ワインのことに詳しくなるまでは、ワインショップで今日の1本を選ぶとき、レストランで大事なひとときを盛り上げてくれる1本を選ぶとき、「ワインに使われているこの言葉、何という意味があるんだろう?」と疑問に思うことが多いと思う。
ワインバザールでは過去にスパークリングワインの呼び方の違いなどについて解説してきたが(解説記事1)(解説記事2)、今回はドイツワインに使われる用語について取り上げてみたい。
ドイツワインの大分類、ターフェルワイン、QbA、プラディカーツヴァイン
ドイツワインは、ワイン法により大きく3つの品質等級に分けられる。
下から順に、「ターフェルヴァイン」(Tafelwein)と「クーベーアー」(QbA)、そして一番上等なものを「プラディカーツヴァイン」(Pradikatswein)と呼ぶ。「ターフェルヴァイン」という言葉では耳馴染みがないかもしれないが、「テーブルワイン」のドイツ語読みだと言われたら理解しやすいだろう。
13のベライヒ
また、ドイツでは「ベライヒ」(Bereich)と呼ばれる指定栽培地域が13地域ある。この13地域は、産地を表記することが許可されている。
果汁糖度による分類
次に、ドイツワインに使われている果汁の糖度による等級をご紹介しよう。
果汁糖度とは、1000mlの果汁の中にどの程度の糖度が含まれているか(エクスレ度)によって分類され、出来上がったワインの残糖度でないことに注意が必要だ。
QbAクラスのワインは補糖が可能だが、プラディカーツヴァインには補糖が許されないため、果汁自体の糖度がワインの出来に大きく影響してくる。
プラディカーツヴァインの等級は、エクスレ度の低い順に次のとおりとなる。
(カッコ内はエクスレ度)
1. カビネット(67~82):通常の収穫期に収穫されたぶどうの果汁を使用
2. シュペトレーゼ(76~90):カビネットより7日以上遅く収穫されたぶどうの果汁を使用
3. アウスレーゼ(83~100):シュペトレーゼより糖度の高いぶどうの果汁を使用 房選りでの収穫
4. ベーレンアウスレーゼ(110~128):より熟したぶどうの果汁を使用 粒選りでの収穫
5. アイスヴァイン(110~128):ぶどうを樹上に残したまま、マイナス7度以下の気温で自然に凍結したぶどうの果汁を使用
6. トロッケンベーレンアウスレーゼ(150~154):貴腐により干しぶどうのようになったぶどうの果汁を使用
辛口度を示す表記
ドイツワインに使われるもう一つの分類として、辛口度をラベルに表記することができる。
1. ファインヘルプ:半辛口に相当する味わい。ただし、残糖度などの規定はなく、つくり手がつけてよい。
2. ハルプトロッケン:残糖度18g/l以下、いわゆる辛口。
3. トロッケン:残糖度9g/l以下の極辛口。
これらの表示は、「アウスレーゼ・トロッケン」というように果汁糖度と合わせて表記がされる。
ドイツワインの新しい分類
2000年より、食事との合わせやすさなどを以下の表記で示すことが可能になった。これらは、果汁糖度の等級と併記はされず、QbAクラスのワインに付けられる。
1. クラシック:エクスレ度、アルコール度数、残糖値の規定があり、産地の伝統品種を使ったワインに限られる。
2. セレクション:クラシックよりも上のクラス。アウスレーゼに相当するエクスレ度が必要。その他、残糖度やアルコール度数、収穫方法など細かい規定がある。また、産地の伝統品種を使ったワインに限られる。とても厳格な規定のため、あまり作られていない。
こうした用語を覚えておけば、ドイツワインの味をイメージしながら、今日の1本を選びやすくなるのではないだろうか。ドイツワインに興味を持ったのなら、参考にしてほしい。