毎年6月の第1木曜日は「アペリティフの日」。それに合わせて、フランスのアペリティフ文化を日本に紹介する「アペリティフ・フェア」が各地のレストランなどで展開されている。
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2018年の「アペリティフの日」は6月7日だ。間近に迫ったこの機会に、「アペリティフ」とはどんなものなのか、詳しくご紹介しよう。
アペリティフ=食前酒とは限らない
「アペリティフ」は、直訳すると「食前酒」となる。しかしながらフランスでは、「食前の飲み物(ミネラルウォーターでも何でも可)かおつまみ」「食前の飲み物やおつまみを楽しむ食前のひととき」といった意味になる。
ディナーの前に軽い食前酒を飲みながら、おいしい“アミューズ・ブッシュ”(小さなおつまみ)をつまみつつ、会話に興じる。日本で例えると、本番の宴会の前に軽く飲みに行く「0次会」のようなイメージだろうか。
アペリティフと長い残業は両立しない?
時間を楽しむのが上手なフランス人は、残業などせず定時に仕事を終わらせて、アペリティフに1時間程度をかける。アペリティフには、スタンディング式のバーなどが使われ、日が長くなる季節にはアペリティフも長めになる傾向がある。
フランスのアペリティフと同じような習慣は、イタリアやスペインなど近隣国にもある。このアペリティフの間にビジネスモードからリラックスした自分に戻り、よりおいしくディナーを食べる心の準備をする。食を重要視するヨーロッパならではの習慣だ。
まだ明るいうちから1杯飲みながら、軽くつまんでわいわいやる。なんだか日本でも似たような光景を、焼き鳥店などでよく見掛ける気がする。
アペリティフに適したドリンク・おつまみは?
それでは、フランス風のアペリティフには、どんなドリンクやおつまみが合うのだろうか?
飲み物はシャンパンやスパークリング・ワインのほか、フランスのビール、キールなどの軽めのカクテル、白ワインやロゼワインを飲む場合が多い。プロヴァンス地方だと、ペルノーなど薬草系のリキュールを水割りで飲むのも定番だ。
おつまみには、生ハム、パテ、リエットなどのシャルキュトリ(肉惣菜)や、オリーブやチーズなどをピンチョス風にしたもの、またクラッカーなどにおつまみを載せたものなど。いずれも作るのに手間がかからず、さらにナイフやフォーク等を使わず気軽に食べられるものがほとんどだ。
食べ過ぎはNG? アペリティフで気をつけたいこと
家でのアペリティフなら、食べ過ぎても構わない。しかし、レストランで食事をする前のアペリティフには気をつけてもらいたい。
アペリティフの振興イベント「アペリティフ in 東京」実行委員長のアンドレ・パッション氏は、「しっかりとしたレストランでは、席に着く前にアペリティフの時間を楽しめるスペースがあります。しかし、そこでおつまみを食べ過ぎると、肝心の食事がおいしく味わえなくなってしまいます。シェフは皆、食事を楽しんでもらいたいと思っているし、アペリティフの時間はシェフたちが料理を準備するための大切な時間でもあるんです。ぜひ、アペリティフでは軽めのおつまみに抑えて、大事な胃袋をわれわれに取っておいてくださいね」と話してくれた。
早めに仕事を終えた日は、夕食の前にアペリティフで一息入れる。友人との食事やデートがよりリラックスしたものになるのは間違いないし、もし自宅でもそういった時間を持つことができたら、家族のコミュニケーションがとても円滑になりそうだ。