コラム

オーガニック専門20年のマヴィが、格付にとらわれずに選んだとびきりおいしい白ワイン ~ インポーターが語るボルドーワイン

「バリューボルドー2018」の発表に合わせて2018年4月、東京・六本木ヒルズにて「ボルドーワイン大試飲・展示会」が開催された。

バリューボルドー2018に選ばれた100本に加えて、ボルドーワインを取り扱うインポーター51社がおすすめのワインを持ち寄り、ボルドーワインの多様性を実感できる展示会となった。

ワインバザールでは、同イベントに参加したインポーターに、おすすめのボルドーワインと、産地としてのボルドーの魅力を語ってもらった。

今回紹介するのは、創業20周年を迎えたオーガニック専門店のマヴィ。オーガニック専門店から見たボルドーワインの魅力を、広報担当の大山沙織さんに伺った。

オーガニックの白ワイン「シャトー・プショーラルケ」

マヴィが出品していたのは、シャトー・プショーラルケ2015(3350円/税込)。バリューボルドー100にも選ばれた辛口の白ワインだ。



シャトー・プショーラルケがあるのは、ガロンヌ川とドルドーニュ川の間に位置するアントル・ドゥ・メール地区。手頃な価格で幅広いタイプのボルドーワインが楽しめる地域だという。

シャトー・プショーラルケは、アキテーヌコンクールやパリ農業コンクールで数多くメダルを獲得してきたピヴァ家が経営している。

ピヴァ家の方々



大山さんはシャトー・プショーラルケ2015の魅力について、次のように説明してくれた。

シャトー・プショーラルケ2015を飲んだ方の感想に、「香りが良い」「すっと体に馴染む味わい」というものがありました。

生産者からはよく「オーガニック農業に変えてから、ワインのぶどうの香りがより良いものになった」という声を聞くことが多いので、飲んだ方にもそのような実感を持っていただけたのが印象的でした。

このワインは、柑橘類やハーブなどの香りがあるみずみずしい味わいが特徴です。これからの季節はよく冷やしてカルパッチョや魚介を入れたサラダなどと楽しんでみてください。

爽やかな印象ですがミネラルもしっかりとして骨太なので、抜栓した翌日は味わいや香りの変化を楽しめると思います。

ぜひボルドーワイン入門の1本として、気軽に手に取っていただきたいです。

オーガニックワインだからこそ格付けだけにとらわれないで

南仏などと比べると、ボルドーのオーガニックワインの数は多くないという。マヴィの大山さんにはオーガニック専門店の視点から、ボルドーワインの楽しみ方を教えてもらった。

ボルドーワインは有名なシャトーの格付けワインが注目されがちですが、オーガニックワインだからこそ格付けだけにとらわれず、個人の好みの味わいに合わせて気軽にワインを選べるようにご提案をしています。

またオーガニックワインのつくり手は研究熱心で好奇心が強い方も多いので、伝統的なつくりのボルドーワインだけではなく、爽やかで飲みやすいモダンなつくりのボルドーワインや、エコバッグ入りのワインなどにもいち早く挑戦している生産者がいます。

ボルドーワインの愛好家の方へも、シャトー・プショーラルケを生産しているピヴァ家のワインは、ぜひ一度試していただきたいです。

ピヴァ家は2つシャトーを持っており、シャトー・プショーラルケの赤ワインはカベルネソーヴィニヨン主体で、もちろん長期熟成に向きますが、タンニンと酸のバランスがとてもよいので、若干若くてもおいしくお飲みいただけます。

ピヴァ家のもう1つのシャトー、シャトー・セニャールドポミエの地層はサンテミリオンのグランクリュに似ており、メルロー主体の飲みやすいワインであるにもかかわらず、20年以上の長期熟成も可能です。

土地柄、「ボルドー」としか名乗れませんが、極めて高いコストパフォーマンスです。

まだボルドーワインを飲んだことがないという方の中には、ボルドーワインに対して「複雑でとっつきにくい」という印象をお持ちの方もいるかもしれません。ですが、最近ではスパークリングや爽やかな味わいの白など、ワイン初心者の方にも飲みやすい味わいのワインも増えてきています。

高まるオーガニックへの関心

今年は大手酒販メーカーがオーガニックワインの取り扱いを発表し、オーガニックワイン市場は広がりを見せている。マヴィは、オーガニック専門店として今年で20周年を迎えるパイオニア的存在だ。

大山さんは、今回の試飲会でオーガニックワインに対する質問を多く受け、オーガニックワインへの関心が高まっていると感じたという。

ワインは“作品”

マヴィが重要視しているのは、“オーガニックであること”だけではないそうだ。インポーターとしてのマヴィのこだわりについて、大山さんに語っていただいた。

ぶどうを買って工場で大量生産するネゴシアンとは違い、マヴィで取り扱うのはぶどうづくりからワインの醸造、瓶詰までを1つの農場で行う家族経営の小さなワイナリーばかりです。

「オーガニックだからおいしい」という考えではなく、オーガニックであることは大前提で、その中でもとびきりおいしくて、飲んだ人に感動を与えるようなワインを選んでいます。

また、お取引をする前に、必ず弊社代表の田村がワイナリーを訪問し、どんな場所で、どんな人が、どんな信念をもってワインづくりをしているかを確認しています。ワインは工業製品ではなく農作物。生産者の哲学が反映された「作品」だと考えています。


マヴィでは今後も、「歴史ある地域で確かな腕を持った生産者のワイン」にこだわって、オーガニックワインを紹介していくということだ。

<関連リンク>
オーガニックワイン専門店 マヴィ

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ