インフォグラフィック「Red Wine Infographic: Everything You Need to Know about Red Wine」など複数の記事・書籍を参考に、世界各国の赤ワイン事情を取り上げていく本連載。今回取り上げるのはフランスだ。
フランスは世界最高水準の赤ワインを生み出すワイン王国!
フランスは「ワインが生活の一部になっている」と言っても言い過ぎではないワイン大国だ。
ワイン好きなら、誰しも「ボルドー」「ブルゴーニュ」の名前を1度は耳にしたことがあるはず。フランス・赤ワインの双璧だ。
フランスのワイン品質は、法律により厳しく統制されている。2000~3000円ほどで買えるワインは、厳しく言ってしまうと「せいぜい及第点」といったところのワインでしかないという。
フランスは、北緯41~51度に位置し、北海道からサハリン近辺とほぼ一緒。日本で考えると、寒冷地と呼ばれる場所に当たる。
しかし、そこは地の利があり、大西洋を流れる暖流と、地中海性気候に守られ、良質かつ個性的な赤ワインを生み出せる気候となっている。
「ワインの女王」ボルドー vs 「ワインの王」ブルゴーニュ
ボルドーとブルゴーニュ、この2つの地域はフランス赤ワイン界の双璧を成す。
ボルドーはフランス南西部に位置し、そこで醸造される赤ワインはキメの細やかさとしっとりした味わいから「ワインの女王」と称される。
主に、メルロー種、カベルネ・ソーヴィニヨン種のブレンドにより醸造されている。
色は濃く、タンニンは強い。価格が高いものほど、それに見合った仕上がりの赤ワインを楽しめる。
面白いのは、同じボルドー地域でも、フランス南部のローヌ地方に近い場所で醸造された赤ワインは、コート・デュ・ローヌに近い味わいに仕上がることだ。
ボルドーの赤ワインは、スパイシーな香りを特徴に持つことから「ワインの王」と称される。
一方、ブルゴーニュはフランス中部に位置する。ボルドーとの大きな違いは、ボルドーが複数種のぶどう品種をブレンドして醸造するのに対し、ブルゴーニュはピノ・ノワール単一種で醸造されるところだ。
ちなみに「バーガンディ」というのはブルゴーニュの英語名。バーガンディは一様に軽めのため、物足りなさを感じるだろう。しかし、使用されるピノ・ノワール種は畑ごとに味が違うことから、ワイン好きを魅了してやまない。違う畑で栽培されたぶどうをブレンドするようなことがあれば、その味わいは台無しだ。そして、ランクとしては最低レベルの評価を受けるだろう。グランクリュの格付けを持つ畑で育ったぶどうを使った赤ワインともなれば、「人生を変える」と言っても大袈裟ではない高品質なものを味わえる。
日本でおなじみのボジョレー・ヌーボーは、ブルゴーニュの赤ワイン。使用ぶどうはガメイ種で、ザクロやクランベリーのような味わいをもつ。ボジョレー・ヌーボーは熟成を必要としないいわゆる「早飲みワイン」である。
双璧に続く、代表的なフランス赤ワインは?
フランスには、ボルドーとブルゴーニュ以外にも優れた赤ワインを生み出す産地がいくつかある。
まずはコート・デュ・ローヌ。ローヌ川沿いに南北200kmにぶどうの栽培地が広がる。ぶどう単一種では酸味が乏しいため、グルナッシュ種、シラー種、ムールヴェードル種をブレンドすることにより、味わいのバランスを保っている。
本格的にコート・デュ・ローヌを楽しみたいなら、ラベルに村の名前の印字があるものは格付けが高くてオススメだ。良質な赤ワインは、価格と熟成期間が増えるほど、出会える確率が高くなることを覚えておいてほしい。
続いてはロワール。ロワール地方はフランス北西部に位置する。カベルネ・フラン種が醸造には主に使用されている。
色は淡く、フレッシュな酸味が特徴的であるものの、力強さに欠ける。未熟なブドウで醸造すると青臭いワインが出来上がってしまうので注意が必要だ。