コラム

ボジョレー・ヌーヴォーだけじゃない! “ボジョレーの帝王”ジョルジュ・デュブッフのつくる優雅なワインたち



ジョルジュ・デュブッフと言えば、“ボジョレーの帝王”と呼ばれる有名なつくり手だ。

日本におけるジョルジュ・デュブッフのワインで最も有名なのは、ボジョレー・ヌーヴォーであることに間違いはないだろう。しかし、ジョルジュ・デュブッフは、ヌーヴォー以外にも魅力的なワインをいくつも醸造している。

2018年6月7日に開かれた創立者ジョルジュ・デュブッフ氏の孫、アンドレア デュブッフ・ラコンブ氏(写真上)の講演会では、ヌーヴォーの時期以外でも通年で楽しめるワインを4本紹介。それぞれのワインについて、オードブルの盛り合わせとのマリアージュも提案してくれた。



さらに、ジョルジュ・デュブッフのワインには、すべてのラベルに花が描かれているが、その花の意味も明かされた。それぞれのワインの個性や立ち位置をよく表現する花が描かれているというが、どんな意味が込められているのだろうか。

ボジョレー&ポピー



まずご紹介するのは、ジョルジュ・デュブッフのスタンダードなボジョレー。明るめの外観と、イチゴやラズベリーなど赤い果実の可憐な香りが鼻をくすぐる。

早飲みタイプのワインであり、素直でチャーミングなガメイの魅力が楽しめる。鶏レバーのムースやモッツァレラチーズなど、比較的軽めの料理によく合うワインだ。

ラベルの花は「ポピー」。その意味するところは「1. 誰にでも愛され、かつシンプル。2.鮮やかな赤色。3.春に咲く=春に出荷される」。ポピーは、ジョルジュ・デュブッフのDNAを表したアイコンとしても、よく使われるとのことだ。

ボジョレー・ヴィラージュ&青・白・赤の花



ボジョレー・ヴィラージュはボジョレー総生産量の25%を占める。ボジョレーの中でも、特に優れた畑から収穫されたぶどうのみでつくられる。

ACボジョレーと比べると、赤と黒果実の混ざった香り、より骨格のあるボディ、複雑で凝縮感のある味わいが特徴だ。豚肉のテリーヌなどコクのある料理とも楽しめる。

なお、ラベルの花は青・白・赤の3種類。これはフランス国旗のトリコロールカラーだ。ジョルジュ・デュブッフが自信を持って世界で販売するこのボジョレー・ヴォラージュを、フランスのアンバサダーになぞらえている。

サンタムール&バラ



ボジョレーのクリュ、サンタムールでつくられるワイン。この小さな村は、「聖なる愛」という意味の村名が付いていることもあって、街中にハートを模した看板やモチーフがあふれている。

深い色味、ドライフラワーやドライフルーツ、チョコレートといった香りが立ち上り、味わいは優雅でシルキー。鴨肉やシチューなどに合わせたい。

サンタムールはボジョレーの中でもブルゴーニュに程近いため、ブルゴーニュのワインに近い特徴があり、中には熟成にふさわしいワインも生産されている。

なお、花は「愛」を象徴する真っ赤なバラが描かれている。


ボジョレー・ロゼ



昨年のボジョレー・ヌーヴォー解禁時に、ジョルジュ・デュブッフはロゼをリリースした。赤ワインのみの一本勝負だった日本のヌーヴォー売上ランキングにおいて、このロゼはTOP10入りするという大快挙を果たした。

このロゼ、とにかくフレッシュさを大切にしている。醸造所のある建物のまわりに広がる自社畑のぶどうを使用しているが、収穫からなんと1時間以内に醸造するという。さらに、そのフレッシュさを際立たせるため、炭酸ガスをほんの微量加えている。



チャーミングな果実の香りと、キリッとした味わいがバランス良好。淡いサーモンピンクのかわいらしい外観も魅力だ。生ハムや魚介、チーズなど幅広い料理に合わせることできる。

ラベルに描かれているのは、ひなげし、バラ、ダリアなどを使ったブーケ。どの花の花言葉にも「感謝」という意味がある。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身