コラム

エリゼ宮殿でも飲まれたオーガニックワイン「ドメーヌ・シングラ」 ~「ガルナッチャ/グルナッシュ プレゼンテーション&テイスティング」レポート⑦

スペインのガルナッチャ・オリヘン協会とフランスのルーションワイン委員会は2024年11月7日、東京都港区の八芳園で「ガルナッチャ/グルナッシュ プレゼンテーション&テイスティング」を開催した。

同イベントでは、両団体がEUの協力のもと共同で展開する「ガルナッチャ/グルナッシュ ヨーロッパの高品質ワインプロジェクト」の一環として、スペインではガルナッチャ、フランスではグルナッシュと呼ばれるぶどう品種についてのセミナーと、同品種でつくられたワインの試飲会を実施した。

今回は、試飲会に参加した5ワイナリーの中から、フランスのドメーヌ・シングラ(Domaine Singla)を紹介する。

ドメーヌ・シングラとは

ドメーヌ・シングラは、フランス南部に位置するルーション地方で270年続く歴史あるワイナリーだ。

コート・デュ・ルーションのワインメーカーであるアール・シングラが経営しており、現在の当主は8代目のローラン・ドブソンブ・シングラ(Laurent de Besombes Singla)氏で、ぶどうの栽培から醸造、ボトル詰めに至るまで全て管理している。2023年より正規輸入販売代理店として、トゥーレール・ジャポンと契約した。

500haにも及ぶ畑を持ち、主力品種のグルナッシュのほか、ムールヴェードル、カリニャン、シラーなどを栽培している。ローラン氏の代になってからは除草剤や化学肥料などを天然素材に置き換えたオーガニック製法を取り入れ、環境に配慮したぶどう栽培を行うことで土地の生態系を取り戻した。その結果、2006年には正式にオーガニック認定を受けている。

8代目当主のローラン・ドブソンブ・シングラ氏

長年続く伝統の製法を受け継ぎながらも近代技術を取り入れ、ワインの質を高めている。エリゼ宮殿に供された経験を持ち、また日本でも麻布十番や銀座の高級フレンチレストランなどを中心に提供されている。

AOP(Appelation d’Origine Protegee、原産地呼称保護)コート・デュ・ルーションやエリタージュ・デュ・タン・リヴザルド、ミュスカ・ドゥ・リヴザルド、IGP(Indicazione Geografica、地理的表示保護)コート・カタランを生産している。

アレル

ドメーヌ・シングラのワイン。右端が「アレル」

Arrels
タイプ:赤
ぶどう品種:グルナッシュ60%、シラー40%

コート・デュ・ルーションAOPのグルナッシュが入ったドメーヌ・シングラのトップワインで、本数が非常に限られている。フルーティーで飲みやすく、力強さと繊細さを兼ね備えている。リコリスなどのスパイシーなハーブが香る。

レ コンフィデンティアルブラン

左から「ラ マタン」と「レ コンフィデンティアルブラン」

Les Confidentielles
タイプ:白
ぶどう品種:マカブー70%、グルナッシュ30%

白い花と新鮮なパイナップルの香りで、丸みを感じるバランスの取れた味わい。ミネラルの余韻が続き、食前酒として刺し身や寿司、サラダなどと合わせるのがおすすめ。

ラ マタン

La Matine
タイプ:ロゼ
ぶどう品種:グルナッシュ100%

ほのかな甘さと濃厚さがありながら、しなやかさ、ミネラル感、すっきりした酸味を感じる。花やハーブの香りを持ち、シーフードに合わせて食前酒として楽しめる。


【関連記事】スペイン&フランスの共同プロモーション「ガルナッチャ/グルナッシュ プレゼンテーション&テイスティング」レポート
ガルナッチャ/グルナッシュとは?
多様性に富むガルナッチャ/グルナッシュは“テロワールを映す鏡”
優れた品質のスペイン・フランスのガルナッチャ/グルナッシュ
ガルナッチャ100%のフルーティーなカバ「ボデガス・サン・ヴァレロ」
国際色豊かなワイナリーがつくるパワフルなワイン「テール・フィデール」
カタルーニャ最大級の組合から成るワイナリー「セジェールス・ウニオ」

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  大江 有起
大江 有起

コピーライター、雑誌の編集者などを色々経てフリーライターに。文章を書くことと、赤玉スイートワインや貴腐ワインのような甘いワインが好きです。 ワインバザールさんにてワインに興味を持ち、一般社団法人日本ソムリエ協会ワイン検定シルバー取得しました