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近年、世界的な大ブームになっているロゼワイン。フランスではついに販売量ベースで白ワインを抜き、ロゼの方が売れるようになった。
しかし、日本ではまだそこまでロゼワインはブレイクしていないようだ。おいしいロゼをたくさん知ってもらい、日本でもロゼワイン好きが増えてくれるように、基本的なロゼワインの選び方、おすすめのロゼワインをご紹介していこう。
Step1:だんだんロゼを好きになる。手頃でおいしいロゼワイン
まずは入門編。手頃な価格でロゼを楽しめて、外さない3本をピックアップした。
サンタ・ヘレナ アルパカ ロゼ
産地:チリ
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー
参考価格:660円(税別)
日本で一番売れているワインブランド「アルパカ」。そのロゼは、きれいなサーモンピンク色だ。
料理に合わせることを考え、フルーティーな香りと辛口な飲み口に仕上げている。
つくり手のサンタ・ヘレナは、チリの名門として君臨。コスパが良く、日常使いできる1本だ。
コノスル スパークリングワイン ロゼ
産地:チリ
ぶどう品種:ピノ・ノワール
参考価格:1350円(税別)
アルパカと並ぶ人気のブランド「コノスル」からは、ロゼのスパークリングワインをご紹介しよう。
冷涼なチリのビオビオ・ヴァレーで収穫されたピノ・ノワールを使い、スパークリングワインに仕上げている。果皮からにじみ出るわずかなタンニンが飲み応えと奥行きを与え、白のスパークリングとは一味違ったおいしさだ。
シーフードから肉まで、さまざまな料理に合わせやすい万能ワイン。ワイン王国で五ツ星、デキャンター・ワールド・ワイン・アワード2017で93点を獲得した。
ミラヴァル ロゼ
産地:フランス/プロヴァンス
ぶどう品種:サンソー、グルナッシュ、シラー、ロール
参考価格:3400円(税別)
こちらはギフトにもおすすめのロゼワイン。ワイナリーのオーナーは、何とブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーだ。2008年にこのワイナリーを購入した2人は、ローヌで腕を鳴らす名醸造家ペラン・ファミリーにワイナリーを任せた。
2014年には「ワイン・スペクテイター」誌が選ぶトップ100リストの中で、ロゼワインの最上位に位置している。
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Step2:ロゼワインのおすすめ産地は? フランスなどからリストアップ
手頃に飲めるおいしいロゼを楽しんでいただけたら、次はロゼの世界にもう1歩足を踏み入れてみよう。ロゼワインの違いを学んでいくために、主要な産地のおすすめワインを取り上げていこう。
◆フランス/ローヌ産・ロゼワインのおすすめ
タヴェル・ロゼ シャプティエ
産地:フランス/ローヌ
ぶどう品種:グルナッシュ
参考価格:3100円(税別)
フランスのロゼと言われて真っ先に思い浮かぶのがタヴェル・ロゼ。“ロゼの女王”とも呼ばれている。
やはりロゼの銘醸地であるプロヴァンスのロゼと比べると、チャーミングな香りながら濃い色合いと力強さが特徴。それだけ味わいもしっかりしており、中華料理や肉料理にも遜色なく合わせることができる。
◆フランス/プロヴァンス産・ロゼワインのおすすめ
ロラトワール サン・タンドリュー
産地:フランス/プロヴァンス
ぶどう品種:グルナッシュ、サンソー、シラー、ロール
参考価格:2500円(税別)
可憐なサーモンピンク色の外観、爽やかな辛口がプロヴァンス・ロゼの特徴だ。南仏で昼下がりにロゼを飲みつつブイヤベースを食べるというのは、フランス人の考え得る至福なヴァケーションの一例だろう。
このロゼはメドック格付け4級シャトーのタルボのつくり手が手掛ける。フレッシュでアロマにあふれた気品ある味わいだ。
◆フランス/ロワール産・ロゼワインのおすすめ
ロゼ・ダンジュ ラシュトー
産地:フランス/ロワール
ぶどう品種:グロロー
参考価格:1450円(税別)
やや甘口のフルーティーな「ロゼ・ダンジュ」は、先述の「タヴェル・ロゼ」「プロヴァンス・ロゼ」とともに「フランス三大ロゼ」に数えられる。
ラシュトーは自然環境への配慮を重視したつくり手で、有機認証を受けたぶどう栽培を展開する。
イチゴやラズベリーを彷彿とさせるチャーミングな香りとフレッシュな果実味、軽快に飲み進められるデイリー向けワインだ。
◆フランス/ボルドー産・ロゼワインのおすすめ
ジャンフォー・ロゼ
産地:フランス/ボルドー
ぶどう品種:メルロー、カベルネ・フラン
参考価格:2000円(税別)
ボルドーでつくられる樽熟成の自然派ロゼ。オーナーのパスカル氏は、かつて樽職人だったという樽のスペシャリストだ。
こだわり抜いた自然農法でぶどうを栽培し、樽で熟成させることにより奥行きのある味わいになった。
豚肉や生ハム、また赤肉にも合わせることができる絶品。ロゼのイメージを覆す驚きのワインだ。
◆イタリア/プーリア産・ロゼワインのおすすめ
イタリアのロゼと言えば、プーリア州でつくられたものをまずは押さえておきたい。
イタリア半島のちょうどブーツのかかと部分にあるプーリア州は、なんとイタリアのロゼの6割が醸造されているというロゼの銘醸地だ。海沿いでは、タコや貝などの魚介類と一緒にロゼワインが多く飲まれている。
ノヴェメンティ・ロザート メンヒル
産地:イタリア/プーリア
ぶどう品種:ネグロアマーロ
参考価格:1530円(税別)
こちらのロゼワインのつくり手は、土着品種の可能性を信じ、この地ならではのワインをつくり続けるメンヒルだ。
広がる果実味とほのかなタンニンを感じるバランスの良さ。キュッと冷やして楽しみたい。
◆ドイツ産・ロゼワインのおすすめ
フリードリッヒ・ベッカー プティ・ロゼ トロッケン
産地:ドイツ/ファルツ
ぶどう品種:ピノ・ノワール主体
参考価格:2700円(税別)
以前は白ワインのイメージが強かったドイツワインだが、最近の辛口赤ワインの生産量増加はめざましいものがある。
そのドイツ赤ワインに使われる主な品種は、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)だ。それに加えて、ピノ・ノワールを使った辛口ロゼワインも多くつくられるようになってきた。
こちらのロゼワインは、ラズベリーやオレンジのような香り、美しい酸が特徴。しっかりとボディのある味わいは、つくり手のベッカー氏が「僕が一番このワインを愛し、消費している」と太鼓判を押すクオリティだ。
◆アメリカ産・ロゼワインのおすすめ
アメリカでは、黒ぶどうのジンファンデルでつくったロゼワインのことを「ホワイト・ジンファンデル」と呼ぶ。実は「ホワイト・ジンファンデル」のロゼワインの方が、ジンファンデルの赤ワインよりはるかに売れている。
ほんのり甘口のホワイト・ジンファンデルは、リーズナブルな価格も手伝って、アメリカでは気軽に飲めるワインとして大人気だ。
モンテヴィーナ ホワイト・ジンファンデル
産地:アメリカ/カリフォルニア
ぶどう品種:ジンファンデル
参考価格:1600円(税別)
つくり手のモンテヴィーナは、ジンファンデルを最も得意とし、ホワイト・ジンファンデルを最初に世に送り出したことでも知られている。
爽やかでフレッシュな味わいは、中華料理やエスニックにぴったりだ。
Step3:さまざまなつくり方があるロゼワイン。手法別の違いをチェック
赤でも白でもないロゼワイン。“ロゼ”をつくり出すために、主に「セニエ法」「直接圧搾法」「混醸法」という3つの手法が用いられている。
それぞれ、どんなつくり方なのだろうか。各手法でつくられた代表的なワインと一緒に見ていこう。
◆セニエ法でつくった代表的なロゼワイン
セニエ法は最も一般的なロゼの醸造法だ。黒ぶどうを白ぶどうのように醸造し、途中で果皮などを引き抜く。液体は適度に色づき、果皮の渋みも多少残るのが特徴になる。
グレイス・ロゼ
産地:日本/山梨
ぶどう品種:メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド
参考価格:2500円(税別)
山梨県で世界レベルのワイン醸造を続けるグレイスワイン(中央葡萄酒)のロゼ。
自社農場である三澤農場で収穫したボルドー品種を用い、セニエ法・樽熟成で仕上げた辛口のロゼワインになる。やや濃いめのチェリー色に華やかな果実味、樽がもたらす奥行きも感じられる。
マグロやカツオの刺身、照り焼きなど、味わいのしっかりした和食におすすめだ。
◆直接圧搾法でつくった代表的なロゼワイン
黒ぶどうを圧搾し、果汁のみを発酵させて醸造する製法。セニエ法よりも色づきが薄く、時に「ヴァン・グリ」(灰色のワイン)とも呼ばれる。ホワイト・ジンファンデルもこの製法だ。
バイ・オット ロゼ
産地:フランス/プロヴァンス
ぶどう品種:グルナッシュ、サンソー、シラー
参考価格:3000円(税別)
「プロヴァンスのトップ」と言われるワイナリー、ドメーヌ・オットがつくったセカンドワインだ。
セニエ法が一般的なプロヴァンス地方において珍しい直接圧搾法を採用している。ぶどうを軽くプレスして淡い色づけをした後、発酵のプロセスへ入る。果皮などを液体に触れさせないため繊細な風味が生かされ、果実味あふれる高貴な味わいのワインとなる。
◆混醸法でつくった代表的なロゼワイン
赤ワインと白ワインをブレンドすることは、基本的にEUでは禁止されている。ただし例外となるのがドイツの「ロートリング」と呼ばれる製法だ。ロートリングでは発酵前に黒ぶどうと白ぶどうの果汁をブレンドし、一緒に混醸する。
ベックシュタイナー・ヴィンツァー ミュラー・トゥルガウ シュヴァルツ・リースリング
産地:ドイツ/バーデン
ぶどう品種:ミュラー・トゥルガウ、シュヴァルツ・リースリング
参考価格:2100円(税別)
黒ぶどうのシュヴァルツ・リースリングと白ぶどうのミュラー・トゥルガウを一緒に混ぜて醸造したワイン。このスタイルはバーデン地方のほか、ヴュルテンブルグ地方、フランケン地方などで一般的だ。
イチゴやリンゴのような果実味のほか、スパイス感も感じられる味わいとなる。
ちなみにこのワインに使われるぶどう品種のシュヴァルツ・リースリングは、白ぶどうのリースリングとは関係がない。ピノ・ノワールの変異種と言われている。