静岡県伊豆市・修善寺駅から車で10分ほどのところにある中伊豆ワイナリー シャトーT.S。社員食堂や自治体業務を受託するシダックスグループが運営するワイナリーだ。
修善寺駅から無料シャトルバスも運行しているため、観光のついでに立ち寄りやすい。また、東京や名古屋からなら、車で2~3時間で到着できるので、日帰りも可能だ。
「シダックス」や「伊豆」と、ワインとが結び付かない人もいるかもしれないが、中伊豆ワイナリーでは10haほどの畑で大切に育てたぶどうや契約農場でつくられたぶどうを使用して、丁寧なワインづくりを行っている。
ワイナリーガイドツアーに参加したところ、「知る」「見る」「味わう」という楽しさを味わえた。
中伊豆ワイナリーの「知る」
無料のワイナリーガイドツアー(※定時・要予約)を通して、中伊豆ワイナリーでどのようなワインづくりが行われているのかを知ることができる。
白ワインと赤ワイン、それぞれの製造過程を聞き、実際に使用されているステンレスタンクやボトリングの機械を見学。タイミングが良ければ、実際にボトリングをしている過程も見ることができる。
中伊豆ワイナリーでは、コルクではなくスクリューキャップを採用している。ガイドを担当してくれた三瓶さんは、その理由について「スクリューキャップの方がしっかりと密封できるので、品質を維持しやすいから」と説明してくれた。
熟成させるタイプのワインなら、酸素を適度に通すコルクの方が適している。中伊豆ワイナリーのワインは若飲みタイプということもあり、より密閉されて品質を維持できるスクリューキャップを採用したそうだ。
続いて、敷地内にある10haほどのぶどう畑を目の前に、ぶどうの樹や作業工程についての解説を聞く。
主に栽培しているぶどう品種は、プティ・ヴェルド、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、信濃リースリング、ヤマ・ソービニオン、天城乃滴だ。
収穫の時期になると多くの人がかかわるが、それ以外の期間は13人ほどの作業員でメンテナンスしているそうだ。ぶどうの花が落ちた後に、葉に残った花を払ったり、冬の間に虫がつかないように木の皮をむいたり、といった作業をすべて手作業で行っている。
中伊豆ワイナリーの「見る」
ツアーでは、ワインセラー内に貯蔵されている貴重なワインコレクションも見ることができる。
適切な温度・湿度に保たれたセラー内には、オーパスワンの全ヴィンテージなど、ナパ・バレーのワインが保存されている。
さらに、フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)に侵される前の1800年代後半のフランスワインも展示されている。1987年のオークションで、約1050万円で落札された貴重なコレクションだ。
建物の屋上は展望スペースになっており、中伊豆ワイナリーのぶどう畑が見下ろせるだけではなく、天気が良ければ富士山や南アルプスの山脈も見渡せる。
Instagram用のパネルも貸し出している
「味わう」も満喫
ツアーを終えて階段を上ったところに売店がある。12本購入すると20%オフになるなど、お得な割引もある。中伊豆ワイナリーのワインだけではなく、お菓子やソーセージや干しぶどうなどのおつまみも販売している。
その奥にあるのが、無料試飲コーナー。ぶどう畑を見ながら自分のペースで試飲を楽しめる。
この日に用意されていたのは、2000円以下のお手軽なワイン6種類。ワインぶどうのお酢とぶどうジュースもあった。
売店を出たところにあるのが、高級なワインを100円から試飲できるプレミアムワイン・テイスティングコーナー。
イベントなどの際には、地下のワインセラーにあったオーパスワンも提供されることがあるそうだ。
4階にはレストランの「ナパ・バレー」があり、ランチセットは1900円から楽しめる。カップルや親子連れ、女子会など、幅広い客層に人気だという。ランチの時間帯は、グラスワインも300円とお手頃だ。大きな窓からぶどう畑を眺めながら楽しむ食事とワインは、ワイナリーならではのぜいたくと言えるだろう。
隣接するホテルでは温泉も楽しめ、結婚式も人気だという中伊豆ワイナリー。
手軽に楽しめる場所でありながら、何度でも通いたくなる「自分の地元にも欲しい」ワイナリーだった。
※ 本記事中に記載の価格は、2018年6月30日現在の価格です。変更となる可能性もございますので、あらかじめご了承ください。