アサヒビールは2016年11月16日、ブルゴーニュの名門ルイ・ラトゥールがボジョレー地方でつくるワイン「レ・ピエール・ドレ」を、日本では1200本限定で、2017年2月28日より発売すると発表した。価格はオープンとなる。
レ・ピエール・ドレは、ルイ・ラトゥールがボジョレー地方にて栽培するピノ・ノワール100%からつくられる。
ルイ・ラトゥールはブルゴーニュを代表するつくり手のひとつで、200年以上も続く老舗ワイナリーだ。ブルゴーニュ地方がフィロキセラで壊滅的な被害を受けた際、初めてブルゴーニュにてシャルドネの栽培を開始し、それが偉大な白ワイン「コルトン・シャルルマーニュ」誕生につながった。このエピソードに代表されるように、同社は創業以来、常に新しいチャレンジを厭わない社風を大切にしている。
ルイ・ジャドなど、他の有名メーカーが米オレゴンなどに新たな可能性を求め出て行く中、ルイ・ラトゥールが選んだのはボジョレーだった。ボジョレーといえば花崗岩質の土壌でガメイを栽培するのがお決まりだが、同社の選んだ場所は石灰土質の土壌を持ち、ピノ・ノワールの栽培に適していることが分かっていた。ボジョレーの最も南部に位置し、食の都・リヨンから20分で到着するこの土地は、1970年代にピノ・ノワールが栽培されていたことも判明した。この地を新たな挑戦の舞台にするため、古い畑を開墾し直し、ピノ・ノワール栽培の試みを始めたのだ。
「レ・ピエール・ドレ」とは「黄金の石たち」という意味である。同社が購入したテゼ村の土壌は石灰質の中に酸化鉄の成分や化石を多く含み、キラキラと光る石が転がっているように見えたため、この名前をつけたという。
収穫されたピノ・ノワールはきれいな酸を持ち、また他の土地とは違うこの土地ならではの個性にあふれていた。
しかしながら、当時ボジョレー地区産のワインはガメイ100%でないとAOCに認定されなかった。そこで同社は、フランスの呼称委員会に掛け合った。結果として2011年、AOCコトー・ブルギニオンが誕生し、このワインをAOCワインとして発売できる環境が整った。
ボジョレーで生まれたピノ・ノワール100%の「レ・ピエール・ドレ」。チェリー、しかも色の濃いグリオットチェリーのような香りが立ち上がり、きれいな酸と果実味が広がる。タンニンは上手に溶け込み、フレッシュで飲みやすい若飲みタイプのワインに仕上がっている。
なお、このワインのリリースに際し、ボトルのラベルには今回開墾したパーセル=区画の地図が配され、今までのルイ・ラトゥールのワインとは異なるモダンなフォントが採用されている。ラベルにはそのワインに関するテクニカルデータを細かく記載。これらはすべて、今回のワインは同社にとって「新しいチャレンジ」であることを象徴しているという。
また、ラベル上に「AOCコトー・ブルギニオン」とは記載されていない。その理由は、近い将来、このワインが開拓した新しい土地の呼称「AOC ピエール・ドレ」の獲得を狙っているためだという。
世界で1万2000本の限定販売となり、日本では1200本のみの取り扱いとなる。ワイン専門店やデパートなどで取り扱い予定だ。
名門ルイ・ラトゥールの新たなチャレンジの成果、ぜひあなたの舌で評価してみてほしい。