INDEX
毎年11月の第3木曜日に解禁され、ワイン市場に華を添える、ボージョレ・ヌーボー。
今や、季節のイベントの1つとして日本でもすっかり定着しており、解禁日にはさまざまなボージョレ・ヌーボーが市場に出回る。今回は、そのつくり手の中から、タイユヴァン(Taillevent)を紹介する。
老舗グランメゾンのワインコレクション
フランス・パリにおいて最高峰のレストランの1つに数えられ、最も予約が難しいとされている「ル・タイユヴァン」。1946年にオープンし、1973年から33年間も三ツ星を守り続けた、歴史と格式あるグランメゾンだ。同店では、「L’accord Mets & Vins(食とワインとの調和)」という哲学のもと、ワインと食事の繊細なマリアージュを堪能できる。
タイユヴァンは、レストラン経営以外にワインショップ経営やワインの輸出も手掛けており、ワインの品ぞろえや品質においても世界中から高い評価を受けている。
2代目経営者のジャン・クロード・ヴリナ氏が自らフランス全土のワイン生産者を訪ね、納得のいくものを買い付けたのが始まりで、現在は世界750のワイナリーと取引し、そのコレクションは、グループで約30万本以上を所有するまでになった。
銘醸地のボルドー、ブルゴーニュから、ロワールやアルザスの小さなつくり手まで、さまざまな生産者と良い関係を築き、良質なワインを提供している。
プライベートブランドも所有
タイユヴァンは、パリ郊外に総延長2㎞以上にも及ぶ洞窟のカーヴを持ち、そこにはキャヴィストと呼ばれる番人がいる。キャヴィストは定期的に試飲してワインの状態をチェックし、ソムリエと共に飲み頃を判断して出荷しているため、常に最高の状態のワインがレストランやショップに届くのだ。
カーヴのワインには、「コレクション・タイユヴァン」と「セレクション・タイユヴァン」という2種類のラインがある。
「コレクション・タイユヴァン」は、ソムリエやバイヤーが各地の生産者を回って試飲し、優れたワインを樽の状態で買い付けたもので、生産者がタイユヴァンのために瓶詰めして仕立てたプライベートブランド。
「セレクション・タイユヴァン」は、年月と手間をかけてじっくりと熟成させ、タイユヴァンが最もこだわる“飲み頃”を見極めたワインだ。
これらのクオリティにはワイン専門家や愛好家も厚い信頼を寄せているため、生産者にとって、タイユヴァンにセレクトされることは最高の名誉だとされている。
東京と横浜にショップとバーを出店
タイユヴァンが手掛けるパリのワインショップ「レ・カーヴ・ド・タイユヴァン・パリ」では、フランス産を中心に、名門のつくり手からまだあまり知られていないドメーヌの希少なものまで、約2000種類のワインやスピリッツをそろえている。
さらに、2018年にはワイン専門商社のエノテカとパートナー契約し、東京都の日本橋高島屋本館にも「レ・カーヴ・ド・タイユヴァン・東京」を出店している。タイユヴァンが厳選したラインアップは約700種類で、入手困難なレアもの、ロワール地方やアルザスなど、まだ日本で深く紹介されていないものもあり、ワイン通をもうならせる充実ぶりだ。
同店はレ・カーヴ・ド・タイユヴァンとしては初となるカフェバーも併設しており、グラスワインとアミューズを楽しめる。「食とワインとの調和」を実体験することで、名門タイユヴァンのエスプリに触れることができる。
2020年12月には、神奈川県の横浜高島屋に2号店を出店。日本国内でもさらなる発展を見せている。
タイユヴァンのおすすめワイン
タイユヴァン・ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー・ヴィエイユ・ヴィーニュ 2021
樹齢35~80年ほどの古樹から採れたぶどうを使用し、新酒ならではのフレッシュさの中にもコクとしっかりとした骨格を感じられるヌーボー。赤系ベリーの香りと果実味に、穏やかな酸と甘みを帯びたまろやかなタンニンが印象的だ。
コレクション・タイユヴァン サンセール・ブラン
ロワールの銘醸地サンセールで100年以上の歴史を誇る名門、ドメーヌ・ヴァシュロンがタイユヴァンのためにつくった、「コレクション・タイユヴァン」の白ワイン。グレープフルーツなどのかんきつ系果実を中心とするアロマが感じられ、口に含むとぶどうの旨味があふれ出す。
コレクション・タイユヴァン サン・テミリオン
ボルドーにある産地サン・テミリオンの格付けで、第1特別級Bに位置するシャトー・パヴィ・マカンが手掛けたワイン。ブラックチェリーなどの黒系果実にコーヒーなどが合わさった複雑な香りで、凝縮された果実味と澄んだ酸、エレガントなタンニンが口に広がる、リッチさが特徴の赤ワイン。
<【ボージョレのつくり手】シリーズ>
トロフィー・リヨンで大金賞を獲得した実力派、アルベール・ビショー
ブルゴーニュの至宝、ルロワ
テロワールを尊重したヌーボーを手掛ける、ルイ・ジャド