コラム

ボルドー5大シャトーの特徴を一覧比較 〜 解説:ボルドー5大シャトー

1855年に開かれたパリの万国博覧会を記念し、偉大なる「メドック格付け」が行われた。この格付けは現代に至るまで、フランスワイン勢力図に圧倒的な影響を及ぼしている。

栄誉ある第1級に格付けされたシャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴー、シャトー・オー・ブリオン、シャトー・ラフィット・ロートシルトの4つのシャトー、そして1973年に第2級から第1級への昇格が認められたシャトー・ムートン・ロートシルトの計5つのシャトーが、ボルドーの“第1級シャトー”として現在も君臨している。

これらは「5大シャトー」と呼ばれ、最も偉大なフランスワインと認められている。こちらの「解説:ボルドー5大シャトー」シリーズでは、各シャトーの特徴をそれぞれ取り上げてきた。今回は最後にもう1度、5大シャトーの特徴を一覧できるように、5大シャトーの中での順位も意識しながら、本記事を作成してみた。

シャトー・ラフィット・ロートシルト

第1級シャトーの中でもナンバーワンと言われ、「王のワイン」という異名を持つシャトー・ラフィット・ロートシルト。

Ch. Lafite Rothschild 1993

農作業や選果等、可能な限り手作業にこだわり、ステンレスタンクの使用を減らしていくなど伝統的な手法へ回帰している。ラベルのデザインも100年以上変わらず、しなやかで繊細な味わいのワインを作り続ける。

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Château Lafite Rothschild

シャトー・ラトゥール

最も凝縮感がある豊かなボディを持ち、しばしば「男性的」と評されるシャトー・ラトゥール。

Château Latour

濃い外観にしっかりとしたタンニン、複雑なアロマにはスギなどの清々しさが現れる。積極的に有機農法への転換を進めているのも特徴だ。

馬による耕作などの伝統的手法、ステンレスタンクのコンピューター制御などの現代的手法をバランス良く導入している。

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Chateau Latour Fermentation Vats

シャトー・マルゴー

5大シャトーの中でも、最も「女性的」と評されるシャトー・マルゴー。

その特徴は、タンニンの圧倒的なしなやかさにある。第3代アメリカ大統領トーマス・ジェファーソンやヘミングウェイなど、数々の著名人に愛されたワインだ。

時代の波に翻弄され、1度は荒廃しながらも、現在は往年の栄華に勝るとも劣らないワインが復活。良いヴィンテージのものは30年もの熟成が可能と言われている。

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Chateau Margaux

シャトー・オー・ブリオン

メドック地区外のグラーヴ地区から、第1級に唯一選ばれたという栄誉を持つシャトー・オー・ブリオン。

chateau haut-brion

他の4シャトーよりメルローのブレンド比率が高く、柔らかくなめらかな味わいから、「最も親しみやすいワイン」と言われる。

ボルドーで最初にステンレスタンクを導入し、ワインづくりの工程をコンピューター制御。省人化と同時に安定したクオリティを実現している。

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Cuves Haut-Brion

シャトー・ムートン・ロートシルト

第2級から第1級への昇格が認められたシャトー・ムートン・ロートシルトは、華やかでエレガントな味わいが特徴的だ。

1982 Chateau Mouton-Rothschild at Troquet

シャトーでの瓶詰めを導入し、カジュアルなセカンドラベルである「ムートン・カデ」の醸造を開始するなど、優れたビジネス手腕でも知られるシャトー。

毎年異なるアートラベルも人気を呼び、唯一無二の存在感を持つ。

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Mounton 1973-2005

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身