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Wine Spectatorが1999年1月に発表した「Wines of the Century(20世紀を代表するワイン)」。20世紀にリリースされた数多くのワインの中から、厳選された12本のワインを1本ずつ紹介していく。
Wine Spectatorに選び抜かれた12本とは、一体どんなワインなのだろうか。第5回となる今回は、「イングルヌック カベルネ・ソーヴィニヨン 1941年」を紹介していく。
「イングルヌック カベルネ・ソーヴィニヨン 1941年」はどんなワイン?
イングルヌックはアメリカ・カリフォルニア州のナパ・ヴァレーにあるラザフォードAVAにぶどう畑を所有するワイナリーだ。1879年設立と、アメリカのワイナリーとしてかなり長い歴史を持つ。
イングルヌックのぶどう畑は、豊かなローム質の土壌に恵まれている。ラザフォードAVAはカベルネ・ソーヴィニョンの産地として知られ、同地のぶどう畑の半分以上でカベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されている。
1941年のぶどうは非常によく熟し、アルコール度数は14%以上。大きな木製の樽を用いてゆっくりと熟成された。
「イングルヌック カベルネ・ソーヴィニヨン 1941年」に対する評価
Wine Spectatorはイングルヌック カベルネ・ソーヴィニヨン 1941年に100点を付けた。「何度かテイスティングしたが、いつも驚かされる」というワインについて、次のように表現している。
ダークで非常に凝縮し、レーズン、セージ、カラント、ハーブ、ドライチェリーといった成熟したカベルネ特有の風味が広がり、すばらしい香りが部屋を満たすワイン
生産本数は5000ケース程度とみられており、非常に貴重なワインだ。2011年に開かれたオークションでは、2本セットで実勢価格1万1400ドル(約125万8300円)の値が付けられた。
「イングルヌック カベルネ・ソーヴィニヨン 1941年」にまつわるエピソード
フィンランド人のグスタフ・ニーバム氏が1879年に設立したイングルヌック。1930年代に甥の息子であるジョン・ダニエルJr.氏が引き継いだ際には、国際的に高い評価を受けるワイナリーとなっていた。そんなイングルヌック全盛期に誕生したのが、1941年のヴィンテージだ。
しかし、1964年にダニエルJr.氏が亡くなった後、ぶどう畑などの敷地や「イングルヌック」のブランドは売りに出されてバラバラになってしまう。
そんな状態からイングルヌックを再興したのは、「ゴッドファーザー」などで知られる映画監督のフランシス・フォード・コッポラ氏だ。1975年にニーバム氏の住宅と敷地を購入後、その土地と歴史に魅せられて、夫人と共にワイナリー再建に取り組むことになった。
「イングルヌック」のブランドも買い戻し、2009年のヴィンテージから再びイングルヌックの名称でワインをリリースするようになった。
コッポラ監督が2012年にDecanterの取材に答えたところによると、全ての敷地を買い戻すのよりも、ブランドを取り戻すのにお金がかかったそうだ。