先日紹介した「高貴な海のワイン D.O.リアス・バイシャス ワインセミナー」は、試飲イベントとの同時開催だった。会場にはインポーター21社が集まり、それぞれ自慢のリアスバイシャスワインを来場者に振る舞っていた。
用意されたワインは27本。そのすべてがアルバリーニョ100%だ。「いつもなら『アルバリーニョのワインです』というだけで興味を持ってもらえるのに、今日はそうもいかない」との声も出展者から漏れていた。
今回は、同試飲イベントの中で気になったワインをいくつか紹介しよう。
リアスバイシャスのオーガニックワイン
リアスバイシャスでつくられたオーガニックワインを提供していたのがアルコスだ。
同イベントでは自然派ワインのつくり手、アティス・ボデガス&ビニェドスの手掛けた「シオン(XION)」と「アティス(ATTIS)」を提供。朝露が残る9月中旬に手摘みで収穫したぶどうを使用しているという。
昼過ぎには用意していたボトルが空になり、急ぎ取り寄せるほどの人気ぶりだった。同社の宮内惠美子代表取締役社長は、「すべてのワインを試飲してから戻ってきてもう1度試飲する方や、こっそりと『一番うまかった』『おいしかった』と評価いただいてお帰りになった方も数組いらっしゃいました」と、試飲会での手応えを振り返る。
また両ワインについて、次のような解説を送ってくれた。
シオンとアティスは兄弟ワインです。ATTISはギリシャ神話に登場する農耕の神で、同じく樽熟成ワインのNANAの息子です。
ATTISは樹齢40~50年のぶどうを使用。エコ栽培なため、天然酵母がたっぷりついています。シュールリー法でバトナージュをしながら約6カ月間置きます。XIONは弟分で、樹齢20~30年のぶどうを使用。こちらもシュールリー法でバトナージュをしながら約4カ月間置きます。
アティス・ボデガス&ビニェドスの全てのワインは、伝統を守って清澄にアイシングラス(編註:魚のうきぶくろから作ったゼラチン)を使用するのが特徴です。いずれも海に面した畑でつくられていますが、それだけではなく、ぶどう、つくり方など、全てが海のワインとなります。
フレッシュさが特徴ですが、樹齢やぶどう1粒を十二分に生かしたつくりのため、刺身や魚の煮つけ、焼き魚などのフレッシュな料理からオイリーな料理、味噌や醤油などの醗酵食品にもマリアージュ可能です。
歴史のあるワイナリーが生んだパゾ・サン・マウロ
ひときわ華やかなデザインのボトルだったのが、国分グループ本社が取り扱う「パゾ・サン・マウロ(PAZO de San MAURO)」。同ワインを生んだパゾ・サン・マウロは、1591年に誕生した老舗ワイナリーだ。
個性的でフレッシュなアロマと繊細な酸のエレガントさを感じられるワイン。シーフード料理だけではなく、繊細な和食にもよく合う1本だった。
同社マーケティング統括部の田中さんは、試飲会での反応を次のように語ってくれた。
「ティファニーブルーの美しい色づかいの洗練されたボトルデザインは、会場の中でもひときわ目を引いていたようで、レストランの方や女性を中心にご好評いただきました。
同じリアスバイシャス、アルバリーニョ100%のワインでも、商品によってそれぞれに個性があります。パゾ・サン・マウロはその中でも特にシトラスやマスカット、ジャスミンといったアロマティックな香りと豊かな酸、 余韻に続くミネラル感が印象的で非常にバランスの取れたワインであるという評価を多くいただきました」
また、「蒸し暑い夏にピッタリの爽やかな味わいのワインです。開放的なテラス席や海辺で、夏を感じながらお楽しみいただきたい1本です」と勧めてくれた。
アロマティックな香りを楽しむためにも、あまり冷やし過ぎずに楽しむのが良いそうだ。
2年連続で金賞に輝いたワイン
スペインワインテイスター団体が毎年開催しているアルバリーニョワインのコンテスト「アルバリーニョ・アル・ムンド インターナショナル・コンクール」で、2年連続の金賞を受賞しているワイン「ビオンタ(VIONTA) アルバリーニョ」も試飲できた。取り扱いはサントリーワインインターナショナルだ。
「魚介専用白ワイン」とも呼ばれており、シーフード全般に合わせやすい。キレのある酸やミネラルの味わいが特徴だ。
大手航空会社のビジネスクラスで提供されているワインも
ブリティッシュ・エアウェイズのビジネスクラスで提供されている「テラス・デ・ランターニョ(Terras de Lantano)2013」も正光社から提供されていた。やわらかいアタックと、濃縮感のある味わいが楽しめる特別感のある1本だった。
試飲した人からは、「舌に広がるうまみの存在感が強い」「ワイン自体の粘性が高く、ゆっくりと時間をかけて楽しめる」など、好評だったそうだ。
また、正光社からは「ビニャ・カルティン(Vina Cartin)2013」も提供。テラス・デ・ランターニョと同じワイナリー、同じヴィンテージでありながら、華やかで果実味も充実。全く違う個性が感じられるワインだった。
「どちらかというとワイン初心者や勉強中の方から、好まれた傾向があるように感じました」と正光社ワイン事業部の村松さんは振り返っていた。
「どちらの商品も、和食との親和性が非常に高いワインだと感じております。ビニャ・カルティンの優しい酸の味わい、テラス・デ・ランターニョの旨味・コクを伴った味わい。スペインワイン、スペイン料理のくくりにとらわれず、着飾らない日本の日常の食卓に並べて双方の異なる魅力を楽しんでいただきたいと思っております。日本人に好まれるエッセンスを十分に備えたスペインワインとして、ワイン愛好家の方に広く認識していただけるようになると非常にうれしいです」とコメントしてくれた。
1本1本が個性的なリアスバイシャスのワイン。和食+リアスバイシャスワインで、ホームパーティを開き、飲み比べてみるのも粋で楽しそうだ。