コラム

ワイン×料理の合わせ方、驚きの方程式が判明! これは世紀の大発明かも!?[ワインのペアリング方程式|概要編]

ワイン愛好家にとって、ワインを楽しむときに「どのワインを飲むか」と同じくらい悩ましいのは、「どんな料理と合わせるか」ではないだろうか。

そうしたワインと料理とのペアリングを考えるときのベースとなる“ペアリング方程式”が2018年7月、カリフォルニアワイン協会が開いたメディア発表会において披露された。

その“ペアリング方程式”は、ナパヴァレー・ヴィントナーズの駐日代表・小枝絵麻氏が開発したものだ。

Step1:料理とワインをつなぐ。ぶどう品種ごとの「ブリッジ食材」を意識しよう

料理の世界からワイン業界に入った小枝氏は、料理とワインをよりよく一緒に楽しむ方法を、長らく研究してきた。

小枝氏によると、まずはそれぞれのぶどう品種にぴったりな味の要素を持つ「ブリッジ食材」を意識するといいそうだ。ブリッジ食材は、ワインと料理の橋渡し役を務めてくれる。

白ぶどうを例にとると、ソーヴィニヨン・ブランにはグレープフルーツ、ハーブ、シソ。シャルドネにはりんご、レモン、はちみつ、白味噌。リースリングには青りんご、マンダリン、すだち、ミョウガなどがブリッジ食材に含まれる。

例えば「サラダをシャルドネに合わせるときにレモンドレッシングをかける」、「肉をピノ・ノワールに合わせるときはバルサミコ醤油ソースにする」など、各ぶどう品種に対応するブリッジ食材を使うことで、よりワインと料理とのペアリングを楽しめるということだ。

Step2:ポイント制で食材・調理法・味つけの総ポイントを計算

小枝さんはさらに一歩踏み込み、料理を構成する要素をバラバラにして、“ペアリング方程式”に組み立て直す手法を説明した。

まず、食材・調理法・味つけをポイントにして加算、総ポイントを計算する。食材については、野菜・甲殻類・白身魚といった軽めのものは1ポイント、根野菜・青魚・魚卵などが2ポイントとなり、脂の乗った魚・豚バラ・霜降り肉などの重めのものは3ポイントとなる。

調理法に関しては、生・スチームといった調理法は1ポイント、煮る・オーブン・グリル・てんぷらなどが2ポイントで、煮込む・炭火焼・スモークなどが3ポイントだ。味付けも塩・白醤油などのライトな味付けは1ポイント、とんかつソースやデミグラスソースなどの濃厚な味付けが3ポイント。ポイントを合計していくと3~9点の間に収まることになる。

Step3:総ポイントに対応するワインを選び、ブリッジ食材でアレンジ

この“ペアリング方程式”に従うと、例えば「蒸した白身魚のナンプラーソース」なら、食材1ポイント+調理法1ポイント+味つけ1ポイント=3ポイントとなる。

総ポイントが3~4の料理にぴったりなワインは、スパークリングワイン、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネの3種。この中から選べばいい。

それからブリッジ食材のアーモンドやライム、レモンなどを料理に加えるのだ。スパークリングワインに合わせるのなら叩いたピーナッツを散らす、ソーヴィニヨン・ブランならパクチーを足す、シャルドネならゆずを一絞りかける、といった具合になる。

この方法なら、料理を作る前からワインとのペアリングを意識する必要はない。いつもの料理をまずはポイント化して、ブリッジ食材を加えて一工夫することで、料理とワインの相性をグッと高められるわけだ。

ホームパーティーなどをする際にも、シンプルな考え方でより良いおもてなしが可能になるだろう。ワインの世界は海溝のように深いけれど、この“ペアリング方程式”を活用すれば、ソムリエ並みの勉強をせずとも優れたペアリングを体験できるようになるはずだ。まさに画期的な発明だと感じた。


次週以降に掲載する<実践編・白><実践編・赤>では、実際の料理をサンプルに、この“ペアリング方程式”を踏まえて、ペアリングの考え方をより詳しく説明していこう。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身