ワイン独特の渋みと酸味。このハードル、実は高い。そのために、おしゃれにワインを楽しみたくても手が出ない、進まないという人が結構いる。そんなちょっとワインが苦手な人でも飲みやすいのが、甘みがあり、口当たりの良いデザートワインやフルーツワインだ。
飲みやすく人気の「いちごワイン」とは
近年、ワインの人気が続いているため、今まで目にしなかったような、さまざまな種類のワインを楽しめるようになった。さらに、日本国内のワインの生産も以前に増して盛んになっており、ぶどうだけでなくさまざまな地域の特産品を使用したご当地ワインも多くつくられるようになった。その中でもイチゴを使用してつくるいちごワインは、甘みがあって口当たりがとても良いと、人気が上昇しているワインの1つだ。
デザートワインとは
デザートワインはこうでなければならないという、はっきりとした定義はないが、一般的には甘口のワインを指す。デザートワインと呼ばれる甘口のワインをつくるには、もともと甘いぶどうや甘くしたぶどうを使用したり、発酵を途中で止めることで糖分を残したりする方法がある。
デザートワインの最高峰ともいわれるのが、貴腐菌が付着し、ぶどうの水分が抜けて糖度の高くなったぶどうを使用した貴腐ワインだ。貴腐菌の生育場所が限られているだけでなく、収穫や醸造に手間がかかるので、生産量が限られている。この他にも、凍結したぶどうを圧搾してつくるアイスワイン、干しぶどうを使用するストローワインなどが有名だ。
デザートワインはよく冷やして飲むと、ぶどうの凝縮した甘みと香りだけでなく、程よい酸味が口当たりを良くし、すっきりとした印象になる。
フルーツワインとは
デザートワインと同じく、甘くて口当たりの良いフルーツワイン。ぶどうをまったく使用せずに、ぶどう以外のフルーツを発酵させるものと、ぶどうでつくったワインに、フルーツの果汁や果肉を加えるものがある。
ぶどう以外のフルーツを発酵させてつくるフルーツワインは、ぶどうでつくるワインよりも、一般的にアルコール度数が低く、5~6%程度になる。発酵させることができればどんな果物からでもつくれるが、糖分が多くて発酵させやすいリンゴやイチゴ、モモなどでつくると、よりジューシーで甘みの強いワインになる。ぶどう以外のフルーツを発酵させてつくるフルーツワインの代表的なものとして、リンゴを使用するシードルがある。
ぶどうからつくったワインに、他のフルーツ果汁や果肉を加えるフルーツワインとして、よく目にするのが、サングリアだ。オレンジをはじめとしたかんきつ系の果汁や果肉を加え、スパイスで風味をつけたサングリアは、居酒屋でも目にする定番のフルーツワインとなっている。フルーツワインもデザートワインと同様に、冷やして飲むのがおすすめだ。
いちごワインを入手できるお店
フルーツワインやデザートワインを飲んでみたいけれど、どこで手に入れられるのか分からない。そんな方に、いちごワインを入手できるお店や通販を紹介しよう。
生産地の直営所やスーパーでご当地のいちごワインを入手
生産地に足を延ばして、農園や工場を見学したりしながら、その土地ならではのいちごワインを買ってみたいというならば、北海道のはこだてわいんや宮城県の山元いちご農園がおすすめだ。
北海道でワインの醸造をしているはこだてわいんでは、北海道の豊浦産イチゴを使用してワインをつくっている。また、北海道だけでなく国内で生産された果物を使用したフルーツワインの販売も行っている。直営の売店として、本社工場(亀田郡七飯町)に隣接する「葡萄館本店」と、函館の金森赤レンガ倉庫に「葡萄館西部店」がある。また、通信販売事業も展開している。
宮城県にある山元いちご農園は、東北で最大級のイチゴ農園。イチゴの栽培だけでなく、イチゴを使用したバームクーヘンやイチゴジャム、いちごワインなども生産、販売している。また、イチゴ狩りやバームクーヘンづくりの体験ができるなど、アミューズメントパークのような感覚で、大人も子どもも楽しめる場所となっている。いちごワインは、農園の朝採りイチゴを自社のワイナリーで醸造しており、公式通販サイトからも購入が可能だ。
この他にも、首都圏近郊では、神奈川県の海老名市で、市が生産したいちごワインが販売されている。県内有数のイチゴの産地である海老名市では、市内で生産されたとちおとめや紅ほっぺを使用していちごワインを生産。海老名駅周辺のセブン-イレブンやマルイファミリー海老名、イオン海老名店、ホエールズマートおおさわなどで販売している。
輸入食品店で海外のいちごワインを手に入れよう
街中でよく目にする輸入食品店でも、いちごワインを入手できる。その代表的なお店が、カルディコーヒーファーム(カルディ)だ。カルディでは、世界各国のお菓子をはじめとした多様な食品を扱っている。ワインも赤、白、ロゼや甘口、辛口だけでなく、サングリアなどのフルーツワイン、デザートワインなど品揃えが豊富。見ているだけで楽しくなるお店だ。
自宅で手軽に入手するならネット通販がおすすめ
生産地やショップに足を運ばずに、手軽にいちごワインを入手したい場合は、ネット通販が便利だ。楽天市場やAmazonで「いちごワイン」と入力すると、国内外を問わず多くの種類のいちごワインを探すことができる。海外産のいちごワインを探したいなら、リカータイムやハードリカーといった通販サイトで検索してみると良いだろう。国内産のいちごワインを探したいのであれば、先述したはこだてわいんや、山元いちご農園のオンラインショップのほか、「ミガキイチゴストア」などをチェックしてみてはどうだろうか。
いちごワインを手づくりしてみよう!
甘みがあって飲みやすい、いちごワイン。店舗や通販で容易に入手できるようになったが、実は、いちごワインは自分で簡単につくれることをご存じだろうか。主に赤ワインにかんきつ系の果物を漬け込むサングリアと同様に、白ワインにいちごを漬け込むだけで、いちごワインがつくれてしまうのだ。
いちごワインのレシピ
材料:いちご500~700g、白ワイン1.8~2L、グラニュー糖500g
1. イチゴを洗って水気を拭き取ったら、ヘタを取る。イチゴが大きい場合は半分に切ってもよい
2. 梅酒などを漬ける大きなガラス瓶にイチゴ、白ワイン、グラニュー糖を入れる
3. 常温の冷暗所に5~7日ほど置いておく。その間、1日に一度、木べらなどを使ってよくかき混ぜる
4. イチゴの味や香り、色がワインに移ったら、こしながらワインなどの空き瓶に移し替えて、冷蔵庫で保管する
レシピの詳細はこちら
いちごワインのおすすめ8選
国内、国外を問わず、日本で入手できるおすすめのいちごワイン8商品を紹介しよう。
豊浦スイートいちごわいん/はこだてわいん(北海道)
豊浦産の宝交種イチゴを使用した甘口のいちごワイン。甘酸っぱさと香りのバランスが良い。
参考小売価格:720ml 1210円(税込)
いちご スパークリングワイン ミガキイチゴ・ムスー/農業生産法人GRA (宮城県)
1粒1000円で販売されることもある、高級ブランドイチゴのミガキイチゴを使用した中辛口のいちごワイン。ミガキイチゴの華やかな色と香りをさっぱりとした味わいの中で楽しめる。
参考小売価格:720ml 3850円(税込)
いちごワイン 愛苺(まないちご)/山元いちご農園(宮城県)
自社栽培したイチゴを、自社で醸造した中辛口のいちごワイン。甘さと酸味のバランスが良く、豊かな香りを持つ。
参考小売価格:720ml 3964円(税込)
ロッシーニ・カンドンガ/カネッラ(イタリア)
イタリアでつくられるスパークリングワインのスプマンテに、イチゴの果肉と果汁を加えた甘口のスパークリングワイン。カンドンガ種というイタリア産高級イチゴを使用しており、イチゴの香りと口当たりの良さが特徴。
参考小売価格:720ml 1518円(税込)
サッポロ 苺のワイン/サッポロビール(日本)
ワインにとちおとめの果汁を加えてつくったいちごワイン。イチゴのフレッシュな香りと甘酸っぱさが感じられる。
参考小売価格:500ml 618円(税込)
巨峰ワイナリー あまおういちごワイン/巨峰ワイナリー(福岡県)
福岡県の特産ブランドイチゴ、あまおうを使用してつくったいちごワイン。果実味が非常に豊か。全国酒類コンクールのワイン部門で第2位に輝いたこともある。
参考小売価格:500ml 2035円(税込)
フレシータ・ストロベリー・スパークリング/カサール・デ・ゴルチ(チリ)
世界51カ国で年間50万ケースが販売される、大人気のスパークリングワイン。やや甘口。ソーヴィニヨン・ブランとマスカット種でつくったスパークリングワインに、天然のイチゴ果汁と果肉を加えている。イチゴの香りと爽やかな甘さが特徴。
参考小売価格:750ml 1760円(税込)
カトレンブルガー ストロベリーワイン/ドクター・ディムース(ドイツ)
ストロベリーを100%使用した、やや甘口のいちごワイン。イチゴの酸味と甘い香りを持つ。ドイツ農産物コンクールで金賞を受賞している。
参考小売価格:750ml 1140円(税込)
ワインの渋みや酸味が苦手でも、イチゴの甘みや甘酸っぱさが感じられるいちごワインなら楽しめる、という人も多いだろう。ワインと同様にチーズをつまみに楽しんだり、甘さの少ないタイプは料理に合わせて、甘みの強いものはデザート代わりにといったように、好みに合わせて味わってみてほしい。いちごワインは、どんなシーンでも楽しめるお酒だ。