コラム

「第10回サクラアワード2023」結果発表、授賞式とBetoBe試飲会を同時開催

アジア最大級のワインコンペティション「第10回サクラアワード(“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards)2023」の授賞式が、2023年4月19日に帝国ホテル東京(東京都千代田区)で開催された。

同年1月25日に大阪会場(大阪府大阪市・ホテル日航大阪)、同月31日に東京会場(東京都目黒区・ホテル雅叙園東京)で開催された審査会では、延べ430人の女性審査員がブラインドテイスティングにより審査を実施。同年2月には、計2517アイテムの受賞ワインが発表された。

女性が選ぶワインコンペティション「サクラアワード」とは

2023年で10回目を迎える「サクラアワード」は、ワイン事業に関わる女性が審査するワインコンペティション。「家庭料理に合うワインを探す」「ワインの消費拡大」「ワイン業界で働く女性の活躍を促す」の3つを目的に、2014年から開催されている。

受賞ワインには受賞ロゴステッカーが貼られるため、売り場でも目を引く。エントリー数は年々増加しており、2023年は4222アイテムに上るなど、国内外からも非常に注目度が高い。

審査責任者は、ワインアンドワインカルチャー代表取締役の田辺由美氏。その他に、ソムリエやワイン醸造家、ワイン業界の関係者など、日本のワイン業界で活躍する女性が審査する。

審査方法は、ワイン名や生産国などを伏せたブラインドテイスティングにより、点数(100点満点)で評価。この点数により、ダブルゴールド(93~100点)、ゴールド(88~93点未満)、シルバー(85~88点未満)と、各受賞ワインが選出される。

2023年の結果は?

2023年は、総エントリー28カ国4222アイテム中、 271アイテムがダブルゴールド、1420アイテムがゴールド、826アイテムがシルバーに選ばれ、計2517アイテムが受賞した。

さらに、ダブルゴールドの中からより優れたワインを選ぶ、ダイヤモンドトロフィーの栄誉に輝いたのは59アイテム。特別賞は、8つの特別賞と9つの和食・アジア料理に合うワイン賞で、ゴールド以上を受賞したワインの中から総計186アイテムが選出された。

また、それぞれの賞で最高得点のワインには、“グランプリ”の称号が与えられた。

ダイヤモンドトロフィー&特別賞同時受賞ワイン

最も名誉となる、ダイヤモンドトロフィーは、ダブルゴールドの中からさらに優れたワインに贈られる賞で、エントリー数のわずか1%ほどしか獲得できない非常に狭き門だ。今年は59アイテムが選出された。その中で、特別賞“グランプリ”や特別賞を同時受賞しているワインをピックアップして紹介する。

ルンガロッティ ブレッザ・ビアンコ 2022

女性醸造家が手掛けたワインに贈られる特別賞、女性ワインメーカー賞も同時受賞した。

ルンガロッティは、イタリアのウンブリア州で1950年に創業した家族経営のワイナリー。現在の経営者キアラ・ルンガロッティ氏は、2014年にヨーロッパの飲料業界紙『ドリンクス・インターナショナル(Drinks International)』で、イタリア女性醸造家トップ10にも選ばれている。

受賞ワインは、イタリア語でそよ風を表す「ブレッザ」という名前の通り、白い花の香りが広がる、爽やかでフレッシュな味わいの中辛口の白ワインだ。

コンチャ・イ・トロ カッシェロ・デル・ディアブロ デビルズ ブリュット

コンチャ・イ・トロは9000ha以上の自社畑を持つチリの代表的なワイナリー。コストパフォーマンスに優れたチリワインだが、その中でも若干高めの価格設定で品質の高いワインを生産する「プレミアム・チリ」の先駆け的存在だ。

受賞ワインは、チリの中でも冷涼なリマリ・バレーで収穫したシャルドネを使用した辛口のスパークリングワイン。シトラスや青リンゴの香りに、豊かなミネラル感とバランスの取れた爽やかな酸味を特徴とする。特別賞の寿司に合うワイン賞も同時受賞している。

エミリアーナ オー レゼルヴァ ロゼ 2022

特別賞の“グランプリ”ロゼワイン賞に加え、女性ワインメーカー賞、コストパフォーマンス賞(1000円以下)も同時受賞。ダブルゴールドも合わせると、見事計5つの受賞となった。

エミリアーナは、チリで最大の有機栽培畑を有するワイナリー。オーガニック栽培とビオディナミ農法のパイオニアと称され、チリのワイン界をけん引している。

輝きのあるピンク色が美しいロゼで、サクランボやブラックカラントなどの果実を思わせる、フレッシュで口当たりの良いオーガニックワインだ。

“グランプリ”女性ワインメーカー賞

女性ワインメーカー賞は、女性醸造家が手掛けたワインに贈られる特別賞。さらにその中で最も優れたものには、“グランプリ”が授与される。

今回は、チリの新興ワイン産地であるレイダ・バレーのワインメーカーが選出された。

レイダ・レセルヴァ・ソーヴィニヨン・ブラン 2022

レイダは、チリで最も冷涼な産地の1つである、レイダ・バレーに約190haの畑を所有するワイナリー。1998年に創業し、2002年にレイダ・バレーが原産地呼称に認定された際も、この地区のパイオニア的役割を果たしてきた。

2007年には現在の醸造責任者であるヴィヴィアナ・ナヴァレッテ氏が就任。同氏は優れた女性醸造家として、イギリスの評論家ティム・アトキンMWによる「チリ 2020 スペシャルレポート」のワインメーカー・オブ・ザ・イヤーなど、数々の賞を受賞している。

受賞ワインは、ソーヴィニヨン・ブランを100%使用した辛口の白ワイン。かんきつ系やハーブの香りに、フレッシュでキリッとした酸が楽しめる。

“グランプリ”ジャパニーズワイン賞

日本で栽培したぶどうを日本で醸造し、瓶詰めした日本ワインに贈られる特別賞“グランプリ”ジャパニーズワイン賞には、4本が選出された。いずれもダブルゴールドとのダブル受賞となっている。

安心院葡萄酒工房 安心院ワイン キャンベル・アーリー 2022

2022年に続き、ダブルゴールドを2年連続で受賞したほか、今回初の“グランプリ”ジャパニーズワイン賞を獲得した。

受賞ワインは、地元大分県産のぶどうを使用。キャンベル・アーリーが持つ、ぶどうを感じさせる香りとほんのり甘い味わいで、ぶどうを食べているかのような心地良さを与えてくれる赤ワイン。

岩の原葡萄園 岩の原ワイン 深雪花 赤

2021年の「第8回サクラアワード2021」でも同賞を受賞。2度目の快挙となった受賞ワインは、新潟県・岩の原葡萄園で育てた完熟のマスカット・ベーリーAを醸造した赤ワインだ。濃縮感のある果実味が、ふくらみのあるまろやかさを醸し出している。

楠わいなりー ピノ ノワール 2020SC

長野県の楠わいなりーは、「マスカットべイリーA 2018」に続き、2年連続での受賞となった。

今回受賞したのは、自社農園のピノ・ノワールを100%使用した赤ワイン。スタンダードシリーズのピノ・ノワールよりさらに複雑さを秘めたスペシャルキュヴェだ。

来福酒造 来福ワイン さくら酵母 ロゼ

茨城県の老舗酒造、来福酒造が初の受賞となった。同社では日本酒をつくっていたが、創業300周年を迎えた2016年からワインも製造している。

受賞ワインは、ヤマブドウとメルローを交配した茨城県産の富士の夢を、筑波山麓の良水と桜の花から取れた酵母菌で醸造したロゼワインだ。ぶどうの生き生きとした香りの中に程よい甘さと酸味が感じられ、すっきりと爽やかな味わいが楽しめる。

受賞ワインのBtoB試飲会を開催

受賞ワインは、受賞ワインをワインリストに入れているサポートレストランで味わえる。また、全国のデパート、スーパーマーケット、ワインショップ、ネットショップなど、販売協力店で購入が可能だ。

サクラアワードのマーケティングチームでは、受賞ワインキャンペーンの内容を業界紙に掲載したり、SNSで発信したりしている。各地で開催されるワイン展示会でサクラアワードブースを設け、積極的にPRしていく。

なお、授賞式では、併催イベントとして、受賞ワインの試飲会「“SAKURA” JWWA Grand Tasting 2023」も実施。どちらも業界関係者のみの参加となるが、BtoBの試飲会は2022年から開始されており、受賞ワインの販路拡大も期待されている。

受賞メーカーの一例として、ダイヤモンドトロフィーに輝いた「マロ・プラティナム・レッド 2012 赤ワイン レゼルヴァ」をはじめ、ダブルゴールドやゴールド、特別賞のフォーティファイドワイン賞など、多数受賞したマロ・ワインが出展した。

他に、ダイヤモンドトロフィー受賞の「ドメーヌ・アラン・ブリュモン ラルム・セレスト」、“グランプリ”タイ料理に合うワイン賞に輝いた「ワイルドハウス ピノタージュ」などを扱う三国ワインも出展している。

試飲会は、受賞ワインと酒類業界従事者との新たな出会いの場となる。これらの取り組みを通して、受賞ワインが今後ますます世の中に広まっていくだろう。

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About the author /  大江 有起
大江 有起

コピーライター、雑誌の編集者などを色々経てフリーライターに。文章を書くことと、赤玉スイートワインや貴腐ワインのような甘いワインが好きです。 ワインバザールさんにてワインに興味を持ち、一般社団法人日本ソムリエ協会ワイン検定シルバー取得しました