Sopexaは2018年10月9日、世界のワイン市場を調査した「WINE TRADE MONITOR(ワイントレードモニター) 2018」を発表した。
Sopexaは、世界のワイン市場についてリサーチを実施している。今回発表した「WINE TRADE MONITOR 2018」では、アメリカ、日本、中国、香港、ベルギー、カナダの主要6市場の輸入業者、卸売業者、小売業者を含む781の専門家を調査対象とし、今後2年間の市場展開および傾向を予測した。
今回は、調査結果の「生産国別イメージ」と「これから注目すべき生産地の特色」にポイントを絞って紹介する。
生産国別イメージ
ナンバー1を維持するフランス
今回の調査では、ワイン生産国として最も良いイメージの国は、高品質なイメージと定評の高さから、フランスという結果になった。調査対象者の64%がワイン生産国として最も成功しているのはフランスだと回答している。次いで高い評価を得たのはイタリアで、フランスとの差は13%だった。
フランスワインは、高品質なイメージの浸透に加え、さまざまなキャンペーンの展開、「持続可能な開発へのアプローチ」「消費者の期待に応えられる商品」などの条件を満たし、総合的に高い評価を受けている。さらに、「特別な日に飲むワイン」として、特に高い評価を獲得した。しかし、中国やカナダでは、他の国に比べてフランスワインのイメージが低下傾向にあり、売り上げにも同様の傾向が見られる。
フランス産以外のワインも人気上昇中
「魅力的な価格設定」「普段の食事に最適なデイリーワイン」といったカテゴリーでは、スペインワインとチリワインが首位を占めている。スペインやチリは、これまでにない革新的なワインをつくるという点から、フランスやイタリアに続いて高い評価を得ている。
これから注目すべき生産地の特色
赤ワイン
売り上げが大きく増加すると予測された赤ワインの生産地は、ボルドー、ランドック、コート・デュ・ローヌ、ブルゴーニュの4カ所。その全てがフランスという結果になった。
フランス南西部に位置するボルドーは、フランスワインを代表する産地だ。生産するワインの約70%が赤ワインで、複数品種のぶどうをブレンド(アッサンブラージュ)してつくるワインが主流となる。使用するぶどう品種は、主にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドとなっている。今回の調査では、しっかりと力強い重厚な味わいのボルドーワインは、特にアジア諸国での人気が高かった。
ランドックはフランス南部の地中海に面した地域で、ぶどうの栽培面積が非常に大きい。主に赤ワインが生産されていて、比較的安価なワインが多い。今回の調査では、ベルギーでランドックワインの人気が高かった。
ボルドー、ランドックに次いで売り上げの増加が予測されているのは、ブルゴーニュ、コート・デュ・ローヌだ。フランス東部に位置するブルゴーニュは、ボルドー同様にフランスワインを代表する産地だが、ボルドーと違い単一品種でつくる(モノセパージュ)ワインが主流。フランス南部に位置するコート・デュ・ローヌは、コストパフォーマンスに優れたワインを生産している。
白ワイン
売り上げが大きく増加すると予測された白ワインの生産地は、ニュージーランドのマールボロとフランスのロワールとなっている。
マールボロは、ニュージーランドの南島に位置する産地で、同国でも有数のぶどう栽培規模を誇る。ソーヴィニヨン・ブランの世界的産地であり、その聖地として有名。調査対象市場のうち、ベルギーを除く5市場で、白ワインの売り上げ上位2位以内にマールボロの白ワインがランクインすると予測している。中でも、日本、中国、香港、カナダで、マールボロの白ワインは人気が高かった。
ロワールは、フランスのロワール川流域に点在する産地。栽培するぶどう品種が非常に多く、多種多様なワインが産出されているが、白ワインはフレッシュで爽やかなものが多い。北米では、調査対象者の3人に1人がロワール産白ワインの売り上げが大幅に増加すると予測していて、アメリカ産を上回るとしている。
ロゼワイン
ロゼワインの生産地のうち、売り上げが大きく増加すると予測されたのは、フランスのプロヴァンスとコルシカ島だ。わずかな差でラングドックが続いている。
プロヴァンスは地中海沿岸のマルセイユからニース一帯に広がるフランス最大のロゼワインの産地で、ワイン生産量の約90%をロゼワインが占め、辛口のものも多い。地中海に浮かぶコルシカ島では、アルコール度が低く、フレッシュなロゼワインを多く生産している。島でのワイン生産量のうち、半分以上をロゼワインが占めている。今回の調査では、調査対象者の63%がプロヴァンス産やコルシカ島産のロゼワインが売り上げを伸ばし、上位3位以内にランクインすると予測した。一方、中国、日本、カナダでは、イタリア産ロゼワインの売り上げが伸びており、調査対象者の約半数が売り上げ上位3位以内に入る可能性があると予測している。
スパークリングワイン
スパークリングワインでは、イタリアのプロセッコとスペインのカヴァの売り上げ増加が見込まれている。
プロセッコは、イタリアを代表するスパークリングワイン。北イタリアの特定地域で、グレーラ種を主体につくられる。カヴァは、スペインのカタルーニャ地方を中心とし、シャンパンと同じ製法でつくられる。調査対象市場では、ともに売り上げが伸びているが、プロセッコは北米で、カヴァは日本とベルギーで大幅な売り上げの増加が見込まれている。