ワインを飲む方なら「当たり年」について、耳にしたことがあるだろう。当たり年とは、その地方において気候条件が優れていたことから、特別にクオリティの良いワインが産出された年のことだ。
ブルゴーニュやボルドーといった高級ワインの産地では、同じつくり手が同じ名前で売っているワインでも、つくられた年によって値段が数倍以上に高騰することがある。
また逆に言うと、当たり年のワインはあまり名のないつくり手のものでも外れが少なく、全体的なクオリティが上がっていると思ってもいいだろう。
素晴らしいつくり手のセカンドワインを狙う場合なども、当たり年を知っておくと、普通の年のフラッグシップワインに匹敵する良質なものと出会えることもある。
一方、腕利きの醸造家すらもワインづくりに四苦八苦する「外れ年」もある。そう考えると、おいしいワインを引き当てたいのなら、産地別の当たり年を知っておきたいところだ。
ワイン好きにとって大切なキーワードとなってくる「当たり年」とは、どうやって決まってくるのだろうか。ボルドーやブルゴーニュの当たり年も合わせて紹介していこう。
「当たり年」になる要因とは
ワインの「当たり」とは、ぶどうの当たり。つまりは良質のぶどうが収穫された年が当たり年だと言われている。
良質なぶどうを収穫するのに、大切な条件が2つある。
・ぶどうが育つ春から秋までに晴れの日が多く、十分な日照時間が確保できる
・収穫時期に大量の雨が降らない
基本的に、野菜や果実全般に当てはまることだが、健やかに成長するためには日照量が大切だ。ここ数年は気候変動の影響もあり、特別な当たり年はあっても外れが少ない傾向にある。
当たり年ワインはどんなときに買うべきか
当たり年のワインは他の年より値段が高くなる傾向があると書いた。値段が高くなる理由の1つとして、完成度の高いワインは熟成のポテンシャルを大いに秘めていることが挙げられる。
ワインというのは、熟成を重ねることで劣化するどころか味わいが複雑化することも楽しみの1つ。当たり年のワインを記念に買っておくと、数年後、十数年後の自分にとってより大きな楽しみになってくれるだろう。同様の理由で、ワイン好きな方へのプレゼントとしても、当たり年のワインは喜ばれるはずだ。
外れ年ワインはどう楽しむべきか
では、外れ年のワインは一切無視をすべきなのだろうか。
いや、そんなことはない。外れ年と言われる天候に恵まれなかった年こそ、つくり手の真骨頂が現れるので、「優れた醸造家」のワインを狙うべきだ。
雨が多く日照時間が少ないと、ぶどうの栽培に非常に手間が掛かる。放っておけば熟成が進む当たり年とは違い、雨よけの準備や土の状態のチェック、収穫時期の決定から選果まで、細心の注意を払わなければ優れたワインをつくることは難しい。
丁寧なワインづくりを行っている小規模な醸造家などは、こういった外れ年こそ、ぶどうのポテンシャルを最大限引き出すべく、試行錯誤を重ねているのだ。
外れ年のワインは他の年よりも比較的リーズナブルな価格設定であることも多い。良質な生産者を見極めて購入すれば、コストパフォーマンスに優れた当たりワインが手に入るかもしれない。
ボルドーとブルゴーニュの当たり年は?
最後に、ボルドーとブルゴーニュの当たり年を列記しておこう。
大当たりの年は価格が高騰しやすいため、特別に熟成を目指すのでなければ他の年と比較してどの年のワインを購入するか、しっかりと検討してもらいたい。
・ボルドー 2015年、2014年、2012年、2010年、2009年、2008年、2005年、2000年、1998年、1996年、1990年、1989年、1988年
・ブルゴーニュ 2015年、2014年、2012年、2011年、2010年、2009年、2005年、2002年