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テイスティングイベント「ブルゴーニュのクリマ、テロワールの究極の表現」が2018年6月に開催された。
その中で、白ワイン3本と赤ワイン5本が紹介され、ブルゴーニュワインスクールの講師であるジャン=ピエール・ルナール氏がそれぞれのワインの特徴について解説した。
今回紹介するのは、ピノ・ノワールを使った赤ワイン5種類だ。ブルゴーニュ・ネゴシアン連盟(FNEB)の代表であるジャン=フランソワ・ジョリエット氏によるクリマの名前の由来の解説とともに取り上げていこう。
ニュイ・サンジョルジュ プルミエ・クリュ2015年(ルイ・マックス)
1859年から続く歴史あるつくり手、ルイ・マックスが手掛けるワインだ。
ビオ農法を用いて栽培したぶどうを使用。オーク樽を使って熟成しており、新樽の割合は25%ほど。ポンプを使わず、重力のみで抽出している。
ピノ・ノワールを使った赤ワインにおいて、フレッシュさやエレガントさを追求するには抽出の度合いが重要となる。こちらの2015年のニュイ・サンジョルジュ プルミエ・クリュは、クラシックなルビーレッドをした艶と輝きの良い1本に仕上がっている。
アタックはソフトだがフレッシュな酸味があり、シルキーなタンニンが楽しめる。4~5年後が飲みごろとなるワインだ。
【クリマの由来】レ・ダモード ニュイ・サンジョルジュ
レ・ダモード ニュイ・サンジョルジュはヴォーヌ・ロマネに程近く、見下ろせる場所にあるクリマだ。
「Les Dames Huguettes(レ・ダム・ユゲット:高貴な女性たち)」と呼ばれることもある。石灰質の土壌が高貴な女性のスカートのように見えることが、名前の由来だとも考えられている。
ボーヌ プルミエ・クリュ グレーヴ2015年(ジョセフ・ドルーアン)
女性が醸造を手掛けており、女性的なタッチが感じられる1本。醸造に2~3週間、熟成に14~18カ月かけ、新樽を18%使っている。樽に使われる木にこだわっており、少なくとも3年間は乾燥されたものを使用している。
深いルビーレッドをしており、ソフトでまろやか。2015年ヴィンテージの特徴であるふくよかさを感じられる。タンニンもソフトに溶け込み、フィニッシュも心地よい。
【クリマの由来】グレーヴ
小石やもろい岩、砂利、細かい土砂、砂地という意味の「グレーヴ」から名前が付けられた。名前のとおりの土壌に恵まれたグレーヴは、ぶどう栽培にとても向いている。
穏やかな斜面に位置し、日当たりに恵まれたクリマだ。
シャンボール・ミュジニィ プルミエ・クリュ2016年(ジャン・クロード・ボワセ)
醸造は23日間、35%の新樽を使用して16カ月間熟成される。
フィルターはかけられていないが艶と輝きがあり、骨格がしっかりしたソフトなアタック。しまったタンニンが感じられる。
通常プルミエ・クリュは食卓に乗せるまでに7年ほどかかるので、まだまだ赤ちゃんといえる1本だ。
【クリマの由来】レ・シャルム
「シャルム」とは「魅力」という意味で、「男性的/女性的な魅力」を表している。中世のラテン語では、石の多い高原や未開墾地を指していた。
ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ2014年(アルベール・ビショー、ドメーヌ・デュ・クロ・フランタン)
2014年は良いスタートを切ったが、夏には涼しくて雨に見舞われてしまった。9月の気候には恵まれたため、結果的にクラシックな仕上がりの中でフレッシュさの感じられるヴィンテージとなった。
オーク樽(新樽率25%)を使い、16カ月熟成している。サクランボやオレンジがかったルビー色で、非常にソフトなアタック。酸味もあるがアグレッシブではなく、繊細で洗練されており重みはない。デリケートでありながら心地よい余韻のある1本。
【クリマの由来】レ・マルコンソール
マルコンソールの“コンソール”は「訴訟を起こす」という意味。“マル”は「悪い」という意味であり、あまりポジティブな響きではない名前だ。
何世紀か前に土地をめぐって問題を起こす一味がいたことが、名前の由来ではないかと考えられる。
ジュヴレイ・シャンベルタン プルミエ・クリュ2014年(シャンピー)
1720年創業と、ブルゴーニュで最も古いメゾンであるシャンピーが手掛けるワイン。
3つの樽で900本しかつくられていない。そのうちの2つが新樽だった。熟成は14カ月。凝縮感にこだわってつくられたワインだ。淡いルビー色をしており、新樽比率が高いため、スパイシーさや燻製さも感じられる。フレッシュで酸味もあるが、非常に心地よくシルキーなタンニンが感じられる。
5~7年ほどでベストな飲みごろになると期待できる1本。
【クリマの由来】レ・カゼティエ
ラテン語の「お城」「要塞化された場所」が由来。この地にはクリュニー修道院の司祭であったイヴ・ド・シャザンが、城の周囲に城壁を建てさせた歴史がある。