国内では珍しいスパークリングワイン専門のワイナリー、福山わいん工房(広島県福山市)が、ファーストヴィンテージとなる2016年の「超熟スパークリングワイン 紅のうたかた」の発送を開始した。
5月28日にクラウドファンディング「Makuake」上で販売予約を受付開始して、7月末の終了までに、目標金額の4.5倍以上の金額を集めたという注目度の高いワインだ。
福山わいん工房を運営するenivrantの古川和秋代表取締役に、その魅力や思いを伺った。
古川和秋代表取締役。8月に開催された「Makuake Meet Up Day」にて
15カ月間熟成。すべての工程を手作業で
「フランスのシャンパーニュ地方に滞在中に、シャンパンの魅力に惹かれ、伝統的な瓶内二次製法のスパークリングワインを日本でつくりたいと考えました」。そんな古川代表の想いから、福山わいん工房のスパークリングワインづくりはスタートした。
スパークリングワインの発泡の手法にはいくつかあるが、シャンパーニュでは瓶の中で二次発酵させることで泡を生み出す。「シャンパーニュ」を名乗るには、瓶内二次発酵の期間を最低15カ月経なくてはならない。「超熟スパークリングワイン 紅のうたかた」も、シャンパーニュの基準を満たすよう、15カ月の熟成を経て出荷された。
瓶内発酵中には、瓶の中ににごりの原因となる澱(おり)が残る。この澱を取り除くために、逆さまにした瓶を毎日45度ずつ回す。出荷前には1本1本、瓶口に集まった澱を飛ばす作業が必要になる。こうした手間がかかる一連の作業、「福山わいん工房」ではすべて手作業だ。
“福山産”マスカット・ベーリーAは、スパークリングワイン向き
「超熟スパークリングワイン 紅のうたかた」に使われているのは、福山産のマスカット・ベーリーAだ。
自社畑でぶどうも栽培している
瀬戸内の穏やかな気候の中で太陽をしっかり浴びたぶどうは、チャーミングな甘い香りがするという。「福山のマスカット・ベーリーAはスパークリングワインに向いていると考えています」と、古川代表も自信を示している。
そんなマスカット・ベーリーAからつくった「超熟スパークリングワイン 紅のうたかた」は、落ち着いた雰囲気の味わいに、しっとりとした後味が口の中に広がる。ローストビーフや、ハーブを用いたアジア料理と合わせるのがお勧めだという。
実際に口にした人からは、「香りは甘いですが味わいはドライで、スッキリしていておいしいですね」などの感想が届いたそうだ。
目標の4.5倍となったクラウドファンディング
5月28日から7月末まで、クラウドファンディング「Makuake」上で予約を受け付けた「超熟スパークリングワイン 紅のうたかた」。「早割り」や「セット割」、特製風呂敷のプレゼントなど、お得な特典が用意されていたこともあり、目標金額50万円のところを、4.5倍以上の227万円が集まった。
「超熟スパークリングワイン 紅のうたかた」は、ワイナリーなどで再び販売を開始する予定だ 。
古川氏はこの結果に対して、「予想以上のご支援に感謝の気持ちでいっぱいです」とコメント。今後について、「日本を代表するスパークリングワインがつくれるようにがんばります」と語ってくれた。