スペイン大使館経済商務部は2020年10月27日、インポーター35社が参加する、プロ向け試飲会「スペインワイン&フード商談会2020」を八芳園(東京都港区)で開催した。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、例年よりも出展社数を減らし、入場者数に制限を設けるなど、万全の感染防止対策を取った上での開催となった。
会場に集まった多数のワインの中から、注目のワインとその生産者を紹介する。
ボデガス・ラウル・ペレス
1752年から続くぶどう栽培農家に生まれたラウル・ペレスは、バレンシアの醸造学校で学んだ後、実家のカストロ・ベントーサでワインづくりを始めた。カストロ・ベントーサでは、栽培したぶどうのほとんどを業者に販売していたが、ラウル・ペレスは実家のぶどうを使ったワインづくりを本格化した。現在もカストロ・ベントーサにて、醸造責任者として高品質なワインを手掛けている。
イギリスのワイン専門誌『デキャンター』では、「スペインのエキサイティングなニュー・ウェーブ生産者10人」に選出され、アメリカの『ザ・ワイン・アドヴォケイト』誌のスペイン特集でも、数々のワインが高得点を記録するなど、ラウル・ペレスはスペインを代表する醸造家の1人となった。現在では、自身がオーナーを務めるワイナリーでワインをつくるだけでなく、いくつかのワイナリーのコンサルタントを務め、さまざまなエリアの多様なぶどうを使ってワインを生み出している。世界のワインジャーナリストが彼を「天才醸造家」と呼ぶのも納得だ。
自身のボデガであるボデガス・ラウル・ペレスでは、全てのワインを自らの手でつくるため、生産量が少ない。気になるヴィンテージやシリーズがある人は、見つけたらすぐに手に入れた方が良いだろう。
おすすめのワイン
ウルトレイア・サン・ジャック
樹齢80~90年の樹から収穫したぶどうを使用したワイン。熟成には古樽を使用しており、熟成期間も長くはない。ぶどうの品質や醸造技術がワインの味にはっきりと表れてしまうことから、ラウル・ペレスは「このワインづくりが一番神経質になる」と語っているそうだ。
ラウル・ペレスの手掛けるワインの中では比較的リーズナブルなので、初めて彼のワインを味わうという人におすすめだ。2010年ヴィンテージは、漫画『神の雫』でも取り上げられており、「トップキュヴェのクオリティに迫らんばかりの素晴らしさ」と表現されている。
品種:メンシア100%
産地:D.O. ビエルソ
アルコール度数: 13.5%(参考:2017ヴィンテージ)
参考小売価格:3600円(税別)
アンフォラ・ゴデージョ リミテッド・エディション
アンフォラとは、ワインづくりが始まった当初から使われていた、粘土でできた素焼きの甕(かめ)のこと。ステンレスタンクと同様に、熟成中に容器の風味がワインにつかない。また、樽のように酸素を通すため、丸みのあるワインになるという特徴がある。
「アンフォラ・ゴデージョ リミテッド・エディション」は、最近注目度が高まっているスペイン固有品種のゴデージョ(ゴデーリョ)を、200Lのアンフォラで発酵し、24カ月間熟成させたワインだ。きれいでバランスの良い味わいが楽しめる。
品種:ゴデージョ100%
産地:カカベロス
アルコール度数:13.0%(参考:2016ヴィンテージ)
参考小売価格:9000円(税別)