ロゼワインはどうやってつくるのか、ご存じだろうか。混ぜるのか、黒ぶどうの皮を剥くのか、はたまたロゼ専用のぶどうがあるのか。
ロゼワインには、大きく分けて3つのつくり方がある。意外と知られていない、ロゼワインのつくり方について解説する。
赤ワインのようなつくり方<セニエ(マセラシオン)法>
黒ぶどうを使い、果皮や種子も一緒に醸造を開始する。ここまでは赤ワインの醸造方法と同様だが、セニエ法では醸造の途中、程よく液体が色付いたところで果醪(かもろみ。ぶどうの果汁・果皮・果肉・種子の混合物)から果汁を分離し、果汁のみ発酵を継続する。分離した後は、赤ワインよりも低めの温度で発酵を行う。この方法は、ロゼワインのほか、赤ワインの風味を濃縮させるためにも使われる。
セニエとは、もともとは「瀉血(しゃけつ)」という意味を持ち、中世ヨーロッパで一般的だった治療法のこと。体にたまった老廃物などを血と一緒に抜き取るという治療だったと言われる。
白ワインのようなつくり方<直接圧搾法>
黒ぶどうを使い、白ワインのような醸造方法でつくるのが、直接圧搾法だ。白ワインのように、破砕した黒ぶどうを圧搾し、果汁を発酵していく。圧搾の際に果皮の色が果汁に移るので、ロゼワインとなる。
果汁の濃淡は、圧搾の方法によって異なる。フリーラン果汁(圧力をかけずに自重で出てきた果汁)は色が淡くなり、プレス果汁(圧力をかけて搾った果汁)は、色が濃くなる傾向がある。
白ぶどうと黒ぶどうを一緒に醸造<混醸法>
最初から白ぶどうと黒ぶどうを混ぜ、セニエ法と同じように、途中で果汁だけを抜き取り発酵を続ける方法を混醸法という。この方法でつくられるロゼワインで有名なのは、ドイツのロートリングだ。
以上の3種類が、代表的なロゼワインの醸造法だ。また、スパークリングワインについては、特別に少量の赤ワインを白ワインに添加する「アッサンブラージュ(ブレンド)法」が用いられているが、ヨーロッパではスパークリングワインを除き、この方法は禁止されている。
ちなみに、シャンパーニュにおいてもロゼをつくるのにアッサンブラージュ法を用いているところが多いが、ローラン・ペリエやポメリー、ルイ・ロデレールなどは大変手間がかかり変色のリスクもあるセニエ法を採用している。