンテージは10.5%になるそうだ。
寿司や刺身のような和食、シーフード全般に合うが、特におすすめしたいペアリングは地元でも愛されている、かきとのこと。現地では、かきのセヴィチェ(魚介のマリネ)やフライと一緒に食べられているそうだ。「クラシックの酸味が好きなので、とろけるチーズとハムを合わせてもいいですね」と話されていた。
複雑なのにとっつきやすい
ランチ会では、5つの料理と共に「タリケ クラシック」を楽しんだ。
ラザニアのようなこってりとした濃い料理には残念ながら負けてしまうが、「タリケ クラシック」の酸味とフレッシュ&フルーティーさが、素材の味を楽しむ料理から揚げ物までしっかり寄り添う味わいだった。
魚介と相性の良いミネラル感があり、6つの品種が生む複雑さが「タリケ クラシック」が幅広い料理に合う理由だが、印象としてはフレッシュ&フルーティーなので、非常にとっつきやすい味わいになっている。リフレッシュタイムにも、普段ワインを飲まない人もいる集まりに持ち込むワインとしても重宝しそうだ。
デイリーに楽しめる価格帯で、「タリケ クラシック」がある方が料理がおいしく感じられる、という体験をできるのはお得だろう。