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「スパークリングワイン」のことを、何でも「シャンパン」と呼ぶことが許されていたのはひと昔前まで。フランスのシャンパーニュ地方以外でも、世界のさまざまな場所で優れたスパークリングワインがつくられていることは、多くの方がご存じだろう。
では、好みのスパークリングを選びたいときに、何を基準に選べばよいのだろうか。スパークリングワインの選び方のポイントを、いくつかの軸にまとめてみた。
Step1:おいしくて外さない。最初に飲んでおきたいスパークリングワイン
スパークリングワインについて語れるようになりたいのなら、まずは定番どころや、おいしくて外さないワインを試しておきたい。
スパークリングワインの選び方に悩むあなたに、最初に飲んでほしいワインは次のとおりだ。
モエ・エ・シャンドン モエ・アンペリアル
産地:フランス/シャンパーニュ
ぶどう品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ
参考価格:3980円(税別)
いつでも、どこでも手に入りやすい世界で最も知られたシャンパーニュ。
安定したバランスの良い味わいは、3種のぶどうの完璧とも言える調和からもたらされる。適度なコクもあり、フレッシュさもあり、いつまでも飲み飽きない定番中の定番シャンパーニュだ。
バルディビエソ エクストラ・ブリュット
産地:チリ
ぶどう品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
参考価格:1600円(税別)
リーズナブルな価格ながら、シャンパーニュ方式のつくり方を採用したチリのスパークリングワイン。きめの細かい泡立ちと端正な味わいのバランスを実現した。
青リンゴのような果実香とトースト香が感じられ、どのような料理にも合わせやすい万能ワイン。多くのコンクールで優秀な成績をおさめている。
ロジャー・グラート カヴァ ロゼ ブリュット
産地:スペイン
ぶどう品種:ガルナッチャ、モナストレル
参考価格:1765円(税込)
スペインのペネデス地方でつくられるロジャー・グラートは、1882年創業のカヴァ専門老舗名門ワイナリーだ。世界的に名が知られるようになった今でも、大半の工程が手作業。丁寧な醸造を心掛けている。
このロゼは、日本のテレビの格付け番組にて大々的に取り上げられたことでさらに人気となった。果実味があふれる濃厚な味わいが楽しめる。
Step2:世界各地でつくられるスパークリングワイン。産地の違いを飲み比べ
スパークリングワインの代表格と言えばシャンパーニュだろうが、フランチャコルタやカヴァなど、シャンパーニュに負けず劣らずの優れたスパークリングワインが世界各地でつくられている。
そんなスパークリングワインの選び方を学んでいってもらうために、シャンパーニュ以外に、さまざまなスパークリングワインも試してみてほしい。
◆フランス/シャンパーニュのおすすめワイン
ニコラ・フィアット ワンフォー・ブリュット 200ml
産地:フランス/シャンパーニュ
ぶどう品種:ピノ・ムニエ、ピノ・ノワール、シャルドネ
参考価格:2414円(税込)
スパークリングワインを気軽に飲み比べしたいとき、ネックになるのはシャンパーニュの値段の高価さだ。このニコラ・フィアットのベビーボトルは、気軽に購入できる価格で非常に手に取りやすい。
ニコラ・フィアットはフランスで最も売れているカジュアル・シャンパーニュ。爽やかさと花の香りが優雅に漂うエレガントな味わいを楽しめる。
◆イタリア/フランチャコルタのおすすめワイン
マルケーゼ・アンティノリ フランチャコルタ・キュヴェ・ロワイヤル
産地:イタリア/ロンバルディア
ぶどう品種:シャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ビアンコ
参考価格:3480円(税別)
シャンパーニュと並ぶ洗練されたスパークリングとして名前のあがることが多いのは、イタリアのフランチャコルタだろう。
こちらのワインを手掛けるのはイタリアの名門アンティノリ。シャルドネを軸に、フレッシュな味わいが楽しめる軽やかな発泡ワインだ。
◆スペイン/カヴァのおすすめワイン
フレシネ コルドン・ネグロ カヴァ・ブリュット
産地:スペイン/ペネデス
ぶどう品種:バレリャーダ、マカベオ、チャレッロ
参考価格:1239円(税込)
黒いボトルが印象的なフレシネは、日本でも20年以上前から輸入されていて人気の1本。
緑がかった淡い黄色の外観、透明感のある味わいが特徴で、キレのある印象だ。多くの料理に合わせやすいが、和食との相性はとても良い。
◆ドイツ/ゼクトのおすすめワイン
ヘンケル トロッケン ゼクト
産地:ドイツ
ぶどう品種:シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール
参考価格:1388円
伝統品種を使ってつくられる高品質なスパークリングワイン。
ヘンケルはドイツのスパークリングワインを代表するブランドで、世界中で愛されている。辛口から甘口、赤のスパークリングやノンアルコールのものまで幅広く製造している。
このトロッケンは、優しい花の香りが印象的。非常に口当たりが心地よい。
[関連記事]「プロセッコ」「スプマンテ」「カヴァ」の違いはこれ!――覚えておきたいスパークリングワイン用語~イタリア・スペイン編~
[関連記事] 「ムスー」「クレマン」「ペティヤン」の違いとは? スパークリングワインの個性を表す用語の意味
Step3:2次発酵は瓶内かタンク内か。発酵方法の違いを知ろう
スパークリングワインの泡を生み出すやり方として、シャンパーニュのように瓶内で2次発酵させるやり方と、大型タンク内で2次発酵させるやり方がある。
2次発酵の方法によって味わいの違いがどうなるか、代表的なワインを飲み比べて違いを感じてみよう。
◆シャンパーニュ方式(トラディショナル方式/瓶内二次発酵)の特徴は?
ワインを瓶詰めして糖分と酵母を加え、瓶内で2次発酵を進める。発酵後に澱を除去する工程を1本ずつ行うため非常に手間がかかるが、キメの細やかな泡ができる。
ムッサ カヴァ・ブリュット
産地:スペイン/カタルーニャ
ぶどう品種:マカベオ、バレリャーダ、チャレッロ
参考価格:1700円
はつらつとしたフレッシュさ、まろやかな果実味ときれいな酸のバランスが素晴らしいカヴァ。
口当たりはドライですっきり爽やか。瓶内2次発酵の特徴である切れ目のない生き生きとした泡立ちが心地よい。魚介や和食に合わせたい。
◆シャルマ方式の特徴は?
シャルマ方式は2次発酵を大型タンクで行う方式。澱引きの手間がかからず効率の良い方法だが、シャンパーニュ方式と比べると多少泡立ちが荒くなる。また、泡が立ち消えるのも早い。広い地域で採用されている。
ラリアンス・ブリュット
産地:フランス/ボルドー
ぶどう品種:ユニ・ブラン、セミヨン、ミュスカデル
参考価格:1580円(税別)
ワイン王国45号にて、超特選ベストバイ五ツ星に輝いた人気のワイン。
明るい黄金色の外観、グレープフルーツやカリン、ハーブなどの香りに、ほんのり甘さが感じられる味わいだ。
パーク・ハイアット東京のデリカテッセンにてハウススパークリングとして採用され、絶品デリとともに供されている。
Step4:スパークリングワインの印象を変えるガス圧も押さえておこう
スパークリングワインを選ぶポイントとして、ガス圧にも注目しておきたい。
◆シャンパーニュレベル(5〜6気圧)のおすすめワイン
シャンドン ブリュット
産地:オーストラリア
ぶどう品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
参考価格:3024円(税込)
モエ・エ・シャンドンがオーストラリアでつくるスパークリングワイン。製法はフランスと同じく瓶内2次発酵を採用し、丁寧につくられている。
シャルドネの果実味、レモンのような爽やかな酸味と、ピノ・ノワールによるコクと奥行きがバランス良好だ。
◆ペティヤンレベル(3気圧)のおすすめワイン
ヴーヴレ ペティヤン・ブリュット ドメーヌ・ヴィニョー・シュヴロー
産地:フランス/ロワール
ぶどう品種:シュナン・ブラン
参考価格:2500円(税別)
ロワールの中域で、1875年より5世代にわたり続くワイナリーがつくるワイン。馬により畑を耕作するなどナチュラルな環境において、樹齢40年を超える古樹から収穫したぶどうを使用する。
シュナン・ブランならではのアカシアの蜂蜜のような果実味を生かし、上品で高貴な口当たりに。泡立ちはきめが細かく、料理のおいしさを引き立ててくれる。
◆微発泡レベル(1〜2気圧)のおすすめワイン
レ・ヴァカンツェ シャルドネ フリッツァンテ
産地:イタリア/ヴェネト
ぶどう品種:シャルドネ
参考価格:1280円(税別)
近年非常に注目度が上がり、よく売れているのがイタリアの微発泡ワイン「フリッツァンテ」。このレ・ヴァカンツェは、爽やかな酸味とふくよかな果実感のバランスが良く、よく冷やすとシュワっとした微発泡感も十分に楽しめる。
手頃な価格ながらすっきりとした上質な口当たりが癖になる。ヘビロテになること間違いなしのワインだ。