コラム

おいしい赤ワインの選び方|おすすめの赤ワイン15選~産地/ぶどうの種類別に飲み比べて詳しくなろう

   

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ワインに興味を持つようになった。家飲み用に買うこともあるし、レストランやバーでもよく頼む。でも、ぶどうの品種や産地のことを言われても、まだよく分からない。せっかく買うならおいしいワインを買いたいけれど、どうやって選べばいいのだろう――。

今回から、そういった悩み・疑問を抱える方々に向けて、ワイン選びのコツをご紹介していきたい。赤ワインの選び方について、赤ワインをもっと好きになる最初の一歩から、赤ワインの奥深さにはまってしまう選び方まで、赤ワイン選びのABCをまとめてみた。

Step1:まずは手軽に飲めるハイコスパな赤ワインを飲み比べ

「赤ワイン」と一言で言っても、ぶどう品種によって、そして産地によって味の傾向は千差万別。もちろん、赤ワイン自体のおいしさもピンキリだ。

その中で、まず自分の好きな味を見つけるには、こんなワインから飲み比べてみてほしい。

サンタ・ヘレナ アルパカ カベルネ・メルロー


産地:チリ
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー
参考価格:660円(税別)

今や日本で最も売れている輸入ワインブランド「アルパカ」。チリの名門ワイナリー、サンタ・ヘレナがつくっている。

まずは日本で売れ筋になっているこちらの赤ワインを飲んでみよう。こんなにも売れている理由はまさに、誰でもおいしく飲めて、コスパが信じられないほど良いからだ。あふれる果実味とまろやかで優しい味わいは、日本人にも受け入れやすい。

このカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローとのブレンドは、肉料理にぴったりの組み合わせ。こちらのアルパカはコンビニやスーパーでも取り扱っている店舗が多く、いつでも買えるのがうれしい。

渋みが強いと感じる方には、同じアルパカの「シラー」がおすすめだ。

コノスル ビシクレタ ピノ・ノワール


産地:チリ
ぶどう品種:ピノ・ノワール
参考価格:880円(税別)

同じく日本で人気沸騰中のチリワインブランド「コノスル」。こちらからは、ピノ・ノワールをセレクトした。

カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローはしっかりとしたタンニンがあり味のインパクトも強い。それに対して、ピノ・ノワールはエレガントさがポイントだ。

和食など醤油の味付けにも合うため、重宝する赤ワインになるだろう。こちらのコノスルも、大手スーパーやコンビニで手に入れやすい。

ちなみにコノスルは、この「ビシクレタ」シリーズがスタンダードだが、格上の「レゼルバ・エスペシャル」シリーズや「20バレル」シリーズもあり、そちらのおいしさは、ちょっと感動してしまうほどだ。それらがすべて1000円台で購入できるとは、信じがたいクオリティだ。

パーセル カベルネ・ソーヴィニヨン


産地:フランス/ボルドー
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー
参考価格:1780円(税別)

「ワイン」の生産国を聞かれて、真っ先に思い浮かべる国はフランスだという人が多いとは思う。けれど、そんな王者・フランスも、今や日本における輸入ワイン売上首位をチリに空け渡してしまった。

もちろんフランスワインの中でも気軽に買えて、その実力を堪能できる赤ワインはたくさんある。

こちらの「パーセル カベルネ・ソーヴィニヨン」は、ボルドーの名門デスパーニュ家による親しみあふれるバランスの良いワイン。「パーセル」とは区画を意味し、そのワインに使われた畑の区画番号がラベルに示されている。

カシスを思わせる黒果実の香りにコショウなどのスパイスが効き、ボルドーの地の力強さを思わせる味わい。ステーキや炭火のバーベキューなどにぴったりの1本だ。

[関連記事]1000円前後で買えるおすすめ赤ワインまとめ――有名ワイナリーの手掛けるデイリーワイン、パーカーポイント90点台のワインも

Step2:赤ワインが生まれる産地の違いも楽しんでみよう

続いては、赤ワインの産地による味・特徴の違いも楽しんでみよう。赤ワインの代表的な産地と、その産地でつくられる赤ワインの特徴をまとめてみた。

◆ボルドー産・赤ワインの特徴

数多くのワインを生産しているワイン帝国・ボルドー。しっかりしたボディの赤がメインで、複数の品種をブレンドして赤ワインをつくるのが特徴だ。テーブルワインから格付された高額ワインまで、おすすめしたい赤ワインは幅広い。

シャトー・モン・ペラ ルージュ

神之雫第一集出現酒 Chateau Mont Perat 2007 蒙琵哈酒莊
産地:フランス/ボルドー
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン
参考価格:2700円(税別)

ボルドー産ワインとしてご紹介する王道のワインがこちら。ワイン漫画「神の雫」に取り上げられたことで一躍有名になったシャトー・モン・ペラの赤だ。

ボルドーワインには飲みごろを気にしなければならないものも多いが、こちらはリリース直後からおいしく飲めて、さらに熟成の可能性も大いにあるという一石二鳥のワインだ。

[関連記事]ボルドー5大シャトーの特徴を一覧比較 〜 解説:ボルドー5大シャトー

◆ブルゴーニュ産・赤ワインの特徴

大規模な生産者が多いボルドーに比べて、小規模な生産者が多いブルゴーニュ。赤ワインはピノ・ノワールのみの単一品種が基本だ(わずかな例外ある)。

ロマネ・コンティなど、一部には資産的価値が高い赤ワインもある。

ブルゴーニュ ピノ・ノワール ルイ・ラトゥール

Pinot Noir Going Down Well :-)
産地:フランス/ブルゴーニュ
ぶどう品種:ピノ・ノワール
参考価格:2500円(税別)

ブルゴーニュの名手、ルイ・ラトゥールの手掛けるブルゴーニュ ピノ・ノワールは、いかにもなブルゴーニュらしさを楽しめるバランスの良さが特徴の赤ワインだ。

美しいルビーレッドの外観、赤い果実を思わせる豊かなアロマ、適度なミネラル感。タンニンは優しく滑らかに舌の上を転がる。

この価格でここまでのクオリティを実現するのは、さすがの一言。

[関連記事]ブルゴーニュワインを語る上で初めに覚えるべきつくり手4選 ~ 解説:ブルゴーニュ名門ワイナリー

◆ローヌ産・赤ワインの特徴

フランスの中でもコスパの良いワインをたくさん産出しているコート・デュ・ローヌ地方。北部と南部で使われるぶどうは分かれるが、主に複数品種をブレンドして赤ワインをつくる。

力強く、かつ親しみの持てる、良質なワインが多い。

コート・デュ・ローヌ ルージュ ギガル

cotes-du-rhone-rouge-guigal
産地:フランス/ローヌ
ぶどう品種:シラー、グルナッシュ、ムールヴェードル
参考価格:2000円(税別)

「ローヌの帝王」と呼ばれるギガルがつくるローヌの赤ワインの魅力をぎっしり詰め込んだ1本。北部のコート・ロティをベースとしているギガルらしく、シラー種をメインに使い果実味があふれる味わいだ。蒲焼きなど甘辛ダレとの相性抜群。

上級キュヴェも多く生産するギガルだが、最もスタンダードなこの銘柄にも、その技術と熱量を感じることができる。

[関連記事]コート・デュ・ローヌの代表的なつくり手3選。高ポイント/高コスパワインの銘醸地 ~ 解説:ローヌ名門ワイナリー

◆イタリア北部産・赤ワインの特徴

イタリアの北部にはバローロやバルバレスコといった高級ワインの産地(ピエモンテ州)がある。

今回は、より気軽に楽しめる発泡赤ワインをご紹介しよう。

タヴェルネッロ ランブルスコ ロッソ


産地:イタリア/エミリア=ロマーニャ
ぶどう品種:ランブルスコ種
参考価格:730円(税別)

辛口から甘口までさまざまな味わいのあるスパークリング赤ワイン、ランブルスコ。

美食の都エミリア=ロマーニャでは、ラグーソースなど肉の味わいに寄り添い、程よくリセットしてくれるこのランブルスコは大人気。サラミやソーセージなどの肉総菜にも合うが、冷やしてバーベキューにもぴったり。

◆イタリア中部産・赤ワインの特徴

トスカーナの太陽光を浴び、元気に育ったサンジョヴェーゼ種からつくられるキャンティは、イタリアを代表する赤ワインの1つ。イタリアワインを語る上で、ぜひ飲んでおきたい。

キャンティ・オーガニック ポッジョトンド


産地:イタリア/トスカーナ
ぶどう品種:サンジョヴェーゼ
参考価格:2000円(税別)

星の数ほどつくり手がひしめくキャンティの中から、こちらをご紹介する。天才醸造家として知られるアルベルト・アントニーニ氏が、自らの故郷であるトスカーナでつくる自然派ワインだ。

こだわりにこだわり抜いて栽培したぶどうを丁寧に仕立てたハイコスパを誇るワインだ。

[関連記事]本当に買うべきおすすめのキャンティ7選! 「クラシコ」「リゼルヴァ」「グラン・セレツィオーネ」の違いも確認

◆カリフォルニア産・赤ワインの特徴

カリフォルニアのワインもテーブルワインから資産的価値のつくものまで、本当に幅広い。

カベルネ・ソーヴィニヨンからつくる赤ワインのほか、暖かい産地のジンファンデルや冷涼な産地のピノ・ノワールを使った赤ワインもおすすめだ。

ウッドヘイヴン カベルネ・ソーヴィニヨン


産地:アメリカ・カリフォルニア
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
参考価格:980円

「カリフォルニアの赤ワイン」と一口に言っても千差万別だが、いわゆるカリフォルニアらしい赤ワインをお得に試してみたい方には、こちらがおすすめだ。

リーズナブルな価格でありながら、しっかりとした自然農法でつくられたぶどうのみを使用。タンニンに裏付けされた骨格のあるボディが、牛肉などによく合う。アメリカ流にグリルしたTボーン・ステーキなどと合わせると、その魅力がよく分かるだろう。

◆スペイン産・赤ワインの特徴

こちらもヨーロッパを代表するワイン一大産地、スペイン。赤は最も有名なテンプラニーリョから土着ぶどう品種を使ったものまで、幅広い品種を使って赤ワインがつくられている。

マルケス・デ・リスカル ティント・レゼルバ テンプラニーリョ


産地:スペイン/リオハ
ぶどう品種:テンプラニーリョ、グラシアノ、マスエロ
参考価格:2500円(税別)

数多くのつくり手がいるリオハの中で、日本でも長年かけてその知名度を上げてきた古参のワイナリーがマルケス・デ・リスカルだ。

熟成を重ねたボディはしっかりと味わい深く、優雅でエレガント。独特の華のある味わいは、チーズや豚肉料理に最高にマッチする。

なお、半額程度で購入できるスタンダードクラス「リスカル・テンプラニーリョ」も人気だ。

Step3:赤ワインに使うぶどう品種の特徴を飲み比べて感じよう

ここまでに紹介してきた赤ワインを飲み比べてもらえれば、赤ワインの奥深さを十分に感じてもらえたことだろう。

次のステップとして、今度はワインに使うぶどう品種の特徴に注目してみよう。ここからは、ぶどう品種の違いがよく分かるワインをご紹介していく。

◆メルローを使った赤ワインの特徴

メルローの特徴は、紫がかった外観と絹のような滑らかさ。その優しい味わいを感じてみてほしい。

イル・ラ・フォルジュ エステイト メルロー

ILE LA FORGE
産地:フランス/ヴァン・ド・ペイ
ぶどう品種:メルロー100%
参考価格:1500円(税別)

南仏のスター生産者、ドメーヌ・ポール・マスが優良な契約農家のぶどうだけを厳選してつくるメルロー100%ワイン。

優しくソフトな印象、なめらかな舌触りといったメルローの良さが生かされ、同時に奥深いコクとリッチさを併せ持つ。雑誌「ワイン王国」で5ツ星を獲得。

◆カベルネ・ソーヴィニヨンを使った赤ワインの特徴

カベルネ・ソーヴィニヨンを使った赤ワインは、しっかりとした果実味と骨格を持つ。またタンニンも豊富な赤ワインが仕上がる。

コノスル レゼルバ・エスペシャル カベルネ・ソーヴィニヨン

Cono Sur Reserva Especial
産地:チリ
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン主体
参考価格:1380円(税別)

世界中で栽培されているカベルネ・ソーヴィニヨンだが、ここ数年で急激に人気上昇中の「チリカベ」から1本取り上げよう。

コノスル レゼルバ・エスペシャル カベルネ・ソーヴィニヨンは11カ月の樽熟成を経て、あふれ出る黒果実の香りに複雑さが加わっている。

タンニンは豊富だが滑らか。非常にバランスの取れた理想的な味わいが楽しめる。ワイン漫画「神の雫」にも取り上げられたことがある。

◆ピノ・ノワールを使った赤ワインの特徴

ピノ・ノワールから生まれた赤ワインは、高貴な味わいではナンバーワン。良質なクローン株のおかげで、世界中でおいしいワインがつくられるようになった。

カーメル・ロード ピノ・ノワール


産地:アメリカ/カリフォルニア
ぶどう品種:ピノ・ノワール
参考価格:2500円(税別)

「ピノ・ノワールと言えばブルゴーニュ」と言うのは、一昔前のイメージだろう。今や数々の地域で生産されているピノ・ノワールの中から、親しみやすいカリフォルニアのピノ・ノワールをご紹介する。

冷涼な風の通るモントレー地区では質の高いピノ・ノワールが採れる。ブルゴーニュのイメージより果実味がフレッシュなのが特徴だ。甘い香り、柔らかく穏やかでジューシーなぶどうの味わいを楽しみたい。

◆シラー(シラーズ)を使った赤ワインの特徴

シラー(シラーズ)の赤ワインは、フランス・ローヌ産のものはスパイシーさが感じられる。その他の地域では果実味あふれる味わいが特徴だ。

ベンチマーク シラーズ

[Aust] BENCHMARK Shiraz 2014 - Hunters Hall JDW), Galashiels {£13.99} (02.05.17)
産地:オーストラリア/南オーストラリア
ぶどう品種:シラーズ
参考価格:1600円(税別)

良質なワインを多く生産する南オーストラリアのバロッサ・バレー。こちらに拠点を構えるワイナリー、グラント・バージは5世代も続いてワインをつくり続ける老舗だ。

バロッサ・バレーの魅力を知り尽くしたつくり手が、恵まれた気候に育まれた最高のシラーズを使用して醸造したのがこのワインだ。

あふれ出る果実味がシラーズの真骨頂。「ワイン王国」70号で見事、5ツ星を獲得した。

◆グルナッシュを使った赤ワインの特徴

グルナッシュは、フランスのローヌやスペインでよく使われる赤ワイン用ぶどう品種。スパイシーなテイストが魅力的だ。

サングレ・デ・トロ

Wines I'm liking - 3 of ? - Torres, Sangre de Toro - 2009
産地:スペイン/カタルーニャ
ぶどう品種:グルナッシュ、カリニャン
参考価格:1600円(税別)

バルセロナから程近い、ペネデス地方で140年以上もの間ワインをつくり続けるトーレス社のフラッグシップワイン。今やスペインワインを代表する1本と言える。

グルナッシュの特徴である赤・黒果実の香り、あふれる果実味にスパイシーなニュアンスがちらり。生ハムやチーズとの相性抜群、豆のトマト煮や鴨ローストといった料理にもぴったりだ。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身