ひと昔前まで、白ワインを頼むときに「辛口ですか?」と聞いていた人も多いだろう。というのも、日本ではドイツワインをはじめとする甘口の白ワインやロゼワインが主流だった時代があるためだ。
では、「辛口」「甘口」以外の表現を使って、白ワインの味のバリエーションをどのように表現したら相手に伝えられるのだろうか?
白ワインの「味わい」や「香り」について、いくつかの表現を紹介したい。
「甘味」「苦味」「酸味」「果実味」を知ろう
まず、白ワインの味を表現するときに肝心な軸は、「甘い」と感じるか感じないかだ。
それ以外にも「酸っぱい」か、「苦い」か、果実の味わいがどの程度感じられるか、といった点を確認してみよう。なお、赤ワインの場合には、さらに「渋味」にも気を配る必要がある。
その中でも、白ワインの味わいを構成する中で大きなウェイトを占めているのが「甘味」と「酸味」だ。
「甘味」はデザートワインのように「甘口」「極甘口」「辛口」などと称され、ヨーロッパでは残糖度により細かな規定がある。
「酸味」には、レモンのような爽やかな酸味や、青りんごのような穏やかな酸味などがある。酸味が少なすぎると、のっぺりと平面的な味わいとなってしまい、活力の低い印象となる。
白ワインに「苦味」と言われても想像しづらいかもしれないが、「グレープフルーツ」などに例えられることが多い。
そして「果実味」は言葉のとおり、ぶどうの味わいはもちろん、アプリコットやあんず、りんご、パイナップルやマンゴーといったさまざまな味わいを思い起こさせる場合に、広く用いられる。
「香り」を知ろう
「香り」についてはよく意識をしないと、「ぶどうの香りでしょ」と終わらせてしまうかもしれない。けれどそのぶどうから、実にさまざまな香りが立ち上がるのは不思議なものだ。
白ワインの「香り」は、ぶどうの品種や生育環境のほか、樽などの醸造過程に由来することもある。
香りの種類としては、第一に果実の香りがある。単に果実といってもレモンやライムなど爽快系の香りから、桃やマンゴーなどのトロピカルな果実まで幅広い。
次に、ハーブや白い花、アカシア、黄色い花、杉やヒノキといった植物系の香りが挙げられる。
そのほかには、バニラなどのクリームを連想させるもの、花の蜜、またトーストなどの香ばしさが白ワインからは感じられることがある。
まずは飲みなれたワインがどんな香りと味わいなのか、ご紹介したようなキーワードを使って表現してみたらいかがだろうか。
「味わい」も「香り」も、できるだけ意識しようと心掛けることで、感覚を鍛えることができる。
まだ開かぬ扉を開けていくと、苦手だった酸っぱいワインや甘いワインがどんどん好きになったりするかもしれない。