Wines of Chile主催の「92+チリワイン グランド・テイスティング」が、2023年7月11日にザ・ストリングス 表参道(東京都港区)で開催された。プレミアム・チリワインは世界的に注目を集めており、同展示会ではワイン業界の関係者に向けて、国際的なワイン品評会などで92点以上の評価を受けたワインのみが出品された。
展示会に出品したワイナリーの1つ、コンチャ・イ・トロ(Viña Concha y Toro)は、日本でも知名度が高く、世界的なプレミアムワインのつくり手だ。
今回は、コンチャ・イ・トロの厳選された4本のプレミアムワインを紹介する。
コンチャ・イ・トロとは
コンチャ・イ・トロとは、チリ最大かつ最古のワイナリーの1つで、そのワインは世界140カ国以上で販売されている。「フロンテラ」や「カッシェロ・デル・ディアブロ」シリーズは、スーパーやコンビニでも販売されており、日本でもなじみ深い生産者だ。
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コンチャ・イ・トロの92+プレミアムワイン
それでは、出品されていたコンチャ・イ・トロのワインを見ていこう。ここでは、輸入元の日本リカーによるテイスティングコメントも併せて紹介する。
マルケス・デ・カーサ・コンチャシリーズ
1718年にスペイン国王からコンチャ家に与えられた、“マルケス(侯爵)”の称号から名づけられたシリーズだ。チリの産地の個性とぶどう品種の特徴を捉えた味わいが楽しめる。
今回はこのシリーズから、リマリ・バレーのシャルドネとピノ・ノワールを使ったワインが出品された。
産地であるリマリ・バレーは、チリ北部に位置する。ここで生産されるぶどうは太平洋の影響を強く受けており、海から吹く風の影響で塩味のあるワインとなる。この塩味を持ったリマリ・バレーのワインは、日本食との相性もよい。
また、シャンパーニュと似た土壌が点在しており、ピノ・ノワールとシャルドネはこの地域の代表的品種となっている。ちなみにシャルドネは、シュール・リー(澱とともに熟成)されたものを使用している。
マスター・オブ・ワイン(Master of Wine:MW)の大橋健一氏は、リマリ・バレーについて「リマリを語らずに、チリワインの全貌を語ることはできない」と紹介した。このようにリマリ・バレーは、チリワインにとって欠かせない土地となっている。
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●マルケス・デ・カーサ・コンチャ シャルドネ 2021
《テイスティングコメント》
色は淡く艶やかな黄色で、豊かさとエレガントさ、活力を兼ね備えています。香りは、洋ナシなどの熟した白い果実のアロマが特徴で、白い花、トーストしたヘーゼルナッツ、ミネラルの香りが感じられます。やや厚みがあり、シルクのような質感と熟したイチジク、洋ナシ、ミネラルのフレーバーが幾重にも重なります。余韻は長く、いきいきとしたキャラクターで締めくくられます。相性のよい料理は、チーズや生クリーム、バター入りソースを使った魚介類、ウサギなどの白身の肉、七面鳥、豚肉、キジなど。
ぶどう品種:シャルドネ100%
生産地:リマリ・バレー
参考小売価格:3000円(税別)
評価:「サクラアワード(“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards)2023」ダブルゴールド、「ワイン・アドヴォケイト(Wine Advocate)」92点、「ジェームス・サックリング(James Suckling)」93点
●マルケス・デ・カーサ・コンチャ ピノ・ノワール 2020
《テイスティングコメント》
柔らかい深みのある赤色。チェリーの香りなど、ピノ・ノワールの特徴を凝縮した印象。ラズベリー、カンゾウの複雑な 味わいと洗練されたテクスチャーにより気品のあるワインに仕上がっており、繊細でコクのある味わいの赤ワインです。相性のよい料理は、ウサギ、豚肉、ウズラなどの白身の肉料理や、脂肪分の多い魚やシーフードを使った軽めの料理、中華料理 やマイルドなカレーなどのオリエンタルな料理。
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
生産地:リマリ・バレー
参考小売価格:3000円(税別)
評価:「サクラアワード2023」ゴールド、「ジェームス・サックリング」93点
アメリア ピノ・ノワール 2021
コンチャ・イ・トロの創始者ドン・メルチョー氏の姪の名前が付けられたワイン。また、女性で初めて大西洋単独横断飛行に成功した、アメリア・イアハートにも捧げられている。
こちらもリマリ・バレー産でケブラダセカ・ヴィンヤードのぶどうのみを使用している。ロットによって20~50%は全房発酵のまま、その他はステンレススチールタンクを使って6~7日間発酵させることで、味わいに複雑さを生み出している。熟成はフレンチオーク樽(新樽20%)で12カ月間行っている。
《テイスティングコメント》
明るいルビー色。複雑な味わいで、レッドチェリーと紅茶の葉のニュアンスが感じられます。石灰質の混ざる赤い粘土質土壌からくる骨格と、ミネラル感が見事に調和したワインです。 相性のよい料理は、シャルキュトリー、ポルチーニ茸のリゾット、グリルしたズッキーニなど。
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
生産地:リマリ・バレー
参考小売価格:7000円(税別)
評価:「ワイン・アドヴォケイト」95点+、「ジェームス・サックリング」95点
テルーニョ ソーヴィニヨン・ブラン 2020
テルーニョ(テロワール)と名付けられたワインで、カサブランカ・バレーにあるロス・ボルドス・ヴィンヤードの第5区画で栽培されたぶどうのみを使用している。手摘みした果実をさらに厳選し、熟成はステンレスタンクで6カ月間行うなど、果実の実力を引き出した1本だ。
《テイスティングコメント》
淡い緑がかった黄色。みずみずしいミネラル感、濃縮されたハーブやグーズベリー、ライム、グレープフルーツの香り。いきいきとした酸、ふくよかなボディ、火打石やハチミツのニュアンスもある、エレガントな味わいのソーヴィニヨン・ブラン。相性のよい料理は、レモンのドレッシングを使った新鮮なシーフードや甲殻類、寿司。カレーやココナッツミルク、しょうゆを使った香りのある料理にも合います。
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
生産地:カサブランカ・バレー
参考小売価格:4000円(税別)
評価:「ワイン・アドヴォケイト」92点
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