海外のWebメディアによると、“ワインフラワー”という聞き慣れない食品があるらしい。
“ワイン”という名前が付いていることから分かるように、ワインに不可欠なぶどうを生かしたワインフラワー。一体、どんな食品なのだろうか。
ワインに必要不可欠なアレの残りを有効活用!
ワインフラワーを英語で書くと、「wine flour」となる。つまり、“ぶどうの粉末”だ。
ワインに使用するぶどう果汁を絞った後の果皮を粉にしたものが、ワインフラワーなのだ。ワインフラワーを生産する取り組みを、ニューヨークの生産者が始めたことがアメリカで話題になり始めている。
参考までに、ぶどうではないものの「絞った後の果皮(ポマース)」を利用したもので、既に商品化されたものもある。オリーブオイルを生成した後のポマースを原料とする「オリーブポマースオイル」だ。
ワインフラワーの製造に取り組むのは、ニューヨーク州最大のワイン生産地フィンガー・レイクスでワインづくりを手掛けるヒラリー・ニーバー・ジョンソン女史だ。
アメリカ国内のワイン醸造地のうち、ニューヨーク州はワシントン州、カリフォルニア州に次ぎ、3番目にポマースの生成量が多い。ヒラリー氏によると、フィンガー・レイクスで発生するポマースの量は、1万1000トン以上にもなる。一般的な学校のプール一杯に入れた水の重さは500トン前後。学校のプールで考えると、まず20杯は超えてくる量だ。
それだけの量のぶどう果皮を有効活用しようと、ワインフラワーはフィンガー・レイクスのぶどう畑から数km程度離れたところにある工場でつくられている。
材料となるのはリースリングやカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなど全6種のぶどう品種だ。手作業でぶどうの果皮とグレープシードオイル用の種子を選別し、果皮を乾燥させてから、細かく破砕して粉にする。
なお、ぶどう果皮の乾燥には太陽光を利用。二酸化炭素の排出量を極力抑えるように工夫しているわけだ。10月に収穫した果皮の乾燥には特に時間を要するが、その分、栄養をたっぷりと含んだワインフラワーが出来上がるという。
ワインフラワーのあなどれない栄養価
こうして生成されたワインフラワーは、グルテンフリーで食物繊維が豊富、さらに高タンパクだ。約450g当たりに食物繊維は約150g、タンパク質は約100gも含まれている。ポリフェノールに加え、オメガ6やオメガ9などの脂肪酸も含んでいるそうだ。
ワインフラワーはケーキ、ビスケット、スムージーなど、幅広い料理に利用できる。ぶどう品種ごとに粉の味わいも異なるため、ヒラリー氏はホームページやFacebookなどで、ぶどうの種類ごとにワインフラワーの味わい、おすすめの料理やレシピなどについて紹介してくれている。