コラム

初心者が知っておきたい世界の赤ワイン事情まとめ ~イスラエル・南アフリカ編 ~

インフォグラフィック「Red Wine Infographic: Everything You Need to Know about Red Wine」など、複数の記事・書籍を参考にして世界各国の赤ワイン事情を取り上げていく本連載。今回はニューワールドワインとしては比較的歴史がある中近東のイスラエルと、アフリカ大陸最南端の南アフリカの赤ワインを取り上げる。

Rota Winery, Negev Israel

イスラエルの赤ワイン、聖地で復活を遂げる!

「イスラエルがワイン発祥の国」と言ったら驚くだろうか。イスラエルで赤ワインが醸造されたのは、さかのぼること約4000年前。旧約聖書にもワインに関する記述がある。もちろん大衆向けにつくられたワインではなく、キリスト教の儀式に使われたのが起源だと言われている。

イスラエルが7世紀にアラブの支配下に入ったことで、ワインづくりが禁じられることになった。その後、約1200年もの間、ワインづくりの空白時期が続く。約300種あった土着固有の品種も、この間に喪失したという。

Grapes and Wine

ワイン生産が再開されたのは19世紀に入ってから。ロスチャイルド家がその後押しをした。1990年代に入ってからは飛躍的に発展し、2000年に入ってようやく世界の表舞台に登場する。

国土の約6割が砂漠に覆われているが、ワインづくりに最適な環境が整っている。ほぼ全土が地中海性気候に属し、昼夜の寒暖差により、糖と酸の割合が絶妙なぶどうが栽培できるのだ。また、土壌も排水の良い火山性の土壌で、高品質なワインづくりの一助となっている。

Wine Vineyard 277

イスラエル産赤ワインの主要品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、シラーズ。火山性土壌で育ったぶどうからつくられる赤ワインの特徴は、多種多様だ。ブルーベリー、カシス等の果実味を感じられるフレッシュな仕上がりのものから、スパイシー、スモーキーな印象が前面に出てくるもの、またはミネラルを感じる味わいのものまで、バラエティーに富んでいる。

もともと「オールドワイン」として誕生したイスラエルのワインだが、時代を超えて今は「ニューワールドワイン」として世界の注目を集めている。

Israeli Wine

南アフリカ産赤ワインの人気の秘密

南アフリカのワインの歴史は、建国の歴史と時期をほぼ同じくする。17世紀半ばにオランダ東インド会社がケープタウンの開拓を進め、オランダ人の入植とともにぶどうの木が持ち込まれてワインづくりが始まった。

ワイン生産の中心は西ケープ州。気候は地中海性気候で、海からの風と豊富な日光量、良質な水と土壌がぶどうの発育を助けてくれる。

Vergelegen Wine Estate

南極からの冷たく強い風は、「ケープドクター」(ケープのお医者さん)と呼ばれている。この風のおかげで空気が乾燥し、ぶどう栽培の妨げとなるさまざまな病気や害虫を寄せつけない。また、風が畑を常に乾燥した状態に保ってくれるため、カビの付着も防いでくれる。

南アフリカのワインが注目されるのは、リーズナブルで高品質なことも理由ではあるが、政府による厳しい環境基準の下に減農薬・酸化防止剤微量使用、リサイクルを図っていること、持続可能性やフェアトレードなどの社会貢献を、国を挙げて徹底しているからでもある。

Winds of Change (Organic and Fair Traded)

南アフリカ産赤ワインの主要品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・タージュだ。ピノ・タージュはピノ・ノワールとエルミタージュ(サンソー)を交配して開発された南アフリカ独自の黒ぶどう種だ。特徴は、非常に濃い鮮やかな赤で、スモーキーな香り、ピート香のするスコッチウィスキー、木いちごやドライフルーツ、あるいはキノコのようなやや泥臭いアロマで、酸味が強く、渋みもしっかりしている。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  ワインバザール編集部
ワインバザール編集部

世界各国のワインに関するニュースやコラムなどを配信していきます。