フランスを代表するワイン産地であり、AOCワイン栽培面積の4分の1を占めるボルドー。そんな銘醸地として名高いボルドーの最新情報を発表する記者会見が2018年4月、東京・六本木ヒルズクラブで開催された。
2017年ヴィンテージは収穫量が少ないものの高品質に
ボルドーワイン委員会広報ディレクターのクリストフ・シャトー氏が発表したところによると、2017年は非常に早熟な年で、近年の平均よりも10~15日早い収穫となった。ここ20年間で最も早い収穫時期だという。
4月下旬には1991年以来の深刻な霜害や雹を伴う嵐の影響を受けた。2017年の収穫量は350万hl(4億6600万本分)と、2016年から4割減となった。ただし、8月と9月には天候に恵まれ、赤ワイン・白ワイン共に非常に品質の高いワインとなった。
2017年と同様に収穫量が減少した1991年には、ボルドーワインの価格が高騰。結果として、消費者離れにつながってしまった。しかし今回は2015年と2016年のストックを利用することで、安定した流出量を確保。価格の安定を目指しているという。
ボルドーにとって存在感のある日本市場
2017年の日本への輸出量は約2000万ボトル(前年比+5%)で、売上高はおよそ150億円(前年比+6%)となった。
日本はボルドーワインの輸出国中、数量ベースで6位、金額ベースで5位。ボルドーワイン委員会でも、日本は「影響力が大きく、歴史的にも意味がある市場」と捉えているという。
日本に輸出されたボルドーワインの内訳は、辛口の白ワインが11%、赤ワインが89%。日本は特に辛口の白ワインが好評なようで、輸出国中第4位(金額ベース)となっている。
日本市場でボルドーワインが好調な理由としては、2015年と2016年のヴィンテージのクオリティが高く、ボルドーワインが日本の中で消費者の中でトレンドになりつつあるからだと考えているそうだ。
今後のボルドーワインの展望は
記者会見ではボルドーワインのつくり手の現状について、2つの変化が紹介された。
1つは、新世代の生産者が増えていること。新世代の生産者によるワインづくりには「伝統に最新の技術や技術革新を組み合わせる」「ほかの地域や世界の生産地から新しい技術やノウハウを吸収する」といった特徴があるという。
また、ボルドーワインにはスタンダードなものから最高級のものまで幅広いワインがある中でも、新世代の生産者は毎日飲める価格帯のカジュアルワインを好んで生産しているといった特徴があるそうだ。
もう1つは、ボルドーワイン業界において女性の果たす役割に対する評価が向上してきている点だ。異なる世代の女性たちが、1つのワインメーカーを運営したり、ワインツーリズムイベントを開催したりするなど、ボルドーワインの業界内で存在感を高めている。
今後、日本とEUとの間で締結されたEPAが施行されれば、今までかかっていたワインの関税が撤廃される。クリストフ・シャトー氏は、「より手軽にボルドーワインを楽しんでもらえる機会が増えるのではないか」と期待しているそうだ。
ボルドーワインと日本の良好な関係は、今後もさらに発展していきそうだ。