ローマから東に200kmの距離にある、イタリアのワイン産地・アブルッツォ。そのアドリア海沿岸にオルトーナという自治体があり、そこにカルダリという町がある。
ぶどう畑が広がるこの小さな町が、世界中のワイン好きから注目を集めることとなった。
その理由がこちらだ。
おしゃれな洗面所のように見えるこの場所だが、実は蛇口をひねると出てくるのは水ではなく“ワイン”だという。
▼外観もよく見ると巨大なワイン樽
この「ワインの泉」は24時間年中無休で開放されている。なんと訪れた人は無料でワインを飲むことができるのだ。
巡礼者の渇きを癒やすために設置
ワインの泉があるのは、Dora Sarcheseというワイナリーの敷地内だ。
カルダリは、ローマからサン・トンマーゾ教会に向かうカトリック教徒の巡礼路にある町。毎年数千人の巡礼者が訪れるという。巡礼者たちの渇きを癒やせるようにと、NPO団体と一緒に設置したのだそうだ。
実は同様のワインの泉は、スペインにあるカミーノ・デ・サンティアゴの巡礼路にもある。現地のワイナリーBodegas Iracheが設置し、毎日800Lのワインが無償で提供されているという。
そんなスペインのワインの泉に触発されて、カルダリにもワインの泉が設置されたそうだ。
利用者のお行儀も◎
巡礼者の渇きを癒やすのはとても素敵なアイデアだが、無料のワイン目当てに長居をする人や、ボトルに移し替えてしまう人がいるのではないかと心配になってしまう。
ワイナリーも自身のFacebookページにて、「酔っぱらうのが目的の人はお断り」と念を押しているのだが、心配する必要はないようだ。
利用者はちゃんとDora Sarcheseの意図を理解しているようで、しっかりと列をつくり、コップ1杯のワインを楽しんでいるという。
▼なかなかの大盛況ぶり
どんなワインが提供されているのか
アブルッツォはモンテプルチャーノ種を使用した赤ワインが有名な地域だ。蛇口をひねって出てくるのも赤ワインだというが、残念ながら品種は明らかにされてはいない。
また、平日ならワイナリーもオープンしており、週末も予約があれば開けているそうだ。巡礼者への心遣いを楽しんだ後には、粋な試みをするワイナリーを見学してみるのも素敵かもしれない。