2017年もいよいよ11月に入った。ワイン好きにとっては、ボジョレー・ヌーボーの解禁日が気になり始めるころだろう。
普段から買い物に行くスーパーやワイン専門店などでボジョレー・ヌーボーのポスターなどを見掛けると、「今年も飲まなくては!」という気分になってくるのでは。ワインを普段あまり口にしない人の中にも、イベントを楽しむためにボジョレー・ヌーボーを予約する人もいるかもしれない。
そんなボジョレー・ヌーボーのことを、ワインバザール編集部は解禁日に向けてさまざまな角度から取り上げていく。1回目となる今回は、ボジョレー・ヌーボーの基礎知識を取り上げていこう。
今さら聞けない!? ボジョレー・ヌーボーの基礎知識
ワイン好きのみならず、日本でも一大イベントとして定着した感もあるボジョレー・ヌーボーの解禁日。2017年の解禁日は11月16日だ。
ところで、「ボジョレー・ヌーボー」とはどんなものか、詳しく説明できる人はどのくらいいるだろうか。今さら「ボジョレー・ヌーボーって何?」と聞けずにいる人たちのために、ボジョレー・ヌーボーの基本的なところをおさらいしよう。
ボジョレー・ヌーボー(Beaujolais Nouveau)とは、フランスのブルゴーニュ地方にあるボージョレ(Beaujolais)地区でつくられた新酒・ヌーボー(Nouveau)のこと。ボージョレ地区でその年の9月ごろに収穫したぶどう、ガメイ種を使ってつくった赤ワインだ。
ちなみに「ボジョレー・ヌーボー」の他に、「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー」というワインもある。「ボジョレー・ヴィラージュ」とは、ボージョレ地区の中でも北部にある38の村でつくられたワイン。概してボジョレー・ヴィラージュの方が凝縮感があってフルーティー、より上質なワインだと評価されている。
多少お高めになるかもしれないが、ボジョレー・“ヴィラージュ”・ヌーボーの方を買っておけば、よりおいしいワインに出会える確率は上がると期待できるだろう。
なお、ボージョレ地区には他にも「クリュ・ボジョレー」という地域がある。ボジョレー・ヴィラージュよりもさらに限られた10の村だけが名乗れる名称で、ボージョレの中でも最上級のワイン生産地と見なされている。クリュ・ボジョレーは、長期間の熟成に耐える高品質なワインの生産で知られ、クリュ・ボジョレーを包み込むような形でボジョレー・ヴィラージュがあり、さらにその外側にボジョレーの生産地が広がっている。
なぜボジョレー・ヌーボーは「11月第3木曜日」の解禁になったのか
もともと新酒・ヌーボー(同意語として「プリムール」も使われる)は、その年のぶどうの出来栄えをみるための試飲用のワインだった。
それが特別なワイン、「ボジョレー・ヌーボー」として扱われるようになったきっかけは1951年に起きた。
まず同年9月8日、第2次世界大戦の影響から酒の流通を管理していたフランス政府が統制を解除。その代わりに、1951年に収穫したぶどうを使った新酒をAOC(原産地統制呼称)ワインとして発売するのなら、12月15日以降にするように法律で定めたのだ。
ところが、その知らせを聞いたボージョレのワインのつくり手たちが同年10月に、ボージョレの新酒をもっと早く出荷したいと要求。再検討した結果、フランス政府は同年11月13日に、ボージョレなどの一部のワインは、12月15日を待たず直ちに出荷していいと許可することになった。
その後の15年間は、解禁日が定められていない状態に。「1日でも早く出荷しよう」と競い合うようになった。ワインの品質が悪化することを恐れるようになったフランス政府が1967年、「11月15日」を解禁日と定めることにした。
ただし11月15日が休日に当たると、ボジョレー・ヌーボーを入手できるのが翌日以降になってしまう恐れもある。そこで1985年に、現在のように「11月第3木曜日」をボジョレー・ヌーボーの解禁日とすることになったわけだ。