せっかくディナーでおいしいワインを楽しんでも、液ダレがラベルにかかるとみっともない。テーブルクロスにシミをつけてしまったら最悪だ。
ナプキンでボトルのネック部分を拭いたり、液ダレを防止するためのグッズを使用したりして、対策している人もいるだろう。液ダレ防止のグッズには、デザインが楽しめるものもある。
しかし、そんな手間やコストをかけずに液ダレを解決しようと、3年もの月日を研究に費やした人物がいる。米ブランダイス大学のダニエル・パールマン教授だ。
ワイン好きだというパールマン教授は、100以上の特許を持つ有名な発明家でもある。彼はどのように、ワインの液ダレ問題の解決策を見つけたのだろうか。
なぜ液ダレを起こすのか
そもそも、ワインを注ぐとなぜ液ダレが起こってしまうのだろうか。
パールマン教授はその理由を調べるため、ワインを注ぐ様子を撮影してスローモーションで再生。ワインボトルに使われているガラスには、水を引きつける親水性があるため、ワインがボトルの口に吸い寄せられて液ダレを起こしていることが分かった。
また、ボトルに入っているワインの量が多いほど、液ダレを起こしやすいことも分かったという。
ガラスのまま、液ダレを解決する方法を考案
そこでパールマン教授は、ボトルの口のすぐ下に溝を作ることにした。すると、ワインは溝を超えることができず、グラスの中にすべて落ちるか、ボトルの中に戻っていった。液ダレは起きなかったという。
▼左がスタンダードなワインボトル。右がパールマン教授の開発した液ダレしないワインボトル
そして次の画像のような幅2mm、深さ1 mmの溝が、最も液ダレを防止するという結論にたどり着いたのだ。
200年ぶりの革新となるか
「ボトル自体を変えて、余計なコストや手間をかけずに液ダレを防止したい」というところから始まった今回の研究、結論にたどり着くまで実に3年を費やしたという。
この研究成果を発表した、3月22日付のブランダイス大学のプレスリリースによると、ワインボトルのデザインは、1800年代前半から200年間、ほとんど変わっていないそうだ。
パールマン教授は現在、複数のワインボトルの製造業者と、このデザインについての話を進めている。この液ダレ防止策が新スタンダードとなり、200年ぶりの革新がワインボトルに訪れることになるのだろうか。