2018年11月15日に解禁されるボジョレー・ヌーボー。すでに普段から買い物に行くスーパーやワイン専門店などでボジョレー・ヌーボのポスターを見て、胸を高鳴らせているワイン愛好家の方もいらっしゃることだろう。
ボジョレー・ヌーボーをより楽しむために、今回はボジョレー・ヌーボーが生まれる産地や品種の情報をあらためて確認していきたい。
ボジョレー地区でつくられるワインの特徴
ボジョレー・ヌーボーが生まれるのは、フランスのブルゴーニュ地方の南にあるボジョレー(Beaujolais)地区だ。マコンの南部からリヨンの北部まで、約55kmにわたって広がっている。北部は花崗岩を基盤とした丘陵地帯、南部は北部よりも肥沃で平坦な土壌が広がっている。
ボジョレー地区にある96カ村がAOC「ボジョレー」を名乗れる。その中でも特に優れたぶどうが生まれる同地区・中心部にある10カ村がAOC「クリュ・デュ・ボジョレー」として認められ、その周囲には「ボジョレー」よりもワンランク上のAOC「ボジョレー・ヴィラージュ」として指定を受けた39カ村のぶどう畑が広がっている。
AOC「ボジョレー・ヴィラージュ」はボジョレー全体の26%を占め、通常のボジョレーよりも上質でアルコール度数がやや高く、価格もやや高めだ。
「ボジョレー・ヌーボー」が主につくられているのは、AOCボジョレーとAOCボジョレー・ヴィラージュだ。AOCクリュ・デュ・ボジョレーでは、軽い若飲みのボージョレー・ヌーボーとは一線を画し、色調が濃いフルボディで長熟に耐える赤ワインが生産されている。クリュ・デュ・ボジョレーの中には若飲みタイプもあるが、多くは4~5年の熟成を必要とする。
ボジョレー地区でつくられるワインのほとんどは、ガメイ種を使用した赤ワイン。白ワインは全体の1%ほどで、シャルドネを主としてつくられる。ボジョレー・ヌーボーは、ボジョレー地区全体の生産量の3分の1程度となっている。
ぶどう品種としてのガメイ種の特徴
ボジョレー地区で主に栽培されているのが、赤ワイン向けぶどう品種のガメイだ。正式名称は「ガメ・ノワール・ジュ・ブラン」で、「白い果汁を持った黒い果皮のガメ」という意味になる。古い歴史を持ち、原種はブルゴーニュ地方ボーヌのガメ村で生まれ、14世紀半ばには栽培されていたという説がある。
ガメイ種はタンニンが少ないが、大粒で果汁が白いため、ワインの色調が明るいのが特徴だ。ガメイ種でつくられたボジョレー・ヌーボーの味わいは、フルーティでまろやか。渋みや苦味が通常のワインより少ない。軽くフレッシュな仕上がりで、バナナのような独特な香りがある。
ボジョレー・ワインの多くは、軽い若飲みタイプで2年以内に消費することが推奨されている。ボジョレー・ヌーボーはさらに短く、翌年の春までの消費が望ましいという。
世界で生産されているガメイ種のうち60%がボジョレー地区で栽培されている。遅霜に遭っても回復が早い特徴があると言われ、収穫量が多いぶどう品種であることでも知られている。