コラム

甘く華やかな味わいで人気の「アスティ」、その魅力やおすすめを紹介

「おしゃれにワインを楽しむ姿に憧れるけれど、ワインはアルコール度数も強いし、酸味や渋みがあるのも苦手……」

そんなあなたにこそおすすめしたいワインが、「アスティ(Asti)」だ。通常のワインに比べてアルコール度数が控えめながら、甘口で飲みやすく、価格もリーズナブル。比較的どんな料理にも合わせやすいワインでもあるので、普段の食卓にぴったりだ。

この記事では、アスティの基本的な知識からおすすめのボトルまで、まとめて解説していく。

アスティとはどんなワイン?

アスティは甘口で、アルコール度数が控えめなため、飲みやすい。さらに、手頃な価格で購入できるとあって、世界中で人気があるワインだ。

アスティの産地

アスティとは、イタリア北部ピエモンテ州のアスティ県、アレッサンドリア県、クーネオ県産のぶどうであるモスカート・ビアンコのみでつくられるワインのこと。この3県の52の村で生産されたものが、DOCG(原産地呼称)アスティと認定されている。

アスティというと、甘口のスパークリングワインというイメージが定着しているが、これらの県では赤や白など他のワインも生産している。目にする機会も多いであろう「アスティ・スプマンテ」は、「アスティのスパークリングワイン」という意味。スパークリングワインを飲みたい人は、購入時に確認してみてほしい。

アスティの製造方法

アスティは、ほとんどがシャルマ方式で製造される。シャルマ方式とは、ベースとなるスティル・ワインをタンクに密閉し、その中で二次発酵を起こさせる方式のこと。製造過程でワインが空気に触れず、ぶどうの香りを残す発泡性のワインを製造するのに適している。一度に大量生産できるため、コストも抑えられる。

まれに、シャンパーニュと同様に、瓶で二次発酵を行うシャンパーニュ方式でつくられるアスティもある。この方式で製造されたワインは、奥深い味わいときめ細やかな泡が特徴だ。シャンパーニュ方式でつくられたアスティは、ラベルに「Metodo Classico(メトード・クラシコ)」の表記があるのでチェックしてみよう。

アスティの種類

アスティには種類があり、発泡度合いやアルコール度数、ワインの味わいによって分類される。ここでは、アスティの種類について解説していく。

アスティ・スプマンテ

アスティの基本タイプで、アスティのほとんどが分類される。強炭酸のスパークリングワインで、アルコール度数は7.5%前後と控えめ。クリーミーで泡立ちがしっかりしているのも特徴の1つだ。ほとんどがシャルマ方式でつくられるが、シャンパーニュ方式でつくられるものもある。

モスカート・ダスティ

アスティ・スプマンテより炭酸は弱めで、微発泡。アルコール度数が5%となったところで醸造を止めるため、アルコール分解されなかった糖分が残り、甘みのあるワインとなっている。柔らかい泡立ちで、フルーティーな香りが楽しめる。

モスカート・セッコ

アスティには珍しい、辛口ですっきりした味わいが最大の特徴。モスカート・ビアンコ100%のワインで、ぶどうの持ち味を生かしたワインが多い。香り豊かでフルーティーな味わいだが、アルコール度数は高め。

アスティの代表的なつくり手

代表的なアスティのつくり手は、マルティーニとサンテロの2つのワイナリーだ。これらは、イタリアを代表するワイナリーでもある。

マルティーニ

マルティーニは、1863年創業の老舗ブランド。イタリアのスプマンテ(スパークリングワイン)を代表するワイナリーとして有名で、イタリア産スパークリングワインの販売量は世界第1位。日本でもトップシェアを誇る。

マルティーニのスプマンテは、ぶどう本来の味わいが楽しめる、伝統的な「マルティノッティ製法」で製造されている。同社のワインの質の高さには定評があり、各国の王室や団体からの受賞歴も多数。

マルティーニを代表するアスティが、甘口のスパークリングワイン「アスティ・スプマンテ」だ。イタリアが誇る名門ワイナリーのアスティだからこその、上質な味わいが感じられる。

サンテロ

サンテロは、1958年創業のイタリアのワイナリー。家業のぶどう栽培を発展させ、スパークリングワイン専門の会社を立ち上げたいという情熱から誕生しただけあって、イタリア国内でも、スプマンテメーカーとして不動の地位を築いている。ワインの品質についても高い評価を得ており、世界一のイタリアンワインの展示会「ヴィニタリー(Vinitaly)」のアスティ部門でNo.1の評価を獲得している。

サンテロのアスティの中でも、特に人気の1本が「天使のアスティ」。ラベルに描かれている天使は、サン・ピエトロ大聖堂にあるシスティーナ礼拝堂のフレスコ画をモチーフにしたものだ。甘くて飲みやすい優しい味わいと、リーズナブルな価格で、世界中で愛されている。

おすすめのアスティ6選

サンテロ 天使のアスティ

ワインの渋みや酸味が苦手という人でも飲みやすい、甘口で優しい味わいのアスティ。華やかな香りとフルーティーな甘さが特徴で、アルコール度数も控えめ。「ジャパン・ワイン・チャレンジ」など、ワインコンテストでの受賞歴も多数。初めてのアスティとして、間違いがない1本だ。

飲み口:甘口
度数:7.5%
参考小売価格:1400円(税別)
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マルティーニ アスティ・スプマンテ

世界No.1の販売量(2019年1~12月販売量、IWSR社調べ)を誇る、アスティ・スプマンテ。フレッシュなマスカットのような香りと、洋ナシやパイナップルを思わせるフルーティーで爽やかな味わい。デザートやフルーツによく合う。

飲み口:甘口
度数:7.5%
参考小売価格:1313円
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ガンチア・アスティ・スプマンテ

世界でも有名なアスティ・スプマンテ。マスカットの香りと甘く爽やかな口当たりで飲みやすく、女性にもおすすめ。イタリアンはもちろん、和食との相性も良い。「サクラアワード(“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards)」「ジャパン・ワイン・チャレンジ」などのコンクールで受賞歴がある。

飲み口:甘口
度数:7.5%
参考小売価格:1640円(税別)
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カウドリーナ ラ・セルヴァティカ アスティ・スプマンテ

卓越したアスティのつくり手として有名な醸造家、ジュリアーノ・ノーエ氏が手掛けた1本。モモや洋ナシを感じさせる上品な甘さで、飲み口も爽やか。グラッパの伝説的な生産者ロマーノ・レヴィが手掛けるラベルのデザインもかわいらしく、ホームパーティーの手土産にもおすすめ。

飲み口:やや甘口
度数:7.0%
参考小売価格:2420円
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モランド アスティ・スプマンテ

130年以上の歴史を持つ老舗醸造所モランドが手掛ける、クオリティの高い1本。南国系のフルーツの香りと上品な甘み、長く続く余韻が楽しめると、ワインのプロからも好評。

飲み口:やや甘口
度数:7.5%
参考小売価格:1430円(税込)
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トスティ・アスティ・セッコ

世界遺産にも登録されている、ピエモンテ州アスティ県カネッリのぶどう畑でつくられるモスカート・ビアンコを使用。花やフルーツなど11種以上の香りを感じられる1本。珍しい辛口のアスティで、飲み口がすっきりしており、どんな料理とも合わせやすい。

飲み口:中辛口
度数:11%
参考小売価格:2530円(税込)
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アスティは、飲みやすく、入手しやすい価格帯のワインでありながら、製造方法により発泡度合いやアルコール度数が異なる。いろいろなタイプのものを飲み比べて、お気に入りを見つけておいても良いだろう。どれにしようか迷ったら、まずは定番のつくり手のものを選んでみるのがおすすめだ。

自宅で過ごす時間が増えた今こそ、日々の食卓を彩ってくれる1本として、アスティを加えてみてはいかがだろうか。

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About the author /  KYOKO
KYOKO

出版社勤務を経てフリーランス編集ライターに。旅、グルメ、美容を中心に執筆や編集を行っている。大酒飲みで、旅先でご当地酒を飲むのが好き。最近はビオワインにハマリ中。