コラム

No.1 ボルドーソムリエが決定! ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール2018決勝レポート

   

日本におけるボルドー&ボルドー・シュペリュールワインの一層の普及を目指し、2017年から「ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール」が開催されるようになった。

2018年7月24日、第2回目となった同コンクールの決勝がフランス大使館・フランス大使公邸にて開かれた。予選を通過して決勝に進んだ5人のトップ・ソムリエたちが知識やテイスティング、サービス技術を競った熱い戦いの様子をご報告しよう。

「AOCボルドー」「AOCボルドー・シュペリュール」の認知度向上を目指して

“ボルドー”ワインには、AOCメドックやオー・メドック、ポムロール、サンテミリオンといった有名な産地のワインだけでなく、「AOCボルドー」「AOCボルドー・シュペリュール」といった広域AOCの名前が付けられて流通するワインもある。

こうした「AOCボルドー」「AOCボルドー・シュペリュール」のワインは、ボルドー地方でつくられるワインの約半分を占め、その質の高さとコストパフォーマンスの良さには定評がある。地元・フランスの家庭で消費されるワインの実に30%が、この「AOCボルドー」「AOCボルドー・シュペリュール」だという。

しかし日本ではまだ、有名な産地名が付けられた高級ワイン以外の「AOCボルドー」「AOCボルドー・シュペリュール」などは、あまり認知度が上がってきていないのが現実だろう。

実際、日本におけるワインの総販売量ランキングで見ても、フランス(約6300万リットル)は2位で、1位のチリ(約9000万リットル)に大きく差をつけられている。

この状況を打開するため2017年から、ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン生産者組合とビジネスフランス(在日フランス大使館 貿易投資庁)は「ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール」を開催するようになった。

優勝したソムリエはボルドー&ボルドー・シュペリュールワインのアンバサダーに任命され、その販売促進を支援することになる。

ボルドーワインの知識、ソムリエの技術が問われた審査内容

多数の参加者がコンクールに参加し、決勝まで駒を進めたのは、佐々木健太氏(L’AS)、紫貴あき氏(アカデミー・デュ・ヴァン)、千々和芳朗氏(筥崎宮 迎賓館)、塚本晃氏(オーベックファン神戸)、中島一希氏(アピシウス)の5名(五十音順)だ。

審査委員長に日本ソムリエ協会常務理事の森覚氏、特別審査員にはボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン生産者組合・生産者代表のジョナタン・デュクール氏を迎え、緊張感が漂う中、審査が始まった。

ボルドー&ボルドー・シュペリュールワインには、次のようなワインがある。
・ボルドー・ブラン(白)
・ボルドー・シュペリュール・ブラン(白)
・ボルドー・ロゼ(ロゼ)
・ボルドー・クレレ(赤)
・ボルドー・ルージュ(赤)
・ボルドー・シュペリュール・ルージュ(赤)
・クレマン・ド・ボルドー(発泡)

今回のコンクールでは、このすべてのワインに関する豊富な知識、マリアージュ技術とボルドーに関する知識、サービステクニックが審査対象となった。具体的な試験内容は次のようなものだった。

1.一般消費者向けのセミナー内容に関するプレゼンテーション(6分)

この試験のみ、事前に課題が公開された。自ら作ったパワーポイントを使いながらプレゼンする内容だった。
販売動向や日本市場の特性をどのように捉え、さらなる知見を広めるにはどのようにすればいいかをきちんと分析できているかが主な審査対象となった。

2.フラッシュ・テイスティング 4杯(3分)

4杯の赤ワインについてそれぞれ、ぶどう品種・ヴィンテージ・ワインのディテールを説明する。典型的なものあり、自然派あり、特殊なバランスのものありだが、それぞれの特性を捉えているかが評価された。

3.ボルドーにあるワインミュージアムに関する説明(2分)

2016年にオープンしたボルドー市内のワインミュージアムについて説明する。ボルドーワインに特化せず世界のワインを網羅していること、市内中心部からトラムに乗って行けること、独特の流線型の外観は液体の流動性を表していることなどを知っているか、的確に説明できるかが審査対象となった。

4.生産者組合をもてなすディナー(和食)のペアリング提案(3分)

ソムリエにとって、さまざまな料理にワインをペアリングしていくというのは日常的な業務だ。今回は、ボルドー&ボルドー・シュペリュールワインからできるだけ多くのワインを使うこと、という条件が課された。
また、和食のお品書きには「唐柿=トマト」「伊佐木=イサキ」「ちり酢=ポン酢」「玉蜀黍=とうもろこし」といった懐石でよく使われる漢字表記が多用され、そういった料理の知識も試された。

5.サービス実技(3分)

実技は「お客様をお待たせしている」という前提でスタートする。ワインを抜栓している最中にゲストから英語で質問が飛び、それに英語で答えながらデキャンタージュしてサービスするという試験だった。
質問は、「ボルドーワインは私には重すぎることが多いが、このワインはどうか?」「2015年のボルドーワインの出来は?」「このワインに合う和食の料理は何か?」という3点だった。

結果発表

緊張感のあふれる試験を終え、どのファイナリストもあまりの試験の難しさに落胆の表情を浮かべているように見えた。

試験が終わり、森審査委員長、ジョナタン・デュクール特別審査員から結果が発表された。

1位はオーベックファン神戸の塚元晃氏、2位は筥崎宮の千々和芳朗氏、3位はアカデミー・デュ・ヴァンの紫貴あき氏となった。


1位の塚元氏は、数字などの客観的情報を用いた落ち着いたプレゼン、的確なテイスティング表現が評価され、ペアリングではいろいろなワインを提案した。

塚元氏には、ボルドーへの研修旅行の権利が与えられる。また帰国後には約1年間、ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン・アンバサダーとして、さまざまなイベントでの活躍が期待されている。


これを機に高品質でコスパの良いボルドーワインがより多くの人に認知されることを願い、表彰式は閉会となった。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身