古くから使われている“コルク栓”とニューワールドなどで使われ出した“スクリューキャップ”。どちらも一長一短あり、ワイナリーによって使い分けている印象だろう。
“スクリューキャップ”のイメージが強いニュージーランドでは、その利点を評価して高級ワインにもスクリューキャップを採用している。一方でコルク栓にこだわっているワイナリーもあるが、どのような観点から使い分けているのだろうか。
今回はニュージーランド旅行中に訪れたワイナリーに、両者の違いについて取材してきた。“コルク栓”と“スクリューキャップ”、ニュージーランドのワイナリーはどのように評価しているのだろうか。
“コルク栓”と“スクリューキャップ”はどう違う?
そもそもコルクとスクリューキャップの違いはどこにあるのだろうか。
コルクは適度に空気を通すため、ワインをボトルに詰めた状態になってからも熟成できるのがメリットだ。ただし、天然のコルクガシを打ち抜いて作る無垢コルク栓は、熟成の間にコルクが劣化する恐れがある。また天然物なので、コルク栓1本1本に個体差が生まれてしまうのも難点だ。
一方、最近使われているワイン専用のスクリューキャップは、適度に空気を通すようになっている。こちらもボトルに詰めた状態で熟成可能だ。湿度の影響も受けず、より安定した状態で瓶内熟成できる。
「コルク不要」を宣言したヴィラマリア
それぞれ特徴のあるコルク栓とスクリューキャップだが、採用をしているワイナリーの意見を紹介しよう。
2001年に「コルク不要」の宣言をしたのが、ヴィラマリア(Villa Maria)だ。
天然コルクには、必ず数%ほど不良品が発生してしまう。また、天然だからこそ空気を通す量に個体差があり、ボトルごとに風味の差が出るという問題もある。
こういった点を考慮し、ヴィラマリアでは2002年ヴィンテージからワイン専用のスクリューキャップを採用するようになった。
コルク栓にこだわるワイナリーも
一方でコルク栓の利用にこだわっているワイナリーもある。その1つがワイヘキ島にあるTe Motuだ。
1988年創業とワイヘキ島では古い歴史を持つTe Motuは、コルク栓を採用。ただし、天然コルク栓によるデメリットを回避するために「圧搾コルク栓」を採用している。天然コルクを使っているのは変わらないが、いったん粒状にしたものを貼り合わせてコルク栓にしている。
天然コルク栓で出てしまう味の違いや不良品などは、今のところ圧搾コルク栓では出ていないそうだ。
Te Motuがコルク栓にこだわる背景には、「コルク栓を開けるところから、ワイン体験は始まる」という思いがある。
コルク栓とスクリューキャップ、両方使うワイナリー
コルク栓とスクリューキャップの両方を使っているのが、ワイヘキ島でボルドー式のぶどう栽培にこだわっているStonyridgeだ。
Stonyridgeではオールドワールドの伝統にとらわれることなく、ワインの特性によってコルクとスクリューキャップを使い分けているそうだ。
ワイナリーにテイスティングに訪れた際に話を伺ったところ、コルク栓とスクリューキャップに優劣をつけてはおらず、「どちらが使われているかで、ワインを判断しないでほしい」とコメントしていた。