International Organisation of Vine and Wine(OIV)の推計によると、2016年の全世界のワイン生産量は、2015年と比べて5%ダウンして259mhlとなる。過去20年で最も少ない生産量になるそうだ。極端な気候が原因で、特に南半球での生産量が急激に下がっているという。
ただし、2015年のワイン消費量が240mhlであることを考えると、“ワイン不足”には苦しまずに済みそうだ。
南半球の生産状況は?
「特に南半球での生産量が急激に下がっている」とお伝えしたが、どんな国がどれくらい生産量を減らしたのだろうか。内訳を見てみよう。
日本人にとってなじみが深く、世界で7番目のワイン生産量を誇るチリは21%ダウン。同じくワイン新興国である南アフリカは19%ダウンとなった。特にマルベックやカルメネール種に影響が出ているという。
近年注目を集めているブラジルに至っては50%も生産量を下げている。アルゼンチンも35%と大きくダウンした。
南半球であっても、生産量が増加した国もある。オーストラリアでは5%、ニュージーランドでは35%も生産量は増えている。
地球温暖化が影響か
OIVではワイン生産量が減少している原因に、地球温暖化による気候変動を挙げている。
また、コロンビア大学の地球生命研究所が「1度の気温上昇が、ぶどうの成長を6~7日ほど早める」というレポートを公開したこともある。こういった変化が、伝統的なワイン産地を中心に、ぶどう栽培の方法を変えざるを得なくするのではないかと考えているそうだ。
ぶどうの収穫に恵まれた国は?
ワイン生産量の減少に注目してきたが、それでも259mhlのワインがつくられることになる。生産量の多い国はどこなのだろうか。OIVによるとワイン生産量では下記のような国が上位を占めるという。
1位:イタリア(48.8 mhl)
2位:フランス(41.9 mhl)
3位:スペイン(37.8 mhl)
世界一のワイン用ぶどう栽培面積を誇るスペインが3位に、2位の中国は6位となっている。
また、アメリカ合衆国は22.5mhlとなり、過去最大の生産量を記録した。
ワイン生産量の減少については、まだそれほど深刻に考えなくてもよさそうだが、現在のワインを未来に伝えていくためにも、将来に備えて地球温暖化を食い止めたいところだ。
<関連リンク>
2016 World wine production estimated at 259 mhl,a fall of 5% compared with 2015