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8000年前からワインがつくられ、「ワイン発祥の地」とされるジョージア(グルジア)。ジョージアはコーカサス山脈の南に広がり、2013年12月にはジョージアの伝統的なワインづくりの手法がユネスコの世界遺産に登録されている。
そんなジョージアワインの魅力を日本でも伝えようとしている日本人女性がいる。H&Nワインジャパンの本間真理子代表取締役だ。
本間真理子さん(写真・右)とジョージアのワイン・ジュースを販売するコーカサスセラーの本間聡代表取締役(同・左)。8月に開催された「Makuake MEET UP DAY 2018」にて撮影
ジョージアワインを「原点にして頂点」と語る本間さんに、ジョージアワインの特徴と魅力を伺った。
伝統製法でつくられた希少価値のあるジョージアワイン
ジョージアではワイン庁が設置され、国家的にぶどうとワインの生産が管理されている。2013年には、「クヴェヴリ」という素焼きのかめを清潔で温度が一定の地中に埋めて醸造するワインの伝統製法が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。
クヴェヴリ
粉砕したぶどうの果皮・果実・種・果梗などを丸ごと使用し、クヴェヴリを使ってゆっくり発酵させることで、高タンニン・高ポリフェノールのワインになるという。
クヴェヴリ製法を解説したユネスコの動画
ちなみに、ジョージアには525種のぶどうの固有種がある。世界には3000種類ほどのぶどう品種があると言われ、その6分の1に当たる数だ。
本間さんはジョージアについて「ぶどう栽培に最適の条件がそろった国」と語る。「その土地ならではの個性あふれる固有種でつくられる名産ワインが多い」と、その魅力を説明してくれた。
そしてクヴェヴリ製法ではワインを大量生産できないため、ジョージアワインの希少価値は高くなるのだという。
経済的な理由でオーガニック“認証”を受けたワインは少数派
ぶどう栽培に適した条件のジョージアでは、農薬や化学肥料に頼らない自然農法を長年実践している。収穫されたぶどうは、タンニンや酸が豊富で腐敗しにくいため、醸造の際に使用する酸化防止剤をごくわずかに抑えられるという特徴もある。
ただEUで「オーガニックワイン」と名乗るには、認証の取得が必要となる。“ナチュラルでヘルシーなワイン”を生産しているジョージアだが、経済的な理由からオーガニック認証を取得しようとする生産者は少数だという。
ビオディナミ農法のワインを広めたい
本間さんが特に注目しているのは、ビオディナミ農法で作られたぶどうを使ったワインだ。
ビオディナミ農法とは、特定の農薬を使わず、月の満ち欠けなどの自然のリズムを大切にしてぶどうを栽培する農法のこと。自然派ワインをつくり出す手法の1つとして、フランスをはじめ、この手法を取り入れるワイナリーは世界各地にある。
本間さんはビオディナミ農法で作られたぶどうを使ったジョージアワインを初めて飲んだときのことを「初めて体験した“のどを通るときにスッと消えるような不思議な感覚”に魅せられました」と振り返る。
本間さんは、伝統あるジョージアの地で今後さらにビオディナミ農法を広めていきたいという。
Makuakeでクラウドファンド。目標の2倍の支援が集まった
その目標を達成するため、クラウドファンディングサイト「Makuake」上でプロジェクトを開始。ジョージアのワイン産地、カヘティでのビオディナミ農法によるぶどう栽培とワインづくりへの支援を呼び掛けた。
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2018年4月末の終了までに、140人から目標金額の2倍以上となる約230万円の支援が集まった。
このときのこと振り返り、本間さんはこう語る。
小さな会社ですが、2012年の設立以来、現地生産者の声や畑の出来事を伝えながら、消費者と苦楽を共にしてきました。
運命共同体のような一体感を感じることも多く、Makuakeでのサポートもある程度は期待していましたが、実際に応援いただく感動は言葉にできません。
驚きと感動と勇気と涙の連続でこれからもがんばろうと思いました。
H&Nワインジャパンの手掛けるワインは、ジョージアのトビリシで2018年6月11~12日に開催された「International Wine Award」で11部門に入賞。「カツィテリクベブリ 2015」は、最高賞の「THE BEST OF THE SHOW」に輝いた。
ワインの味わいと品質には自信があるものの、今後の課題は販売方法への工夫だという。少しずつ改善して、多くの人に届けられるようにしていきたいと今後の目標を話してくれた。
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