いよいよ2022年の解禁日となる、11月17日を迎えたボージョレ・ヌーボー。今年はどんなラインアップとなるのか、気になる出来や味わいなどについてまとめて紹介する。
2022年ヴィンテージの特徴
2022年は天候に恵まれず、厳しいヴィンテージとなったが、品質は良好で、多彩な味わいが評価されている。
天候の影響により収穫量が平均を下回る
2022年のボージョレ地区は、5月は日照に恵まれたが6月は雨が多く、局地的にひょうの被害もあった。また、6月下旬から8月にかけては高温で乾燥した天候が続き、熱波にも襲われた。このような年はぶどうの収穫量も少ない傾向にあり、2022年の収穫量は過去5年の平均を大きく下回った。
良質のぶどうが生んだ多彩な味わい
収穫量は少ないが、ぶどうの品質は上々だった。6月下旬から8月上旬にかけての晴天で空気が乾燥し、病気の発生が抑えられたことで、畑全体で良い状態のぶどうが育ち、高品質のぶどうが収穫された。厳しい気候の中で生み出されたぶどうは、多彩な味わいのワインになったという。SICAREX Beaujolais(ボージョレの栽培・醸造研究機関)取締役のベルトラン・シャトレ氏は、2022ヴィンテージを「バランスが取れ、肉付きが良く、力強い。そしてアロマ豊かでフルーティーな表情に驚かされる」と評している。
2022年各社オススメのボージョレ・ヌーボー&新酒
アルベール・ビショー「ボージョレ・ヌーヴォー ペットボトル 2022」
メルシャンからは、フランス・ブルゴーニュの名門ワイナリー、アルベール・ビショーの「ボージョレ・ヌーヴォー ペットボトル 2022」がラインアップ。環境に配慮したペットボトル容器を使用しており、ガラスのボトルに比べて30%軽量で、輸送時のCO₂を約30%削減できる。また、酸素透過防止加工やUVフィルターなど、特殊技術のプロセスにより、ガラスのボトルと同等の品質安定性を持つ。商品は750mlと375mlの2サイズを展開する(価格はオープン)。
ジョルジュ デュブッフ「ボジョレー ヌーヴォー 2022 セレクション ド デュブッフ」
サントリーからは、「ボジョレー ヌーヴォー 2022 セレクション ド デュブッフ」など6アイテムがラインアップ。中でも「セレクション ド デュブッフ」は、創業者ジョルジュ・デュブッフ氏のブレンドを基につくられた、ジョルジュ デュブッフの象徴とも言えるワインだ。2022年はより特別感を味わえるよう、品質の高いぶどうの配合を増やしており、果実や花の香りがあふれる軽やかでフルーティーな味わいが特徴だ(価格はオープン)。
アンリ・フェッシ「ボージョレ・ヌーヴォ2022」
アサヒビールは、ボージョレ・ヌーボー唯一の公式コンクール「トロフィー・リヨン・ボージョレ・ヌーボー」で7年連続金賞を受賞している、アンリ・フェッシから7アイテムを提供。定番の「ボージョレ・ヌーヴォ2022」は、紫色を帯びた明るいルビーレッドの外観と、ストロベリーのいきいきとしたアロマが印象的で、新鮮なラズベリーのような豊かな果実味と優しい口当たりが楽しめる。750ml(税込3520円)と350ml(同1936円)の2アイテムを展開する。
IKKOがラベルを手掛けた、ラブレ・ロワ「ボージョレ・ヌーボー」
サッポロビールは、1832年創立の歴史あるネゴシアン、ラブレ・ロワのボージョレ・ヌーボーを販売する。美容家兼タレントのIKKO氏の書をモチーフにデザインされた「ボージョレ・ヌーボー 昇 SHO 2022」「ボージョレ・ヌーボー 酸化防止剤無添加 鮮 SEN 2022」「ボージョレ・ヌーボー リッチ・プレス 躍 YAKU 2022」「マコン・ヴィラージュ・ヌーボー 薫 KUN 2022」など全6種を取り扱う。IKKO氏デザインのラベルシリーズはヴィーガン対応ワインで、動物性由来の物質に代わってベントナイトや珪藻土などの非動物性由来の物質を使用している(価格はいずれもオープン)。
ピエール・フェロー「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」
JALUXからは、1882年に創業した名門ワイナリー、ピエール・フェローの「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」(税込6050円)など4アイテムがラインアップ。「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」は「トロフィー・リヨン・ボージョレ・ヌーボー」で金賞を4年連続受賞した実績を持ち、毎年JAL国際線ファーストクラス、ファーストクラスラウンジで提供されている。フレッシュな味わいながらも奥行きを感じる、ワンランク上の上品なヌーボーだ。
メゾン・ジョゼフ・ドルーアン「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022」
全日空商事からは、ファースト、ビジネスクラスの機内サービスワインに採用実績があるブルゴーニュの名門メゾン・ジョゼフ・ドルーアンより、特別ラベルを施した「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022」(税込5500円)と「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2022」(税込4400円)がラインアップ。「ヴィエイユ・ヴィーニュ」は、樹齢30年以上の古樹のぶどうでつくられるプレミアム・ヌーボーで、新酒でありながら熟成のポテンシャルを持ち合わせており、エレガンスと凝縮感が楽しめる。
タイユヴァン「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ」
エノテカは、パリの名門レストランのタイユヴァンから「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ」(750ml・税込4950円、375ml・同2860円)など6アイテムを提供。ストロベリーや赤系ベリーのキャンディ香に、ボージョレ・ヌーボーらしいバナナのニュアンスで、口に含むと、フレッシュなベリー系の果実味が口いっぱいに広がる。穏やかな酸が心地良く、甘みを帯びたまろやかなタンニンが印象的で、新酒らしいフレッシュさの中に、コクを感じる上品な味わいだ。
コラン・ブリセ「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」
イオンからは、「トロフィー・リヨン・ボージョレ・ヌーボー」で2019年から2年連続の最高金賞を受賞した、コラン・ブリセの酸化防止剤無添加ワイン「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」(税込3278円)など11アイテムを用意。黒果実やチェリー、ブラックカラントのノーズとスミレのフローラルな香りを持ち、ベルベットのような口当たりとフレッシュさ、ボリュームのあるボディが特徴。厳選した樹から収穫したぶどうを、小さなタンクで素早く発酵を開始するこだわりの逸品だ。
2022年は例年に比べて“高め”
2022年は、円安や世界情勢の不安などさまざまな要因が重なり、商品やサービスの値上げが相次いでいるが、ボージョレ・ヌーボーも例外ではない。原油高に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、日本とヨーロッパを結ぶ最短の空路が利用できず、迂回により燃料費がプラスされるなど、空輸にかかるコストが高騰した。これにより、例年に比べ価格が上昇している。そこで、少しでも安くユーザーに商品を届けられるようにと、ペットボトル容器の使用や船便での輸送など工夫をする動きが見られるが、これも2022年のボージョレ・ヌーボーの特徴の1つとなっている。