ここ数十年で、急成長を遂げてきたニュージーランドワイン。世界各国の権威あるコンクールで高く評価されるようになるなど、その品質の高さに注目が集まり始めている。
ニュージーランドワインの主なつくり手
そんなニュージーランドワインに興味を持った方に向けて、ワインバザールではこれまでにニュージーランドを代表するつくり手を取り上げてきた。今回はおさらいとして、ニュージーランドワインの主なつくり手をまとめてみた。
ヴィラ・マリア
ニュージーランでは珍しく外国資本の傘下に入っていないワイナリー。「質の良いぶどうは質の良いワインのエッセンス」という信念の下、ぶどうの房を少なくするなどして、高品質のぶどうをつくっている。
そうしたぶどう栽培およびワインづくりの結果、ヴィラ・マリアは国内だけでなく、国際的なワインコンクールでも数々の賞を受賞。ニュージーランドで最多の受賞歴を誇る。
権威あるコンクールであるインターナショナル・ワイン・チャレンジをはじめ、ワイン専門誌などで国際的に高い評価を得ており、ニュージーランドのプレミアムワインを牽引するワイナリーだ。
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クラウディ・ベイ
ニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランの素晴らしさを世界に認めさせたことで有名なワイナリー。
クラウディ・ベイは、マールボロ産のぶどうを使い、それまでのソーヴィニヨン・ブランのイメージを覆す濃縮されたピュアな果実味と爽快さを持つワインをつくりあげた。そして、1996年ヴィンテージのソーヴィニヨン・ブランがワイン専門誌ワインスペクテイターで、非常に高い評価を獲得し、「世界でもっとも美味しいソーヴィニヨン・ブラン」と絶賛された。
その結果、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの素晴らしさを世界に知らしめるとともに、ニュージーランドワインの質の高さが認識され始めた。
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シレーニ・エステート
日本に最も多く輸入されているニュージーランドワインを産する「シレーニ・エステート」。
新しいワイナリーで、ファーストヴィンテージは1998年。「食事との相性が良く、仲間とともに楽しめるワイン」を理想としていて、飲み飽きない、深い味わいのワインをつくっている。
世界的なワインコンテスト、インターナショナル・ワイン・チャレンジで、2005年に「ベストバリュー白ワイン」、「ベストニュージーランド白ワイン」、「ベスト・ソーヴィニョン・ブラン」の3賞を獲得するなど、世界的に高い評価を得ている。
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ドッグ・ポイント
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを世界に知らしめたクラウディ・ベイで、ぶどう栽培とワインの醸造に関わったアイヴァン・サザーランド氏とジェームス・ヒーリー氏の2人がつくりあげたワイナリー。
「土地特有のワインづくり」という理念の下、ぶどう栽培地の気候や土壌の特徴が表現されるワインづくりを心掛けている。
また、クラウディ・ベイでぶどう栽培者のチーフを務めたサザーランド氏が手掛けるぶどうは、非常に優れているため、クラウディ・ベイを去った現在でも、クラウディ・ベイにぶどうを供給している。
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ボールドヒルズ
ファーストヴィンテージが2002年の新しいワイナリー。
しかしながら、2005年ヴィンテージのピノ・ノワールワインが、「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2007」で4つの賞を、「デカンタ・ワールド・ワイン・アワード2007」で2つの賞を受賞するなど、ピノ・ノワールで数多くの賞を受賞している。2015年にワイナリーを日本企業に売却した。
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ニュージーランドワインの特徴
北島と南島で構成されているニュージーランドは、そのほとんどが西岸海洋性気候に属している。
「1日のうちに四季がある」と言われるほど、昼夜の気温差が大きい。また夏の日照時間が長いなど、ぶどう栽培に適していて、ニュージーランド全土にワインの生産地が存在している。
ニュージーランドで栽培されるぶどうは、昼夜の気温差と長い日照時間により、高い糖度とフレッシュな酸味を兼ね備えている。しかし、さまざまな気候や土壌が存在するため、一辺倒な味わいにならず、各地域によって味わいが異なる。
ニュージーランドの主なワイン生産地域としては、北島ではカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどの赤ワインが有名なオークランド、国内で2番目に大きい産地のホークス・ベイあたりを覚えておきたい。他にもワイララパは当地のサブリージョンであるマーティンボローのピノ・ノワールが有名になった。
南島では、小規模ながら高品質のワインを産するブティック・ワイナリーが多く存在するネルソン、ニュージーランド最大の産地でソーヴィニヨン・ブランが有名なマールボロ、最も新しく急成長している産地のカンタベリー、世界最南端のワイン産地で「世界三大ピノ・ノワール産地」の1つとも言われているセントラル・オタゴなどがある。
現在、ニュージーランドにはおよそ700のワイナリーが存在している。栽培されているぶどう品種は、ニュージーランドワインの品質の良さを世に知らしめたソーヴィニヨン・ブランが1番多く、収穫量全体の70%程を占めている。続いて、ニュージーランドの赤ワインの代表格であるピノ・ノワール、ホークス・ベイ産が有名なシャルドネ、ピノ・グリ、メルロー、リースリング、カベルネ・ソーヴィニヨンが多く栽培されている。
ニュージーランドワインの歴史
ニュージーランドワインの歴史は19世紀に始まる。ニュージーランドには、もともとぶどうが存在していなかったが、1819年に宣教師のサミュエル・マーズデン氏によって、ぶどうの樹が持ち込まれた。1836年には、オーストラリアで初めて本格的なぶどう栽培地を開き「オーストラリアのぶどう栽培の父」と言われるスコットランド人のジェームズ・バズビー氏が、ニュージーランド初となるワインをつくった。
そして、1990年代にニュージーランドワインの評価が急上昇した。まず、ワイナリー「モンタナ(現・ブランコット・エステート)」が南島の北端に位置するマールボロ産のぶどうでつくった1989年ヴィンテージのソーヴィニヨン・ブランが、1990年にインターナショナルワイン&スピリッツコンペティションで最優秀賞を受賞した。
続いて、マールボロにあるワイナリー「クラウディ・ベイ」が産した1996年ヴィンテージのソーヴィニヨン・ブランが、アメリカのワイン専門誌で高級プレミアムワインに匹敵する高い評価を獲得。「世界でもっとも美味しいソーヴィニヨン・ブラン」と絶賛された。
こうした出来事を機に、ニュージーランドワインへの評価が高まった。現在は、ソーヴィニヨン・ブランだけでなく、シャルドネやピノ・グリ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなども国際的なコンクールで高い評価を得ている。